貸借対照表の基本(資産と負債と純資産の意味)|簿記と財務会計の実践的な勉強

会計の基本的な考え方である

資産 = 負債 + 純資産

について説明します。

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Aさんの家計を例にとってみます。Aさんの所持する現金は1000万円。家を買うために銀行から2000万円借金して、3000万円の家を買ったとします。この場合、Aさんの資産、負債、純資産はこうなります。

資産  3000万円(家) 負債  2000万円(銀行からの借金) 純資産 1000万円(本来持っていた現金)

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「資産 = 負債 + 純資産」の式が成り立っています。

資産ってなに?

ざっくり言うと、資産は今持っているもの、負債は借金、純資産は本来の自分の持ち分。このうち資産はさらに流動資産、固定資産に分けられ、固定資産はさらに有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産に分けられます。どの区分の資産が大きいかでその会社の性質が大雑把にわかるので、資産の区分は必ず理解しましょう。

資産の区分 流動資産 … 現金など流動性、換金性の高い資産。 固定資産 … 土地や建物など流動性、換金性の低い資産。

固定資産の区分 有形固定資産 … 土地や建物など。 無形固定資産 … ソフトウエアやのれんや商標権など。 投資その他の資産 … 投資有価証券など。

改めて式にします。

資産=流動資産+固定資産(有形+無形+投資)

有形固定資産と無形固定資産

流動資産は現金みたいなもの、有形固定資産は土地みたいなもの、とイメージするとわかりやすいですが、残りの2つ、無形固定資産と投資その他の資産がわかりづらいですね。

意味合いが少し変わってきますが、無形固定資産はざっくり言うと「知的財産」です。土地や建物などのような実体はないが、会社の利益を生み出している価値です。

例えばソフト開発会社の有価証券報告書の多くは「ソフトウエア」という項目をもうけています。ソフトウエアは目に見えないものですが、それを利用して新しい製品を作ることも、あるいは他の会社に売ることもできる資産です。

投資その他の資産

投資その他の資産は主に子会社の株式です。

子会社の株式は、東京証券取引所ですぐに売買できる換金性の高いいわゆる「株」と違い、そう簡単に売買できない換金性の低い資産です。

理由は子会社の立場になってみるとわかります。子会社にとって親会社は重要な取引先であり、なるべく関係を維持したい相手であります。子会社と親会社の関係をつなぎとめるものが、親会社が保有する子会社の株式です。

親会社が子会社の株を簡単に売買できたら、親子の関係がいつ崩れてもおかしくないことになります。これは継続的な取引の妨げになります。

したがって子会社などの関連会社の株式の売買は一般的に換金性の低い資産、投資その他の資産に振り分けられます。

負債ってなに?

負債はざっくり言うと借金です。資産をプラスの概念とすると、負債はマイナスの概念です。

負債も資産と同じように流動と固定に分けられます。

負債の区分 流動負債 … すぐに返さないといけない借金。 固定負債 … すぐに返さないといけないわけではない長期的な借金。

純資産ってなに?

さらに純資産を見てみましょう。純資産は株主資本、その他の包括利益累計額、新株予約権、少数株主持分などに分けられますが、株主資本以外の項目は一般的に額が小さいので、ここでは株主資本に絞ります。

純資産の区分 株主資本 その他の包括利益累計額 新株予約権 少数株主持分(非支配持分)

株主資本の区分 資本金 資本剰余金 利益剰余金 自己株式

資本剰余金と自己株式は会社法上複雑な定義があるため、ここではひとまず資本金みたいなものと位置づけておきます。

純資産は会社の本来の持ち分であると先に説明しましたが、資本金は会社がもともと持っていたお金、あるいは設立当初に持っていたお金(正確性は欠きますが、概念の理解のため)です。

しかし設立当初の持ち分が100万円でも、毎年利益を積んでいくことで持ち分はどんどん増えていきます。この増分が利益剰余金です。つまり

資本金 … もともとの持ち分 利益剰余金 … 利益によって増えた持ち分

となります。

例えば設立当初の持ち分である資本金が100万円のA社について考えてみましょう。A社が毎年10万円の利益をあげたとすると、7年後の純資産はどうなっているでしょうか?

答え 資本金 100万円 利益剰余金 70万円 合計 170万円

有価証券報告書の貸借対照表を見てみよう

大企業の有価証券報告書における貸借対照表は白と水色の縞模様が背景のページなのですぐに見つかるでしょう。項目がたくさんあって見づらいと思いますが、貸借対照表は大雑把に資産の部負債の部純資産の部に分かれています。

ここで業績のいい(あるいはかつてよかった)会社の有価証券報告書を見ると、1つの共通点が見られます。純資産合計額に対する利益剰余金の割合が比較的高いということです。例えば富士フイルムホールディングスの2014年度の有価証券報告書を見てください。

富士フイルムホールディングス 連結会計年度(平成27年3月31日)

(単位:100万円) 資本金 40,363 資本剰余金 75,588 利益剰余金 2,126,075 純資産合計 2,467,416 富士フイルムホールディングス「2014年度有価証券報告書」より引用

見てすぐにわかるように、純資産合計に占める利益剰余金の割合が極めて高い。富士フイルムホールディングスは長年に渡って高い利益を出し、毎年積み上げているとわかります。

逆に利益剰余金が極めて少ない会社があります。業績が悪化して毎年利益剰余金を削っている可能性が高いでしょう。