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コロイドの性質(チンダル現象、ブラウン運動、電気泳動)と種類(親水コロイドと疎水コロイド)

コロイド(粒子)は直径が大きい粒子で、大きさは 10-9~10-7m ほど。ろ紙は通るが、半透膜は通らない。気体、液体、固体のコロイドがある。雲や泥水はコロイドである。

コロイドのざっくりした説明

コロイドは、直径が 10-9mから10-7m (メートル)の粒子が、他の物質に分散している状態をいう。コロイドはあくまでも拡散している状態であって、その粒子はコロイド粒子といわれる。コロイド粒子が広がっている物質を分散媒といいます。

コロイド粒子は水などの分子よりは大きく、酸化銅などの沈殿物よりは小さい、中間的な物質。沈殿物を除去するためにろ紙を使うが、コロイド粒子はろ紙を通過してしまう。ろ紙は水分子とコロイド粒子を分別できない。

一方、水分子といった一般的な分子よりは大きいので、コロイド粒子は半透膜は通過できません。半透膜を使えば水とコロイド粒子を区別できます。

コロイドの性質

コロイドには4つの性質があります。チンダル現象、ブラウン運動、電気泳動、透析。

チンダル現象
コロイド溶液に光を当てると、光線の筋が見える。

ブラウン運動
コロイド粒子の不規則な運動をブラウン運動といいます。ブラウン運動は、分散媒の小さな物質がコロイド粒子という巨大な粒子に衝突することで起きます。

電気泳動
コロイド粒子は電気を持っています。粒子によって正になったり負になったりします。電極をコロイド溶液にさしこむと、コロイド粒子が一方の電極に集まってきます。

透析
コロイド粒子は水分子より大きく、半透膜で区別できるという話がありましたね。これを透析といいます。透析は血液の透析などの現場で応用されています。

チンダル現象

チンダル現象は、コロイド溶液に光を当てると光の道筋が見えるという性質である。

水や水酸化ナトリウム水溶液といった水溶液は光を当ててもその道筋は見えない。しかしコロイド溶液は光を当てるとその道筋がぼんやりと見える。

  • 普通の水溶液 → 光の筋が見えない
  • コロイド溶液 → 光の筋が見える

チンダル現象は、光がコロイド粒子に衝突して散乱する現象である。水酸化ナトリウム水溶液は溶質のイオンがあまりに小さいため、光の散乱が起きず、チンダル現象も起きない。

雲の隙間から光が漏れるのはチンダル現象で、この光は薄明光線(レンブラント光線)とも呼ばれる。

ブラウン運動

コロイド溶液中のコロイド粒子は不規則に動いている。この不規則な運動をブラウン運動という。

ブラウン運動は、コロイド溶液の小さな溶媒分子が大きなコロイド粒子に不規則に衝突することを原因とする。

電気泳動

コロイド粒子は正または負に帯電し、コロイド溶液に電圧をかけると陽極または負極の一方にコロイド粒子が引き寄せられる。これを電気泳動という。

金属イオンの水和と同じように、溶媒の水分子はコロイド粒子に水和する。コロイド粒子に水和する水分子の数によってコロイドは疎水コロイドと親水コロイドに分けられる。

  • 疎水コロイド → 水和している水分子が少ない
  • 親水コロイド → 水和している水分子が多い

水和している水分子が多いと、コロイド粒子の電荷がプラスマイナスゼロに近づき、コロイド粒子間の電気的反発が小さくなる。

逆に水和している水分子が少ないと、コロイド粒子の電荷は正または負に帯電し続けるため、コロイド粒子間の電荷的反発が大きくなる。

コロイド 水和
疎水 少ない 金属酸化物
金属水酸化物
親水 多い デンプン

無機化合物は疎水コロイド、デンプンなどの有機化合物は親水コロイドになりやすい。

疎水コロイド

疎水コロイドは水に溶けないコロイドです。水分子と近づかないので、自身の電荷によって互いに反発しあっています。

(コロイド粒子と反対の電荷を持つ)電解質を少し入れると、その電解質が持つ電荷でコロイド粒子の電荷が打ち消され、コロイド粒子が集まって沈殿します。これを凝析といいます。

親水コロイド

親水コロイドは疎水コロイドと逆で、水と仲のいいコロイド粒子で、水分子を自身に引き寄せて水和しています。

電解質を大量に入れないと、この水和している水分子を剥がすことはできません。電解質をどんどん入れていくと、コロイド粒子から少しずつ水分子が剥がれていき、電解質でコロイド粒子の電荷が相殺されることでコロイド粒子が沈殿します。

保護コロイド

疎水コロイドに親水コロイドを加えると、親水コロイド粒子が疎水コロイド粒子を水和するように囲い、疎水コロイドが安定して存在するようになる。疎水コロイドを保護するという意味で、この親水コロイドを保護コロイドという。

墨汁は、炭素が疎水コロイド、「にかわ(動物の骨や皮から取り出したゼラチンを主成分とする物質)」が保護コロイド(親水コロイド)である。

凝析と塩析

少量の電解質(水酸化ナトリウム水溶液など)を疎水コロイドに加えると、電解質の陽イオンまたは陰イオンがコロイド粒子と電気的に近づいて、コロイド粒子の電荷が小さくなる。コロイド粒子間の反発が小さくなり、集まって沈殿する。これを凝析という。

一方、親水コロイドは水和している水分子が多く、電解質を少し加えただけでは凝析は起きない。大量の電解質を加えてようやく水和している水分子がコロイド粒子から離れ、電解質のイオンがコロイド粒子と電気的に近づき、コロイド粒子が集まって沈殿する。これを塩析という。

  • 疎水コロイド → 凝析
  • 親水コロイド → 塩析
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