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実数の切断の定義とデデキントの定理(デデキントの切断)

切断の定義
数の集合 $X$ の部分集合 $A,\ B$ について、 $X$ に属するすべての数が $A$ または $B$ に属し、かつ $A$ に属するすべての数が $B$ に属するすべての数より小さいとする。また $A,\ B$ は空集合でないとする。このとき $(A,\ B)$ を $X$ のデデキントの切断という。また $A$ を下組、 $B$ を上組という。

あるいは $\forall$ などの記号を使って下のように定義する。

切断の定義
数の集合 $X$ の部分集合 $A,\ B$ について、 $\forall{x} \in A$ に対して $x < y\ (\forall{y} \in B)$ かつ $A,\ B \neq \phi$ が成り立つとき $(A,\ B)$ を $X$ のデデキントの切断という。また $A$ を下組、 $B$ を上組という。

例えば $[0,\ 1]$ は $[0,\ 0.5)$ と $[0.5,\ 1]$ に切断できる。

デデキントの切断の例

  • $(0,\ 1)$ は $(0,\ 0.1)$ と $[0.1,\ 1)$ に切断できる。
  • $(0,\ 1)$ について $(0,\ 0.1)$ と $(0.1,\ 1)$ は切断ではない。なぜなら $0.1$ は下組と上組のどちらにも属さないから。
  • $(0,\ 1)\cup(2,\ 3)$ について $(0,\ 1)$ と $(2,\ 3)$ は切断である。

デデキントの定理

デデキントの定理
実数の切断は下組と上組の境界となるただ一つの数を定める。

以下 $X=\mathbb{R}$ とする。デデキントの定理は $\mathbb{R}=A \cup B\ (A,\ B \neq \phi)$ かつ $\forall{x} \in A$ に対して $x < y\ (\forall{y} \in B)$ が $A$ と $B$ の境界を定めるという主張である。

例えば $\mathbb{R}=(-\infty,\ 2) \cup [2,\ +\infty)$ であるが、この $(-\infty,\ 2),\ [2,\ +\infty)$ はデデキントの切断の定義にしたがっている。デデキントの定理によるとデデキントの切断によってただ一つの数が定まるが、この場合それは $2$ である。ここで $2$ は $B$ の最小値であることに注意。

なお $2$ を $A$ の上限という。

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