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「リーマン幾何学(裳華房)」の評価と使い方

「リーマン幾何学(酒井隆著)」は裳華房から出ているリーマン幾何学(微分幾何学)の専門書です。リーマン幾何学の専門書として有名ですが、非常に細かく非常に分厚いため人を選びます。

項目 評価
使いやすさ ★★★
詳しさ ★★★★★
おすすめ ★★★
レベル 超上級
対象 大学院生~

物理系の方にはまったくおすすめできない

本書はリーマン幾何学を本格的に研究する人を対象にしています。単にリーマン幾何学を勉強したいという方はもっと薄い専門書がいいでしょう。特に物理系の方は注意。

物理を勉強しているとどこかで微分幾何学をきちんと勉強したくなる時があります。一般相対性理論の測地線の方程式はリーマン幾何学をまさに使っています。相対性理論を勉強すればするほど「リーマン幾何学をきちんと勉強していないとわかったことにならないのではないか?」と考えてしまいます。

そして大学の生協に行くと(あるいは各専攻の図書室に行くと)「リーマン幾何学(裳華房)」がぽつんと置いてある。するとなんとなく手にとってなんとなく勉強して、いつの間にかなんとなく読まなくなっている。

本書は物理用の専門書ではなく、完全に数学用の専門書です。相対性理論のサブとして微分幾何学を勉強したい方は裳華房から出ている「曲線と曲面の微分幾何(小林昭七著)」のほうをおすすめします。

数学が好きな人は一家に一冊的な感覚で置いておくといいかもしれない

微分幾何学とリーマン幾何学の専門書としての完成度は非常に高いため、本書は岩波の国語辞典のように一家に一冊置いておくといいですね。

前述にある「曲線と曲面の微分幾何」を読んで「もうちょっとここが知りたい」というときに使うなど、使い道はいろいろあると思います。

また本書に限らず裳華房の数学選書シリーズは重厚でシックな趣があるため、部屋のデザインをよくします。書棚にこれ一冊があると部屋の「書斎感」が一層ひきたつ。それだけのために買うというのはもちろんナンセンスですが…。

値段は専門書の中でも高い部類

本書はかなり分厚いため値段もそれなりです。アマゾンでも六千円以上します。一方「曲線と曲面の微分幾何」は三千円もしないため、とりあえず微分幾何学を勉強したいという方、本業が物理の方はまずは「曲線と曲面の微分幾何」のほうがいいですね。

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