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ハミルトンの4元数とa²+b²+c²+d²の因数分解

ハミルトンの功績の一つに

\[ a^2+b^2+c^2+d^2 \]

の因数分解がある。これは実数はもちろん、複素数を使っても因数分解できない。

そこでハミルトンの四元数を次のように定義する。これはいわば複素数の「すごい版」である。

$i,\ j,\ ,k$ を次のように定義する。 \[ i^2=j^2=k^2=-1\\ ij=-ji=k\\ jk=-kj=i\\ ki=-ik=j \] $1,\ i,\ j,\ ,k$ をハミルトンの四元数という。

最初の式 $i^2=-1$ からハミルトンの四元数は複素数の拡張であるとわかる。ハミルトンは複素数の $i$ のようなものを $3$ つ定義し、複素数という世界より「広い世界」を作り、そこで上の二次式を因数分解した。

上で定義した $i,\ j,\ ,k$ を使うと

\[ a^2+b^2+c^2+d^2\\ =(a+bi+cj+dk)(a-bi-cj-dk) \]

と因数分解される。

ハミルトンの四元数による因数分解の証明

\[ (a+bi+cj+dk)(a-bi-cj-dk)\\ =a^2-abi-aci-adk\\ +bia-bibi-bicj-bidk\\ +cja-cjbi-cjcj-cjdk\\ +dka-dkbi-dkcj-dkdk\\ =a^2-abi-aci-adk\\ +abi+b^2-bck+bdj\\ +acj+bck+c^2-cdi\\ +adk-bdj+cdi+d^2\\ =a^2+b^2+c^2+d^2 \]

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