2016年度センター倫理 模擬問題第1回

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第1問 以下は、現代社会の問題を話し合う生徒Aと先生Bの会話である。この文章を読み、下の問い(問1〜9)に答えよ。(配点 24)

A:「今年は12月になっても寒くならなかった。最近の気候はよくわからないですね」 B:「そうだね。冬になっても寒くならないのは(a)地球温暖化の影響と言われているらしいよ」 A:「地球温暖化が深刻化して異常気象が続いてしまうと、(b)農業にも影響が出るかもしれませんね。夏にとれる作物がとれなかったり、逆に冬のとれる作物がとれなくなったり。これからどうなってしまうんだろう」 B:「もともとこうした問題が起きたのも、先進国が長い間自然破壊を無視して工業化を突き進んだからだろうけど、先進国以外の発展途上国にしてみればいい迷惑だよ。自分たちはなにもしていないのに地球の環境がおかしくなっているんだから」 A:「そうです。だから先進国と発展途上国の間で意見が対立してもおかしくない。僕は日本という先進国にいるけど、それ以外の国の人たちの気持ちも思って日本人としての(c)責任とはなにか考えていこうと思っているよ」 B:「素晴らしいことだね。責任感を持って世の中を広く見渡すというのは社会に出る前の(d)猶予期間に必要なことだね。責任は社会に対してだけでなく、自然に対しても必要だ。一人一人が自然に対して責任感を持ち、(e)政治への関心を持てば環境問題もいずれなくなっていくと思うな」 A:「しかし今多くの(f)は環境問題よりも(g)戦争や憲法9条のほうに関心があるみたいです。今年は安保法案に関してデモがありましたが、それよりもやはり環境問題のほうが重要ではないかと思います」 B:「環境問題は大切かもしれないけど、やはり同じように平和問題も大切だよ。政治的な問題や課題はどれがどれよりも大事だと簡単に言えないところがある。例えば少子高齢化問題や(h)不景気の問題もある。私たちはこうした問題すべてに向き合わないといけないよ」 A:「そうですね。私たちは地球と社会で起きているすべての問題について責任を負っているのかもしれません」

問1 下線部(a)に関して、地球温暖化を含む環境問題について近年多くの国が話し合いと対策を続けているが、これに関する記述として最も適当なものを次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 循環型社会形成推進基本法をもとに2000年に導入された3Rとは、Reuse、Recycle、Reproduceの頭文字をとったものである。 ② 1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連環境開発会議、通称『地球サミット』は持続可能な開発を理念としている。 ③ 世界最大の二酸化炭素排出国であるアメリカは日本や欧米諸国と同様京都議定書に批准し、二酸化炭素排出削減に向けて90年代後半から対策を始めた。 ④ 近年日本国内で太陽光発電の推進に向けた取り組みが行われているが、太陽電池国内出荷量は2012年を境に減少傾向が続いている。

問2 下線部(b)に関して、農業に必要な農薬が環境に与える問題を指摘した人物の代表的著作を次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 『正義論』 ② 『狂気の歴史』 ③ 『沈黙の春』 ④ 『啓蒙の弁証法』

問3 下線部(c)に関連して、20世紀に自由と責任を論じた実存主義哲学者サルトルの考え方として適切でないものを次の①〜④のうちから一つ選べ。

① ものは作られる前に用途が決められているが、人間は生まれる前に生きる意味や本質を与えられていない。人間は生まれてから社会で暮らしていく中で自分という本質を決定していく。 ② 人間は自らを自由に決定できる存在であり、同時に社会の自由を達成していく存在でもある。社会の自由は自己以外の存在によって影響を受けるため、自分の力で社会を変えることは難しい。 ③ 自分で自分を決定できる存在として、人間は自由の刑に処せられている。つまり自分がどのような人間になっていくかの責任はすべて自分で負わなければいけない。 ④ 自分で決断したあらゆる自由な行動は広く人類全体に影響するから、人間は社会に対して責任を持つ。

問4 下線部(d)に関して、猶予期間はモラトリアムとも言われており青年期に生じる問題の一つである。次のア〜ウは青年期の特徴を説明したものであるが、それぞれ誰の考え方か。その組合わせとして正しいものを下の①〜⑧にうちから一つ選べ。

ア 人間の欲求は低次から高次まで段階があり、その一つに自己実現の欲求がある。 イ 私たちは二度生まれる。一度目は存在するために、二度目は生きるために。 ウ ある地域の若者は反抗等青年期によくある行動を比較的起こさない。

① ア レヴィン イ エリクソン   ウ マズロー ② ア レヴィン イ マズロー    ウ ルソー ③ ア ミード  イ ユング     ウ エリクソン ④ ア ミード  イ ハヴィガースト ウ ユング ⑤ ア ルソー  イ ユング     ウ レヴィン ⑥ ア ルソー  イ エリクソン   ウ マズロー ⑦ ア マズロー イ ルソー     ウ ミード ⑧ ア マズロー イ ミード     ウ レヴィン

問5 下線部(e)に関連して、次のア〜ウは、現代社会で政治に解決が求められているテーマとその問題についての説明である。その正誤の組合わせとして正しいものを、下の①〜⑧にうちから一つ選べ。

