2×2行列(2次正方行列)の逆行列の定義と公式

2×2行列(2次正方行列)の和と積の計算(足し算とかけ算)で2次正方行列のかけ算を定義し、かけ算した後の行列が単位行列になる問題に触れた。

なお単位行列とは

[
I=
\left(
\begin{array}{cc}
1 & 0 \
0 & 1
\end{array}
\right)
]

のこと。対角線上の成分が $1$ でそれ以外の成分が $0$ になる行列を単位行列という。

[
\left(
\begin{array}{cc}
3 & 5 \
1 & 2
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{cc}
2 & -5 \
-1 & 3
\end{array}
\right)

\left(
\begin{array}{cc}
1 & 0 \
0 & 1
\end{array}
\right)
]

このように行列と行列をかけて単位行列になるとき、もとの行列は互いに逆行列であるという。

$2$ 次正方行列 $A,\ B$ に対して \[ AB=I \] が成り立つとき、 $B$ を $A$ の逆行列、または $A$ を $B$ の逆行列という。また $A$ の逆行列を $A^{-1}$ と書く。

$2$ 次元正方行列の逆行列の公式

ここでは正方行列の行列式について既知とする。行列式については行列式の定義と意味を参照。

$2$ 次元正方行列の逆行列の公式 \[ A= \left( \begin{array}{cc} a & b \\ c & d \end{array} \right) \] の逆行列を $A^{-1}$ は \[ A= \left( \begin{array}{cc} \dfrac{d}{|A|} & \dfrac{-b}{|A|} \\ \dfrac{-c}{|A|} & \dfrac{a}{|A|} \end{array} \right) = \dfrac{1}{|A|} \left( \begin{array}{cc} d & -b \\ -c & a \end{array} \right) \] である。ここで $|A|$ は $A$ の行列式。

実際、上の行列がもとの行列の逆行列になっているか確かめよう。

[
AA^{-1}\

\left(
\begin{array}{cc}
a & b \
c & d
\end{array}
\right)
\left(
\begin{array}{cc}
\dfrac{d}{|A|} & \dfrac{-b}{|A|} \
\dfrac{-c}{|A|} & \dfrac{a}{|A|}
\end{array}
\right)\

\left(
\begin{array}{cc}
a\times\dfrac{d}{|A|}+b\times\dfrac{-c}{|A|} & a\times\dfrac{-b}{|A|}+b\times\dfrac{a}{|A|} \
c\times\dfrac{d}{|A|}+d\times\dfrac{-c}{|A|} & c\times\dfrac{-b}{|A|}+d\times\dfrac{a}{|A|}
\end{array}
\right)\

\left(
\begin{array}{cc}
\dfrac{ad-bc}{|A|} & 0 \
0 & \dfrac{ad-bc}{|A|}
\end{array}
\right)\

\left(
\begin{array}{cc}
1 & 0 \
0 & 1
\end{array}
\right)
]

実は

\[ AA^{-1}=A^{-1}A=I \]

である。一般に行列のかけ算は交換法則が成り立たない(非可換性を持つ)が、行列と逆行列のかけ算は唯一普遍的に交換法則が成り立つ。

逆行列の計算例

[
(1)\ \ A=
\left(
\begin{array}{cc}
7 & 3 \
2 & 1
\end{array}
\right)
]

[
|A|=7 \times 1-3 \times 2=1
]

[
A^{-1}

\left(
\begin{array}{cc}
1 & -3 \
-2 & 7
\end{array}
\right)
]

[
(2)\ \ A=
\left(
\begin{array}{cc}
9 & 4 \
4 & 2
\end{array}
\right)
]

[
|A|=9 \times 2-4 \times 4=2
]

[
A^{-1}

\left(
\begin{array}{cc}
\dfrac{2}{2} & \dfrac{-4}{2} \
\dfrac{-4}{2} & \dfrac{9}{2}
\end{array}
\right)

\left(
\begin{array}{cc}
1 & -2 \
-2 & \dfrac{9}{2}
\end{array}
\right)
]