欲求不満とフロイトの防衛機制(高校倫理)

欲求は一次的欲求と二次的欲求に分けられます。

  • 一次的欲求 … 生理的な欲求(睡眠欲や食欲など)
  • 二次的欲求 … 社会的な欲求(名誉欲など)

人間は動物的であり社会的な生物ですが、それは人間の欲求から考えてもわかります。人間は他の動物と同じようにお腹が空いたり眠くなったりする。そして同時に「社会で成功したい」「みんなから頭がいいと思われたい」と思う。

フラストレーションとコンフリクト

欲求は現実になることも、ならないこともあります。

「いつもアンパンだから、いい加減マカロンが食べたい」と思っても、昼食代として渡されるお小遣いが毎日80円だったらマカロンはずっと食べられない。マカロンが食べたい、でも食べられない、という欲求と現実のギャップに対するイライラを欲求不満(フラストレーション)といいます。

「ついに300円を手に入れた。やっとマカロンが食べられる。でもいちごのタルトも食べたい。どっちも食べたいが、どっちもは不可能だ」という相反する欲求の板挟み状態になることを葛藤(コンフリクト)という。

欲求と現実の乖離   → 欲求不満
相反する欲求の板挟み → 葛藤

イライラしたときの防衛機制

花子という女の子に片思い中の太郎という男の子を例にとって考えてみよう。太郎はある日、花子の前でついうっかりおならをしてしまいました。

すると太郎は「もうおしまいだ」と思うわけですが、一ヶ月もすればこんなふうに考えるかもしれない。

  • あの時、花子はきっと俺のおならに気づいていないはずだ
  • くよくよしても意味はない。もう忘れることだ
  • おならはどうにもできないものである。そんなことで花子が俺を嫌いになるわけがない
  • むしろもう一度おならをやって芸人みたいになろうか
  • そういえば◯◯という漫画の主人公も好きな女の子の前でついうっかりおならしてたな

フロイトは以上の考え(発想)を人間の防衛機制と呼び、専門用語できちんと定義しました。

  • 花子はきっと俺のおならに気づいていないはず → 逃避
  • くよくよしても意味はない → 抑圧
  • おならはどうにもできない → 合理化
  • むしろもう一度おならを → 反動形成
  • ◯◯という漫画の主人公もおならをしてた → 同一視

イライラしたとき、人は太郎のように自分を守ることがあります。これを防衛機制といって、倫理では次のタイプを扱います。

防衛機制 意味
抑圧 ぐっと抑える
逃避 現実から逃げる
退行 わざと子供っぽくふるまう
昇華 社会的次元に置き換える
代償 他のもので満足しようとする
投影 他人に自分の不幸を探す
同一視 漫画の主人公などに自分を重ねる
合理化 もっともらしく言い訳する
反動形成 自分の望んでいないことをあえてする

センター試験ではどの考えがどのタイプかという問題がかなりの頻度で出る。

センター試験の過去問

以下、センター試験の過去問(問題のみ)を引用します。カッコ内の年度は試験の実施年度になります。解説の著作権は当ページにあります。また著作権の関係上、問題の一部省略している部分があります。あらかじめご了承ください。

欲求不満に対する反応についての記述として最も適切なものを一つ選べ。(センター試験「倫理」2016年度、第1問、問3より)

① 欲求が満たされないことに対して、代わりのものを欲求の対象に置き換え、それを満たすことで欲求不満の解消を試みることを、回避という。

② 欲求が満たされないことに対して、もっともらしい理由や理屈をつけて、欲求が満たされないこと自体を正当化することを、投射という。

③ 欲求が満たされないことに対して、欲求自体を抑え込み、不快な記憶を残したり、自責の念に駆られたりしないようにすることを、逃避という。

④ 欲求が満たされないことに対して、他人に八つ当たりするなど、短絡的・衝動的に欲求不満を解消させようとすることを、近道反応という。

解答

防衛機制に関する問題は倫理というより現代文に近く、文を丁寧に読み、言葉の持っている意味とニュアンスを正確にくみとることができれば正解に至る。

① 代わりのもので欲求不満の解消を試みることを「代償」という。

② 欲求不満の正当化を「合理化」という。正当化も合理化も同じようなニュアンスを持っている。

③ 欲求自体を抑え込むことを「抑圧」という(すべて漢字に着目すれば間違いがわかる。「代わり」や「正当化」や「抑える」という字から正しい防衛機制を思いつくかどうかがポイント)

④の「近道反応」に「?」となった受験生は多いはず。「近道反応」は文字通り「近道してでも欲求不満を解消しようとする行為」をさす。イライラしているから人を傷つけてそのイライラを解消するという行為は近道反応であり、同時に極めて反社会的な行動である。

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