SNSの拡散力とインフルエンサーに思うこと:意識高い系と危機意識高い系の違い

2018/6/07

Shinichiro Sakamoto

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先月末(2018年5月)にアメリカの人気番組「ロザンヌ」が打ち切りになった。出演女優のロザンヌ・バー氏がツイッターで差別的な発言をしたことが原因とされている。

米人気コメディー「ロザンヌ」打ち切り-出演女優が人種差別ツイート(ブルームバーグ)

番組を打ち切りにしたウォルト・ディズニーのABCには評価の声もある。この番組が今後どうなっていくかは今のところよくわからない。わかることは一つしかない。SNSとメディアを通じた発信はリスクが高すぎるということだ。この問題は教育で最重要課題になるだろう。

拡散力に思うこと

いくつかの分析でフォロワーのレバレッジがうまく機能していることがわかっている。つまり何十万人というフォロワーがいなくても、そのフォロワーに運良く拾ってもらえることで大きな影響力を持つということだ。

拡散力の向上は正義感のある無難な発言が多数派を占めることを意味する。こうして民主主義は完成される。私たちは表面的に多様であり、内面的に同一の存在になっていく。

こうした状態に吐き気を催している人たちは、もはや口を閉ざすしかない。自分の意見を言うことよりも、黙ってせっせと金を作るべきだとすぐに気づくはずだ。こうして世論はますます画一的になり、より強固になっていく。

インフルエンサーに思うこと

私はSNSと絶望的に相性が悪い。アカウントを作ってもなにもしない。適当な実験を行ってはなにもしない状態に戻る。

インフルエンサーは豊かな知識を使ってさまざまな言葉を発信している。特に注目されている発言が意識高い系というタイプ。意識高い系という言葉そのものにはぞっとするが、そういうタイプがあるようだ。

その一部は日本の未来と労働環境を嘆いて、仕事を辞めることをおすすめしたり、アメリカのシリコンバレーを崇拝したりする。私はこうした人たちをこの記事で批判したいわけでない。個人的に思うことがない。この記事は意識高い系という人たちの他に、危機意識高い系というタイプがいることを言っているだけだ。

ここからは話が少しずれて、意識高い系と危機意識高い系というタイプを考えたいと思う。

危機意識高い系

とは私のことだ。このタイプは単に日本の人口を気にしている。経済の尺度と豊かさは人口である程度わかる。経済はあまりに複雑なので、人口で予測することが一番無難である。これは大学でさんざん学んだことだった。

人口は緩慢に変化するため、多くの人はどうでもいいと思っている。しかし人口の増減と年齢分布はその国の経済のほとんどすべてを規定する。無数の評論家と経済ジャーナルが日本の少子高齢化をとりあげても、この話題が北朝鮮ミサイルと同程度に扱われることはあまりない。この無関心さに危機を持っているのが、危機意識高い系だ。

意識高い系と危機意識高い系の違い

意識高い系は労働の効率性や既存のシステムに対する不満を基礎にしている。それに対して危機意識高い系は人口問題を土台にしている(したいと思う…)。

政治の話になると財政の話になる。すると年金と医療費になる。そうして人口問題が数ある問題の一つとして浮上する。こうして議論のポイントが緩やかに人口問題になる。そうではなく、経済の根本が人口分布に強く依存していることをもっと認識するべきだ。これが危機意識高い系の危機意識である。

カジュアルな格好で働くことはすばらしい。でもスーツで働くこともすばらしい。どちらも同じ仕事に変わりないのだから。同様に仏教的な瞑想を適度にやって労働効率を上げるのもいい。でも別にやらなくてもいいかもしれない。それは人による。

シリコンバレーを崇拝することはすばらしい。実際にシリコンバレーはすばらしい会社を抱えているし、理想的な産学連携もある。しかしバークシャー・ハサウェイはシリコンバレーにないし、ウォール街もシリコンバレーにない。

ダブルワークはいいかもしれない。フリーになって自分で稼ぐことはすばらしい。でも正社員でなにが悪いのだろう。インターネットで発言力を強めることが今後の課題だろうか。そうかもしれないが、それは場合によるとしかいえない。

こうした問題は意識高い系の専門分野だが、危機意識高い系はそうした問題はどうでもいい問題だと考えている。

三つの問題

あらためて危機意識高い系を説明したいと思う。危機意識高い系は三つの危機意識をいつも考えている。

  • 環境問題
  • 人口分布
  • 教育格差

環境問題は言うまでもなく、アル・ゴア氏といったすばらしい活動家が熱心に説明しているテーマ。残念なことに環境学は未成熟なので、二酸化炭素排出量と地球温暖化の因果関係をすべての政治家に説明できる力を十分には持っていない。しかし異常気象は年々ひどくなり、明らかに経済の効率性を下げている。

人口分布は労働生産性と税制に直接影響する。高齢者だらけになれば、イノベーションは停滞し、ゼロサムの経済はますます進み、経済格差は絶望的になる。

最後に教育格差。子どもを塾に行かせるような家庭がある一方で、教育とまったく縁がない人たちがいる。これ以上なにかを言うことは、それこそ最初にあげたメディア発信のリスクをともなうのでできない。しかし教育格差が開いていることはほぼ間違いない。

この三つは時間をかけてゆっくりと私たちを痛めつけるが、その痛みに気づいたときはもう今の状態に戻れない。意識高い系と危機意識高い系の違いをわかりやすく言うと、前者はとてもポジティブだが、後者はとてもネガティブということだ。だから危機意識高い系は参加者がいない。

注 危機意識高い系という言葉はこのサイトが勝手に作った造語です。すでにどこかで使われていたらすみません。


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