大陸合理論(デカルト、スピノザ、ライプニッツ)|高校倫理

大陸合理論とは、経験よりも生まれつきの理性を重んじる思想のこと。フランスなどの大陸側で発展したため「大陸」合理論という。

大陸合理論はよくイギリス経験論と比較される。イギリス経験論と大陸合理論の対応は、ちょうどベーコンの帰納法とデカルトの演繹法の対応と同じである。

  • イギリス経験論 → ベーコンの帰納法
  • 大陸合理論   → デカルトの演繹法

大陸合理論の哲学者

  • デカルト
  • スピノザ
  • ライプニッツ

デカルト

デカルトは大陸合理論を代表する哲学者で、演繹法や物心二元論といった思想を唱えた。

  • 演繹法
  • 考える私(方法的懐疑)
  • 物心二元論(座標)
  • 高邁の精神

演繹法

演繹法とは、普遍的に正しい命題から、正しい論理展開によって次の命題を見つけていく方法のこと。具体的な現象や観察結果から一般的な原理を見つけること。

例えば、ニュートンはりんごがいつも下に落ちることから重力を発見した。日常で観察される普遍的な現象から、一般的に正しい法則を導いた「演繹法」の例である。

デカルトは(ベーコンやロックと違って)人は生まれついて理性を持つと考え、学問の探究と科学の発展のためには演繹法が必要であるとした。

考える私

演繹法はできるだけ根本的な原理を探そうとする。観察から原理、つまり具体から抽象という方向は、深い思考と鋭い合理性を必要とする。

デカルトはこのような思考する主体を「考える私」として、あらゆるものを正しいか正しくないか疑った。疑うことで合理的に判断できるからだ。これを方法的懐疑という。

そして「今こうして疑っている私というもの」が、まぎれもない真実であると気づいた。これは「我思うゆえに我あり(コギト・エルゴ・スム)」と表される。

物心二元論

デカルトは物質と精神を分けて考えた。

自分の外に広がっている世界や物質は、自分の気持ちと関係なく運動する。例えば、りんごは自分の意志に関係なく落ちる。落下という現象が、人間の心と関係ない原理によって生じているからだ。世界と精神が切り離されているという一例である。

このように、自分の外側にあるものと、自分の内側にあるものを明確に分けることを、物心二元論という。

延長と座標

物心二元論をもとに、デカルトは物質の体積に注目した。

物質がそこにあるのは、物質が空間のある領域を占めているからであり、この意味において物質は「延長」であると考えた。しかし精神は空間を占めないので、「延長」はない。

この「延長」をより具体的に分析するために、デカルトは「座標」という概念を生みだした。中学校から数学で習ってきた座標は、もともとデカルトが考えたものであり、デカルト座標と言われることもある。

高邁の精神

デカルトは理性を重視し、理性にしたがって感情をコントロールする精神を「高邁の精神」と呼んだ。

スピノザ

スピノザはオランダの哲学者で、汎神論を唱えた。代表作は『エチカ』。

  • 汎神論
  • 『エチカ』

汎神論

汎神論とは「物体や精神は神が形を変えたものである」という考え。

りんごが落ちるといった自然現象はいつも、どこでも成りたつ。スピノザは、このような自然の必然性は、神が自然になった(神が自然という形をもった)からにほかならないとした。

ライプニッツ

ライプニッツは、世界は「モナド」という最小単位から構成されているというモナド論を展開した。モナドはギリシア哲学者デモクリトスの「アトム」に近い概念といえる。

ライプニッツは他にも微分積分や二進法を発見して業績を残した。

問題1

問 次の文章の空欄に当てはまる言葉の組み合わせとして正しい選択肢を選びなさい。

コペルニクスは( A )の天動説を否定し、地動説を唱えた。地動説の賛同者として、慣性の法則を発見した( B )がいる。

① A アリストテレス B ガリレイ
② A アリストテレス B ケプラー
③ A プトレマイオス B ガリレイ
④ A プトレマイオス B ケプラー

解答

正解 ③

コペルニクスはプトレマイオスの天動説を否定した。ガリレイは慣性の法則を発見した。

問題2

デカルトの説明として正しい選択肢を次の①~④のうちから一つ選びなさい。

① 明晰判明の知は、理性によって獲得できないものがあり、それについては口を閉ざさなければいけない。
② 明晰判明の知は、時代ごとのパラダイムに応じた演繹法を科学的事実に適用することで得られる。
③ 明晰判明の知は、自分という存在にとって真理であるような知であり、普遍的な知は存在しない。
④ 明晰判明の知は、方法的懐疑が必要であり、個別の真実は明晰判明の知と推論によって導かれる。

解答

正解 ④

① 「わからないものについては口を閉ざす」はウィトゲンシュタインの考え。
② パラダイムの概念はアメリカの学者クーン。
③ 自分にとっての真理を重んじたのはキルケゴール。

問題3

合理論の説明としてふさわしくない選択肢を次の①~④のうちから一つ選びなさい。

① ニュートンは、「知は力なり」という言葉で科学技術の有用性を主張した。
② ライプニッツは、世界はそれ以上分割できないモナドから構成されると主張した。
③ デカルトは、物体と精神は区別されるという物心二元論を主張した。
④ スピノザは、世界と事物はすべて神の一部であるという汎神論を主張した。

解答

正解 ①

「知は力なり」はベーコンの言葉であり、ベーコンは合理論でなく経験論の思想家。

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