ア パソコンやスマートフォンを持っている人とそうでない人の間で経済的な格差が生じる問題をデジタルデバイドという。 イ 少子化は続いているものの生涯未婚率は一貫して下がっており、それに伴って離婚率は一貫して上がっている。 ウ 近年、投票率の低下を防ぐために期日前投票所が設置された。

① ア 正 イ 正 ウ 正 ② ア 正 イ 正 ウ 誤 ③ ア 正 イ 誤 ウ 正 ④ ア 正 イ 誤 ウ 誤 ⑤ ア 誤 イ 正 ウ 正 ⑥ ア 誤 イ 正 ウ 誤 ⑦ ア 誤 イ 誤 ウ 正 ⑧ ア 誤 イ 誤 ウ 誤

問6 下線部(f)に関連して、次の二つの図は都道府県別人口増減の平成26年と25年における統計結果である(統計局より)。二つの図の示す結果を適切に説明したものはどれか。その組合わせとして正しいものを次の①〜④のうちから一つ選べ。なお自然増加とは出生数から死亡数を引いた数であり、社会増加とは地域への人口流入数から流出数を引いた数である。

以下の図は人口推計(平成26年10月1日現在)より引用。 引用ここまで。

① 平成26年と25年の両方で人口増加率が0.5を超えた都道府県は東京都のみであり、平成26年と25年の両方で人口増加率が-1.0を下回った都道府県は秋田県のみである。 ② 平成26年で人口増加率が正となった都道府県のうち、自然増加率が社会増加率を超えた県は沖縄県と滋賀県のみである。 ③ 平成26年と25年で人口増減率のうち社会増減率の正負が反転している都道府県は滋賀県と大阪府のみである。 ④ 千葉県の平成25年における人口増加率は全国6位である。

問7 下線部(g)に関連して、第一次世界大戦以降、多くの人や団体が戦争反対と恒久的な平和を訴えて活動した。その説明として適当でないものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 第一次世界大戦中、フランスの世論に逆らうように戦争反対を掲げたロマン・ロランの代表作は『ジャン・クリストフ』である。 ② ラッセル・アインシュタイン宣言で知られるバートランド・ラッセルは強制収容所で過ごした人物への取材をもとに『夜と霧』を著した。 ③ 第一回パグウォッシュ会議には湯川秀樹と朝永振一郎が参加し、パグウォッシュ会議はノーベル平和賞を受賞した。 ④ 非暴力を掲げてインド独立に貢献したマハトマ・ガンジーは、第二次世界大戦前イギリスの植民地支配に対抗して大規模な不服従運動を行った。

問8 下線部(g)に関連して、一部の先進国では貧富の格差が拡大していると言われているが、資本家と労働者の格差に注目して労働という点から資本主義社会を分析したマルクスの思想として適当でないものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 法律や文化等の上部構造は経済の仕組みによって定まり、法律や文化が経済を決めるわけではない。したがって旧来の経済体制から資本主義体制に変わった時、国の社会制度も変わった。 ② 技術が発達して生産力が増大するとそれまでの生産関係が崩れて新しい生産関係が生まれる。歴史はこれを繰り返して発展してきたが、資本主義世界は労働者による社会主義革命を通じて新たな局面をむかえる。 ③ 人間の労働産物はもともと自分の手元に残っていたが、資本主義になってそれは資本家のものになった。この生産物からの疎外によって労働者は貧しくなり、資本家はますます富むようになる。 ④ 資本主義社会における富は生産手段を所有している資本家に集まっており、労働者の土地や財産もまた例外ではないから、労働者のそれらを守るために私有財産制は排除してはいけない。

問9 本文の内容に合致する記述として最も適切なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① AはBと話をする前まで政治的な関心がほとんどなく、また責任についても軽んじていたが、Bから地球温暖化問題の話を聞いて人類が地球に負っている責任を初めて知ることになった。 ② AはBと話をする前と後で環境問題に対する関心を失っておらず、自然への責任も自覚している。Bと話をしていく中でその責任の対象が広がっていくが、その中には平和問題もある。 ③ AはBと話をする前から環境問題に強い関心を持っていたが、Bと話をしていく中で関心の対象が環境問題から不景気の問題に移った。 ④ AはBと話をする前は先進国の横暴なやり方に疑問を持っていたが、Bと話をするうちに先進国のやり方の共感するようになった。

第2問 次の文章を読み、下の問い(問1〜10)に答えよ。(配点 26)

道徳という言葉を考えてみよう。道徳は抽象的な概念であり、人によって道徳的な行動や判断は異なるからある種の(a)相対主義に基づく言葉であるとわかる。しかし人を殺してはいけない、物を盗んではいけないといった明らかに正しい道徳的概念があることもまた事実だ。古今東西の思想家はこのように道徳にある(b)一定の正しさや論理を見出そうとした。その一人に(c)アリストテレスがいる。

アリストテレスは徳というものを知性的徳と習性的徳に分類し、知性的徳の一つに知恵があるとしたが、この知恵はプラトンの四元徳の一つでもある。プラトンは知恵によって勇気と(d)節制を身につけることで(e)正義が達成されると考えた。このように古代思想家たちは道徳を細分化していったが、これは抽象的で意味の認識の差が生まれやすい概念を話し合う場合に今でもよく使われる手法である。アリストテレスは特にこの分類手法を多用したことで知られる。

一方、古代中国では孔子が徳として仁をあげた。仁とは親孝行する気持ちや嘘偽りのない心をさしており、君子は(f)徳によって国を治めなければいけないと主張した。この孔子の考えをより発展させた思想家が(g)孟子であり、孟子の国家論は易姓革命という言葉に現れている。道徳は個人の問題のみならず国の政治にも関わっているという考えは現代にも通じるのではないだろうか?

ところで道徳の最初の文字『道』という言葉は道徳の観念とややずれている。諸子百家の一人である(h)老子は道を無のようなもの、言葉で説明できないものとした。

問1 下線部(a)に関連して、相対主義の立場をとって「人間は万物の尺度である」と唱えた思想家は誰か。次の①〜④のうちから一つ選べ。

① プロタゴラス ② ヘラクレイトス ③ アナクシマンドロス ④ デモクリトス

問2 下線部(b)に関連して、論理的正しさを証明する方法として帰納法と演繹法の二つがある。下のアからウは帰納法と演繹法の説明である。その正誤の組合わせとして正しいものを、下の①〜⑧にうちから一つ選べ。

ア 帰納法とは実験や経験から得られる事実から一般法則を導くという方法で、演繹法とは明らかに正しいと考えられる原理から推論によって諸々の結論を導くという方法。 イ デカルトは帰納法を採用し、ベーコンは演繹法を採用した。 ウ 「私は人間であり、人間は猿から進化した。したがって私は猿から進化した」という文の論理的妥当性は演繹法による。

① ア 正 イ 正 ウ 正 ② ア 正 イ 正 ウ 誤 ③ ア 正 イ 誤 ウ 正 ④ ア 正 イ 誤 ウ 誤 ⑤ ア 誤 イ 正 ウ 正 ⑥ ア 誤 イ 正 ウ 誤 ⑦ ア 誤 イ 誤 ウ 正 ⑧ ア 誤 イ 誤 ウ 誤

問3 下線部(c)に関連して、次の文章は、アリストテレスとプラトンについて述べたものである。(a)から(c)に入る語句の組合わせとして正しいものを、下の①〜⑧にうちから一つ選べ。

プラトンは現実世界の他にイデアの世界があり、人はかつてイデアの住人だったとした。人がりんごを見てそれがりんごであるとわかるのは、イデア界にいた頃に知っていたりんごのイデアを想起できるからに他ならない。最高のイデアは(a)であり、現実世界における太陽のようなものである。

プラトンのイデアを『ものの本質』という言葉で表すことにしよう。この『ものの本質』はそのものを超越したイデア界にあり、そのものの中にあるわけではない。人がそのものを認識できるのはイデア界にある『ものの本質』を想起するからであるが、プラトンに続くアリストテレスはこれを(b)という言葉で表現し、そのものに内在すると考えた。ここに二人の哲学的違いが見られる。

一方、二人はどちらも正義について論じており、プラトンは統治者が知恵を、防衛者が勇気を、生産者が節制を身につけた時に国の正義が達成されるとして、知恵を身につけた統治者による政治を(c)と呼んだ。

①(a)美のイデア(b)ヒュレー(c)哲人政治 ②(a)美のイデア(b)ヒュレー(c)王道政治 ③(a)美のイデア(b)エイドス(c)哲人政治 ④(a)美のイデア(b)エイドス(c)王道政治 ⑤(a)善のイデア(b)ヒュレー(c)哲人政治 ⑥(a)善のイデア(b)ヒュレー(c)王道政治 ⑦(a)善のイデア(b)エイドス(c)哲人政治 ⑧(a)善のイデア(b)エイドス(c)王道政治

問4 下線部(d)に関連して、節制に似た考え方・行為に喜捨があり、ムスリムに課せられた義務の一つである。イスラム教の説明として最も適当なものを、次の①〜④にうちから一つ選べ。

① ムスリムはアッラーとイエスを含めた預言者の存在を信じるが、天使の存在は信じない。 ② イスラム教でもキリスト教と同じく最後の審判が信じられており、すべての人間はその神の裁きを免れることはできない。 ③ イスラム教の聖典クルアーンは社会規範としての側面が強く、利子の追求を早くから認めていた。 ④ アッラーから預言者に下された啓典はクルアーンとインジール(イエスの福音書)の二つである。

問5 下線部(e)に関連して、ロールズの正義論として適当でないものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① ロールズはカント流の倫理学をもとに社会に必要な正義を考察し、それまでの社会契約説によらない社会理論を組み立てようとした。 ② 正義論の第一原理から、各人は自由に対して平等な権利を持っているとされる。 ③ ロールズが唱えた格差原理によれば、社会的・経済的不平等は最も不遇な人の利益を最大化する場合に限って認められる。 ④ 原初状態にいる人々は正義の契約に際して無知のヴェールで覆われている必要がある。

問6 下線部(f)に関連して、孔子の考え方として適当でないものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 怪力乱神を語らずという言葉にあるように、孔子は超越的で説明のつかないものに関心を示さなかった。 ② 親孝行といった内なる部分である仁は当然重要であるが、社会規範という外なる部分である礼もまた同様に重要である。 ③ 自分がしてほしくないことは他人にもしてはいけない。 ④ 君子は徳によって国を治めなければならず、徳と刑罰の両立が不可欠になる。

問7 下線部(f)に関連して、孟子の四端と四徳の関係を示したものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 惻隠の心は育てることで義となる。 ② 羞悪の心は育てることで智となる。 ③ 辞譲の心は育てることで礼となる。 ④ 是非の心は育てることで仁となる。

問8 下線部(h)に関連して、下のアからウは老子と荘子の説明である。その正誤の組合わせとして正しいものを、下の①〜⑧にうちから一つ選べ。

ア 老子は兼愛交利と小国寡民を説き、戦争を起こさないためには小さい国に少ない民が住むべきであるとした。 イ 荘子は、この世は本来善悪などの基準は存在せず、そうした基準から解放されて自由になった者を真人と呼んだ。 ウ 荘子は、どのような生を送ろうともそれは運命であり、受け入れていかなければいけないと説いた。

① ア 正 イ 正 ウ 正 ② ア 正 イ 正 ウ 誤 ③ ア 正 イ 誤 ウ 正 ④ ア 正 イ 誤 ウ 誤 ⑤ ア 誤 イ 正 ウ 正 ⑥ ア 誤 イ 正 ウ 誤 ⑦ ア 誤 イ 誤 ウ 正 ⑧ ア 誤 イ 誤 ウ 誤

問9 本文の内容に合致する記述として最も適切なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 道徳という言葉は相対主義に基づいているから、「道徳とはなにか?」について問いかけることは無意味であり、その答えもない。 ② 道徳という言葉の一文字目にある『道』という字に注目すると、古代中国の老子はこれを無のようなものとした。 ③ アリストテレスは徳という概念を個人だけでなく国家にまで適用したが、これは現代にも通じる重要な考え方である。 ④ アリストテレスと孟子は徳について分析したが、老子は特に分析していない。

第3問  次の文章を読み、下の問い(問1〜10)に答えよ。(配点 24)

日本はクリスマスを祝った一週間後、神社へお参りに行く。この二つはキリスト教と神道を象徴しているが、日本人はキリスト教を国教としてはいない。キリスト教を信仰している者は少ないのに、日本人はクリスマスを祝う。また亡くなった人は一般的に寺のお墓に入るが、寺は仏教の建造物である。つまり日本は神道、仏教、キリスト教の三つとかかわりを持っているが、よく考えると面白い話である。ここでは日本における以上三つの宗教の歴史を辿ってみよう。

古代の日本人は自然のあらゆるものを神として祀ったが、その一つの富士山は現在の浅間神社の信仰対象となっている。山や大きな石、あるいは狐といった動物までもが神聖視され、これら神々は一般的に八百万神と言われている。いわゆる(a)神道は起源を特定できないが、これら信仰が神道の源流をなした可能性は高い。キリスト教における新約聖書に相当するものは神道にはないが、(b)古事記は神道が形成されていく歴史を分析する上で非常に重要な作品であり、江戸時代に(c)本居宣長が古事記を研究した結果を古事記伝に残している。

六世紀に仏教が伝来すると、日本人はそれを排除せずに受け入れた。朝廷が本格的に仏教を受け入れることになったきっかけは蘇我馬子が物部氏を滅ぼしたことと(d)聖徳太子の政策である。(e)奈良時代の仏教はいよいよ国教としての性格を帯びてくるが、これは聖武天皇による東大寺と全国の国分寺の建立が大きい。また唐から来日した鑑真は日本仏教に大きな影響を与えた。

鎌倉時代に入ると法然や日蓮といった僧が活躍し、仏教はより細分化されて独自の発展を遂げていくが、いくつもの宗派に分かれた原因の一つに(f)末法思想がある。親鸞は末法の世において人は他力本願にならざるを得ないとする一方、禅宗はそうした思想を批判し、道元はひたすら坐禅に打ちこむことで身も心も脱落すると説いた。

キリスト教は室町時代に伝来し、江戸時代に禁止されたものの、明治時代に入ってキリスト教は再び少しずつ布教されていき、やがて(g)内村鑑三などの熱心なキリスト教信者が現れるようになった。

こうして日本の宗教史を振り返ると日本の宗教は神道、仏教、キリスト教という流れをたどってきたように見えるが、実はそうではない。仏教が全国各地に広まってひさしい江戸時代、街道と流通の整備による影響もあって伊勢神宮参拝者は全国から集っていた。現在の私たちがすべての宗教を受け入れているように、(h)かつての日本人もまた宗教を一つの文化のように受け入れていた。

問1 下線部(a)に関連して、神道と朱子学の融合である垂加神道を生み出した江戸時代の思想家は誰か。次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 熊沢蕃山 ② 山鹿素行 ③ 藤原惺窩 ④ 山崎闇斎

問2 下線部(b)に関連して、次の文は、古事記が描く世界観について述べたものである。(a)から(c)に入る語句の組合わせとして正しいものを、下の①〜⑧にうちから一つ選べ。

皇室の祖とされる天照大神は(a)の命によって(b)を治めたとされている。また日本独特の死生観を示すものとして、古事記では(c)という死者のいる世界が描かれている。

①(a)イザナミ(b)高天原 (c)根の国 ②(a)イザナミ(b)高天原 (c)黄泉国 ③(a)イザナミ(b)葦原中国(c)根の国 ④(a)イザナミ(b)葦原中国(c)黄泉国 ⑤(a)イザナギ(b)高天原 (c)根の国 ⑥(a)イザナギ(b)高天原 (c)黄泉国 ⑦(a)イザナギ(b)葦原中国(c)根の国 ⑧(a)イザナギ(b)葦原中国(c)黄泉国

問3 下線部(c)に関連して、本居宣長と賀茂真淵についての説明として適当でないものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 本居宣長は儒教を『漢意』として、『漢意』が入る以前の日本神道の世界は惟神の道が実現されていたとした。 ② 本居宣長は古今集から『ますらおぶり』を、賀茂真淵は万葉集から『たをやめぶり』を見出した。 ③ 本居宣長は源氏物語を研究し、その注釈書として『源氏物語玉の小櫛』を残した。 ④ 賀茂真淵は万葉集を研究し、その注釈書として『万葉考』を残した。

問4 下線部(d)に関連して、聖徳太子の説明として適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 聖徳太子は十七条憲法において神、仏、法の三つを三宝として敬うことが大切だとした。 ② 「世間は虚仮なり、ただ仏のみこれ真なり」と述べたように、現世は幻のようなものであり、仏の世界が真実であると考えていたとされる。 ③ 聖徳太子が残した三経義疏は小乗仏教の経典『法華経』『勝鬘経』『維摩経』の注釈書である。 ④ 聖徳太子は和をもって政を為している当時の朝廷に批判的で、冠位十二階の制度に基づく官僚制を整えた。

問5 下線部(e)に関連して、下のアからウは奈良仏教の説明である。その正誤の組合わせとして正しいものを、下の①〜⑧にうちから一つ選べ。

ア 鑑真は東大寺に戒壇を作り、僧の資格制度を配備した。 イ 行基は私度僧として仏教を民衆に広めた。 ウ 南都六宗と呼ばれる様々な宗派が出来上がった。

① ア 正 イ 正 ウ 正 ② ア 正 イ 正 ウ 誤 ③ ア 正 イ 誤 ウ 正 ④ ア 正 イ 誤 ウ 誤 ⑤ ア 誤 イ 正 ウ 正 ⑥ ア 誤 イ 正 ウ 誤 ⑦ ア 誤 イ 誤 ウ 正 ⑧ ア 誤 イ 誤 ウ 誤

問6 下線部(f)に関連して、末法思想に関する説明として適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 釈迦の入滅後、世界は像法、正法、末法の順に衰退していく。 ② 日本では1052年(永承7年)から末法の世に入ると信じられていた。 ③ 像法とは仏の教えと悟りがある時代、末法とは仏の教えも悟りもすべてなくなった時代を指す。 ④ 末法の世に生きる者はひたすら「南妙法蓮華経」と念仏を称えることで救われると法然は説いた。

問7 下線部(g)に関連して、内村鑑三に関する説明として適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 「武士道に接ぎ木されたるキリスト教」と述べて武士道という精神的土壌はキリスト教を受け入れられるものとした。 ② 聖書の言葉を理解するには教会の助けが必要であるとして、日本各地にキリスト教教会を設立する必要性を説いた。 ③ 平和主義的立場から『二十世紀之怪物帝国主義』を著し、日露戦争では徹底して非戦論を唱えた。 ④ 国家は一種の法人であり、内閣や裁判所と同様、天皇も国家の機関であるという天皇機関説を主張した。

問8 下線部(h)に関連して、日本文化を雑種文化と表した思想家を、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 丸山眞男 ② 小林秀雄 ③ 加藤周一 ④ 折口信夫

第4問 以下は、期末試験前にいる生徒Aと生徒Bの会話である。この文章を読み、下の問い(問1〜10)に答えよ。(配点 26)

(a)二元論的な考え方はあらゆる場面で活かされる。この世には裕福な者と貧しい者がいるが、これは二元論的な区別である。二元論的区別は様々あるが、中でも(b)自由と責任は最もポピュラーな例と言える。

二元論的な見方は二つの(c)対象の構造を比べるところから始まる。物と心であれば、物は五感が直接知覚できるもの、心は五感が直接には知覚できないものと構造の違いを指摘できる。

また二元論的に扱いながら、その二元論的見方を超越するような考え方もある。例えばアドルノとホルクハイマーは合理性と非合理性の二元論から(d)啓蒙を分析し、啓蒙は最初合理的に働いたが、やがて非合理的に働くようになったと主張した。こうした二元論の超越は(e)イギリス経験論と(f)大陸合理論という二潮流を統一させた(g)カントの哲学にも見られるが、カントに続く(h)ヘーゲルは弁証法によって核心をついた。

問1 下線部(a)に関連して、デカルトの考え方として適当でないものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 平面上の点の座標は二つの数で表される。 ② 演繹法の出発点となる第一原理の一つに1+1=2がある。これは疑う余地のない式だからである。 ③ 理性によって情念を抑えるところに高邁の精神がある。 ④ 疑わしいものはすべて排除して考えるという方法的懐疑によって最後に残るものは『考える私』である。

問2 下線部(b)に関連して、次のアからウは、自由に関する様々な考え方を説明したものであるが、それぞれ誰のものか。その組み合わせとして正しいものを、下の①〜⑧にうちから一つ選べ。

ア 各人の言論の自由と行為の自由を保障することが大切であり、国がその自由を制限できるのは、その者が他者に危害を与えるのを防ぐ時のみである。 イ 歴史とは、絶対精神がナポレオンといった歴史的人物になりすまして自由を広げていく過程であり、この意味で自由は社会的なものである。 ウ 人間はその自由意志によって悪人にも善人にもなれる。神に近づくことも獣に退化することもできる。

① ア ウェーバー イ ヘーゲル ウ ピコ・デラ・ミランドラ ② ア ウェーバー イ ヘーゲル ウ エラスムス ③ ア ミル    イ ヘーゲル ウ ピコ・デラ・ミランドラ ④ ア ミル    イ ヘーゲル ウ エラスムス ⑤ ア ウェーバー イ カント  ウ ピコ・デラ・ミランドラ ⑥ ア ウェーバー イ カント  ウ エラスムス ⑦ ア ミル    イ カント  ウ ピコ・デラ・ミランドラ ⑧ ア ミル    イ カント  ウ エラスムス

問3 下線部(c)に関連して、レヴィ=ストロースの考え方として適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 国家の合理性は、私たちが普段生活している空間にあるコミュニケーション的合理性と行政や経済を支えているシステム合理性に大別される。 ② 近代的理性は人間を規格化し、それに外れた者は狂気であるとして排除する。この点において理性は暴力的であると言える。 ③ ある知識が真実であるかどうかは、それを行動にした時に有用であるか否かで判断できる。 ④ 未開人の思考は西洋の科学的思考に決して劣るものでなく、また人間の思考は社会構造によって規定される。

問4 下線部(d)に関連して、下のアからウは啓蒙思想についての説明である。その正誤の組合わせとして正しいものを、下の①〜⑧にうちから一つ選べ。

ア ヴォルテールは当時のイギリスの政治体制を厳しく批判しながら、一方でフランスの政治と社会を賞賛した。 イ モンテスキューは立法権、行政権、司法権の三権が互いに抑制し合う三権分立が国家権力の理想であると考えた。 ウ フランスを中心に生まれた啓蒙思想を集めたものが、ディドロとダランベールが編纂した『百科全書』である。 

① ア 正 イ 正 ウ 正 ② ア 正 イ 正 ウ 誤 ③ ア 正 イ 誤 ウ 正 ④ ア 正 イ 誤 ウ 誤 ⑤ ア 誤 イ 正 ウ 正 ⑥ ア 誤 イ 正 ウ 誤 ⑦ ア 誤 イ 誤 ウ 正 ⑧ ア 誤 イ 誤 ウ 誤

問5 下線部(e)に関連して、下のアからウはイギリス経験論についての説明である。その正誤の組合わせとして正しいものを、下の①〜⑧にうちから一つ選べ。

ア ベーコンは『ノヴム・オルガヌム』において「知は力なり」と述べたように、人間は知識によって自然を支配できると考え、さらに、その知識を正しく得るには権威を盲目的に信じる洞窟のイドラを排除しなければいけないとした。 イ ロックはその著『道徳と立法の諸原理序説』において、人間の心はもともと『タブラ・ラサ』であり、経験によってそれは埋まっていくと主張した。 ウ ヒュームは「存在するとは知覚されることである」と述べ、物体は精神から独立した存在でないとした一方、バークリは物体も精神も実体ではないとした。

① ア 正 イ 正 ウ 正 ② ア 正 イ 正 ウ 誤 ③ ア 正 イ 誤 ウ 正 ④ ア 正 イ 誤 ウ 誤 ⑤ ア 誤 イ 正 ウ 正 ⑥ ア 誤 イ 正 ウ 誤 ⑦ ア 誤 イ 誤 ウ 正 ⑧ ア 誤 イ 誤 ウ 誤

問6 下線部(f)に関連して、スピノザの説明として適当なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① デカルトと同様物心二元論の立場から物体と精神を切り離して考え、物体は実体であるが精神は実体でないとした。 ② 神を自然を合理的に支配する存在と考え、物体がそれ以上分割不可能の原子から構成される原子論からその合理性は証明できるとした。 ③ 主著『精神指導の規則』において正しい結論を得るための規則を提唱したが、その一つに総合の規則がある。 ④ 自然も意志も必然的であり、この必然性を理解することで人間の『神への知的愛』は達成されるとした。

問7 下線部(g)に関連して、カントの説明として適当でないものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。

① 金銭的利益を手に入れたいがために人を助ける行為は、たとえ行為の結果その人が助かったとしても、行為自体は道徳的であると言えない。 ② 認識が対象に従うというそれまでの考えから、対象が認識に従うという考えを提唱したが、これはコペルニクス的転回と言われる。 ③ 道徳は定言命法でなく仮言命法であり、ある行為が道徳的であるかどうかは時と場合によって変わることなく、普遍的であると考えた。 ④ 理想の社会は人々が相手を手段としてでなく目的として扱う社会であり、これを『目的の国』という。

コメント

本番直前の方にとっては簡単な問題がほとんどだったかもしれません。特に読解問題。問題を作るのがいかに大変かわかりました。引き続き第2〜4問も作るのでしばらくお待ち下さい。

第1問 解答

問1 ②

①は誤り。循環型社会形成推進基本法をもとに導入された3RはReuse、Recycle、Reduceの三つの頭文字をとったもの。②は正解。国連環境開発会議はブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開かれた。国連環境開発会議と持続可能な開発はセットで覚える。③は誤り。アメリカは京都議定書に批准しておらず、ロシアとオーストラリアは当初批准していなかったが近年参加した。④は誤り。太陽電池出荷量は年々増加している。

問2 ③

①はロールズ。③はフーコー。④はアドルノとホルクハイマー。

問3 ②

サルトルは、人間は社会を変えられる存在だと主張している。その力ゆえに人間は社会参加の責任を負う。

問4 ⑦

アはマズロー。人間の欲求を階層化して分析したのはマズロー。自己実現の欲求は高次なものである。低次な欲求が満たされていくと高次な欲求が生じる。イはルソー。ウはミード。レヴィンは青年を大人の世界の周辺にいる存在としてマージナル・マンと呼んだ。青年は社会的責任を猶予されていると考えたのはエリクソン。

問5 ③

アは正しい。インターネットと接続できる環境にいる者とそうでない者の間で情報格差、経済格差が生じる。これをデジタルデバイドという。イは誤り。生涯未婚率は上昇している。ウは正しい。

問6 ③

①は誤り。平成26年と25年の両方で人口増加率が-1.0を下回った都道府県は秋田県と青森県。②は誤り。平成26年で滋賀県は人口減少している。④は誤り。千葉県の人口増減率は平成26年で6位であるが、25年では人口減少している。

問7 ②

①は正しい。ロマン・ロランは『ジャン・クリストフ』によってノーベル文学賞を受賞する。②は誤り。『夜と霧』はフランクル。③は正しい。パグウォッシュ会議には湯川秀樹と朝永振一郎が参加した。両者ともノーベル物理学賞と受賞している。④は正しい。

問8 ④

マルクスは『共産党宣言』において私有財産制を否定している。

問9 ②

第2問 解答

問1 ①

プロタゴラスは相対主義のソフィストであり、「人間は万物の尺度」と述べ、真実は主観的であり客観的ではないとした。ソフィストとは紀元前5世紀頃に現れた弁論術に長けた人々である。②のヘラクレイトスは「万物は流転する」という言葉で有名。世界の根源(アルケー)は火であると考えた。③のアナクシマンドロスはタレスと同じくミレトス学派の一人。④のデモクリトスは世界の仕組みをアトムとケノンから説明した。アトムとは世界の最小単位であり、ケノンとはアトムが運動する空間である。

問2 ④

アは正しい。個別の結果から一般的な原理を見つける方法を帰納法といい、公理またはそれに近いものから個々の命題を導く方法を演繹法という。イは誤り。帰納法はベーコン、演繹法はデカルト。ウは誤り。ウのような論法を三段論法という。帰納法でも演繹法でもない。

問3 ⑦

プラトンは善のイデアを最高のイデアとして現実世界における太陽としている。またプラトンのイデアの代わりにアリストテレスはエイドス(形相)を考えた。エイドスが入っている素材をヒュレー(質料)という。プラトンもアリストテレスも正義について論じているが、プラトンは統治者が知恵をもって統治する政治を哲人政治と呼び、これを理想とした。

問4 ②

①は誤り。イスラム教には天使信仰があり六信の一つである。六信とはアッラー、天使、啓典、預言者、来世、予定の六つへの信仰である。②は正しい。イスラム教も最後の審判を信じており、そこですべての人間は神の裁きを受ける。③は誤り。クルアーンは商売を認めているが、利子は認めていない。④は誤り。イスラム教の啓典は四つあり、モーセ五書もその一つである。モーセ五書とは旧約聖書の最初の五書で、創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記の五つから成る。

問5 ①

①は誤り。ロールズの正義論は社会契約説をもとに構築されているが、カント流の倫理学も出てくる。②は正しい。第一原理によると、各人は自由に対して平等な権利を持っている。自由を持っていると直接述べたわけでなく、自由への権利は平等であると述べているにとどまる。③は正しい。不平等が認められるのは、不遇の人の利益が最大になる時である。④は正しい。ロールズの原初状態には様々な条件が課せられているが、各人が道徳的で無知のヴェールに覆われているというものがある。無知のヴェールに覆われている状態で不公平な契約は発生しない。

問6 ④

①は正しい。怪力乱神を語らずとは、超常的な現象について口を挟まないということ。②は正しい。孔子は仁と礼を重視し、仁がなければ礼もないと述べている。③は正しい。「己の欲せざる所、人に施すなかれ」という言葉そのものである。④は誤り。孔子は刑罰に頼らない政治が重要であるとしている。

問7 ③

四端と四徳の関係は必ず覚える。 惻隠の心 … 仁 羞悪の心 … 義 辞譲の心 … 礼 是非の心 … 智

問8 ⑤

アは誤り。小国寡民は確かに老子の思想であるが、兼愛交利は墨子の思想。兼愛とは分け隔てなく愛すること。兼愛は自分の利益となるという意。イとウはどちらも正しい。荘子は善悪などの基準は存在しないと考えており、これを万物斉同という。万物斉同に基づいて一切の価値基準から解放された者を真人という。また荘子も老子と同様自然に従うことを重視している。老子の場合これは無為自然という言葉で表される。これはありのままの自然に従い、悪い知恵をつけるなということ。荘子は運命という視点から自然に従うように主張している。

問9 ②

①は誤り。道徳は相対主義に基づいている側面があると言えるが、問いかけることは無意味であるとは本文中で論じられていない。③は誤り。アリストテレスが道徳を国家に適用したとは本文中で言われていない。④は誤り。老子が徳について分析したかしていないかは本文中からは読み取れない。

第3問 解答

問1 ④

①の熊沢蕃山は治山治水の政策に貢献した陽明学者。②の山鹿素行は孔子の教えを直接学ぶ古学を始めた古学派の一人。③の藤原惺窩は弟子の林羅山を幕政に推挙した近世儒学の祖。山崎闇斎は朱子学者の一人で朱子学と神道を合わせた垂加神道を始めた。

問2 ⑥

イザナギがイザナミを追って死者のいる黄泉国に行く話が古事記に記されている。イザナミと別れた後、イザナギは黄泉国の穢れを落とした後、天照大神やツクヨミを生む。

問3 ②

①は正しい。本居宣長は儒教と仏教を痛烈に批判しており、代わりにそれらが入ってくる前の日本的精神を重視している。②は誤り。本居宣長は古今集から『たをやめぶり』を、賀茂真淵は万葉集から『ますらおぶり』を見出した。③と④は正しい。本居宣長は源氏物語の研究成果として源氏物語玉の小櫛を、賀茂真淵は万葉集の研究成果として万葉考を残した。

問4 ②

①は誤り。聖徳太子が掲げた三宝とは仏、法、僧の三つである。②は正しい。③は誤り。小乗仏教という言葉が間違っている。大乗仏教であれば正しい。『法華経』『勝鬘経』『維摩経』はすべて大乗仏教の経典。④は誤り。聖徳太子は「和をもって貴しとなす」と述べているほど『和』を重視していた。

問5 ①

アからウまですべて正しい。

問6 ②

①は誤り。世界は正法、像法、末法の順に衰退していくと考えられていた。②は正しい。③は誤り。像法とは仏の教えと修行の実践はあるが、悟りはない時代。法然の専修念仏は「南無阿弥陀仏」である。「南妙法蓮華経」は日蓮。

問7 ①

①は正しい。②は誤り。内村鑑三はアメリカ留学の経験などから無教会主義をとるようになった。教会によることなく聖書の言葉をそのまま受け止めることが大切であるとした。③は誤り。内村鑑三は日露戦争において非戦論を主張したが、『二十世紀之怪物帝国主義』は同じく非戦論者の幸徳秋水の著作。④は誤り。天皇機関説は美濃部達吉が唱えた説。

末法思想まとめ 教 … 仏の教え 行 … 修行の実践 証 … 悟り

正法 … 教・行・証がある 像法 … 教・行がある 末法 … 教がある

問8 ③

日本文化を雑種文化と位置づけたのは加藤周一。丸山眞男は戦前の個人は自立していなかったと主張(「無責任の体系」)。折口信夫は村にやってくる客(まれびと)が神の原型であると考えた。

第4問 解答

問1 ②

①はただしい。デカルトは『方法序説』において平面座標を考案している。平面座標とは平面上の位置を二つの実数によって表現するというもの。②は誤り。逆に④が正しい。演繹法の出発点となる原理、すなわち哲学の第一原理は「我思うゆえに我あり」。これは④に示している方法的懐疑によって残る。③は正しい。人は情念を抑えて生きるべきで、これは高邁の精神によるものだとした。

問2 ③

言論の自由と行為の自由という二つの自由を説いたのはJSミル。ミルは行為の自由が制限されるのは、他者に危害を加えるのを防ぐ時のみであると考えた。絶対精神が自由を拡大していく過程が歴史であると唱えたのはヘーゲル。またピコ・デラ・ミランドラは演説の原稿『人間の尊厳について』で、人間は自由意志によって神に近づくことも獣になることもできると説いている。この演説によってピコ・デラ・ミランドラは教皇から異端扱いされ、パリのヴァンセンヌ城に幽閉される。

問3 ④

①はハーバーマス、②はフーコー、③はジェームズの考え。

問4 ⑤

アは誤り。ヴォルテールは啓蒙思想の代表的思想家であり、当時のフランスの政治体制を厳しく批判した。イとウは正しい。

問5 ⑧

アは誤り。ベーコンは『ノヴム・オルガヌム』で「知は力なり」と説き、正しい知を得るためには四つのイドラを排除しなければいけないとした。そのイドラは種族のイドラ、洞窟のイドラ、市場のイドラ、劇場のイドラであり、洞窟のイドラとは個人の経験に基づく先入観である。権威を盲目的に信じるイドラは劇場のイドラである。

イは誤り。ロックの著作は『人間悟性論』で、『道徳と立法の諸原理序説』はベンサムの著作。

ウは誤り。ヒュームとバークリの説明が逆。バークリは「存在するとは知覚されることである」と述べ、物体と精神は独立していないと考えた。

問6 ④

①は誤り。スピノザはデカルトと同じく大陸合理論の思想家だが、デカルトと異なり物体と精神を分けて考えていない。これらはすべて神というただ一つの実体から生まれたものである。②は誤り。世界は原子から構成されていると考えたのはライプニッツ。③は誤り。『精神指導の規則』を著したのはデカルト。④は正しい。スピノザは決定論的立場で、自然も意志も必然的であるとしながら、その必然性を深く理解してようやく自由になると考えた。

問7 ③

③は定言命法と仮言命法の箇所が誤り。道徳は普遍的であり、状況によって行動するかしないかが変わるようなものは道徳的であるとは言えない。このように『if文』のない判断を定言命法という。