大学の物理を効率よく勉強する方法

この記事は大学で物理を熱心に勉強している人に向けて書かれています。楽して点数をとるための解説ではありません。

物理の勉強は三つのアプローチが不可欠です。理論、計算、そして実験の三つです。どれか一つでも欠けていると物理の理解速度は落ちます。

  • 理論
  • 計算
  • 実験

理論

岩波物理を半分でも読んだら、理論はだいたいOKです。この記事を読んでいる人のほとんどはそのレベルは達成していると思います。

非常に優秀な人が陥る罠

東京大学では進学振り分けがあり、私は一年生のときに物理学科を目指していました。しかし必要な点数が85点ほどだったので諦めました。進学振り分けの資料を見たとき、私はすでにドイツ語などで不可をとっていたのです。

物理学科に進むような人たちはとても頭がよく、「お前は受験生か」と言いたくなるほど勉強しています。毎日学校で9時間の授業があるのに、そのうえ夕方7時から図書館にこもって数学と物理を熱心に勉強するのです。

私はその頃からすでにお金もうけに興味があったので、彼らのようには勉強しませんでした。もちろん試験前になれば一生懸命勉強します。この記事はそんな私によって書かれていることを思いだしてください。

頭がいい人は図書館で岩波書店や東京大学出版会の「力学」「電磁気学」「熱力学」「振動波動」の四つをまとめて借り、カップラーメンを食べながら公式の証明にとりかかるのです。なぜこの公式がなりたっているのか。それには数学の偏微分方程式や線形代数のあの概念が必要で、どうのこうの…。

そして数時間がたって

波動方程式がやっと理解できた。なんだ高校の公式の延長線じゃないか

とほっとして寝る。このくりかえしで三ヶ月も物理に缶詰になっている人は、効率の悪い勉強をしているはず。

計算

岩波書店の厚い理論の本と対面しても、理論の七割は頭になにも残さないまま消えていくでしょう。その穴を埋めるものが計算です。手を動かして理論の複雑な式に値をあてていく。ここで脳は

物理の抽象的な世界

物理と現実の世界

を確認するのです。物理は本に書いてある式だけではなく、万有引力の法則はボールを動かしてボールが実際に動くことからも考えられると再認識しなければいけません。物理と現実をつなぐのです。これは本というよりも紙とペンが必要です。計算は公式の x を 3 という数にすることで、その式が実際に役立つものとわかります。

計算問題をたくさん解いてください。特に学士入学や大学院入試を控えている人は第一の優先順位においてください。

これはだるくてめんどくさい作業であり、物理に進学したい人も、物理にいて次の大きなステップを目指している人も計算問題をやったかやらなかったで二つのグループにわかれるでしょう。三ヶ月ほどで努力の成果が出てきます。

ノートに物理の公式を書いて、それを使った演習問題の典型問題を解いてきた人は、物理をかなり得意になっていると思います。しかし彼らもまだ十分ではありません。

実験

物理は三次元の映像処理能力を必要としています。ボールがこう動いて、壁にぶつかって落ちたとき、ボールのエネルギーの変化を立体的に把握するような力が必要です。エネルギー、速度、加速度、力がどのように変化しているかは、物理の理論によってすでに決められ、物理の計算によってすでにある程度数値化されています。

しかし実験は思考を超えたリアリティにある物理なのです。現象を見るとき、私たちは理論計算が当たっていたことを祝福し、自分の物理的合理性をさらに信望するようになります。神につかわされた物理の支配人であるがごときに、自分は物理という歯車の世界の一部になっていくのです。

自分 → (実験) → 世界

理論はわかっているんだけど

そもそもコンデンサーってどんな大きさなのかな? 薄いのかな? 電気が流れると本当に動くのかな?

などと脳があいまいな箱庭になっているとき、いったいどんなすばらしいアイデアが出てくるのでしょう?

バネを見たことも聞いたこともない人が、バネの運動方程式を解いて、これがバネの運動であるといったところで、その後どんな発展が生まれてくるでしょう? バネを見たこともない人が、バネの運動を解析するというのは、少しおかしいと思いませんか?

でも、これが現実の授業なのであります。東京大学は一年生冬学期から実験(化学と物理)があり、かなりヘビーな作業をさせられます。当時の私はとてもストレスを感じていました。やることが多く、復習が必須だったからです。実験はチームプレーであり、自分が復習をサボってしまうと、相手にとんでもない迷惑がかかるので、互いに一生懸命やってしまうのであります。

実験授業が始まる前、私は熱力学や電磁気学についてパッパラパーでした。理論と計算はある程度できたと思いますが、理解がふわふわして、1ヶ月もすれば夏のアイスクリームのように溶けて消えていくことは明らかでした。

いざ実験が始まると、私は生協で買った白衣を身につけて、電気を流したり、たぶんボールを転がしたりしました。嫌いな時間は忘れてしまう人間で、実験授業の記憶は、私の同級生の相方が「私は円周率を100桁まで言えるよ」と自慢していたことだけです。

しかし実験授業を経て、次の学期に解析力学、統計力学、電磁気学の応用などの授業を受けたとき、やはり感じ方が違ってきたのです。今まで知りえなかった物理の細かい世界を自分の目できちんと確認したことで、物理がよりリアルに、身近に感じられるようになりました。

大学院入試・学士入学を控えていると方へ

とはいえ実験はあくまでも限られた施設と時間で行われます。自分で大がかりな実験をするわけにもいきません。試験を控えているという人は、次のように勉強すると効率がよくなるでしょう。

3割 理論
7割 計算

「極めて優秀な人ほど計算を疎かにする」という言葉は人生でさんざん言われてきました。1〜100回目は高校生のとき、101〜1,000回目は大学生のとき。高校の物理の先生は、公式を習ったらその下についているプチ計算例を必ず解くようにと顎が外れるくらいいいました。大学の力学、熱力学、そして数学科の何人かの先生はやはり口酸っぱく「一回でも試しに計算してみた?」ときいてきます。

理論はいいのです。物理が好きな人は岩波と朝倉の物理の本をこよなく愛しているのです。問題は計算です。

図書館に行くと、チャート式の進化系ともいえる微分積分演習といった本が腐るほど置いてあることに気づくでしょう。学士入学や大学院入試を考える人は、この分厚い本を手にとっても、ブルドーザー方式でゴリ押ししてはいけません。

実際、ページをめくって一問一問の量を見て、ページ数を見て、いろいろとかけ算して、出てくる予想時間が自分の三年分の人生に匹敵することを想像するかもしれない。「あなたは二十三歳のときどんな人生でしたか?」ときかれて「東京大学出版会の○○演習」をがっつりやっていましたよ」なんて答えたいのですか?

嫌ですよね。その悲劇を避ける簡単な方法がここにあります。

  • 過去問から解く
  • 先生(他の先生でもいい)のホームページを探して問題と解説を見つけて解く
  • 5分考えてわからない問題は答えを見る

大学院入試を控えている人は、まずその大学院入試の過去問を解いてください。そしてその問題の作成者を想像して、絞り、その先生や関係のある先生のホームページを見て、授業の解説や問題をチェックしてください。PDFをダウンロードできるようにしている先生もいます。

八重洲ブックセンターは物理の理論本を買うには最適ですが、問題集はガバガバと買うべきではありません。八重洲ブックセンターにいく前に、先生のホームページにいってみよう。

問題を解くときは、このサイトのチャート式攻略のページにあるように、ちょっと考えてだめだったらあきらめるのです。20分考えてわからない問題が出てきたら、計算というより理論そのものがわかっていないので、八重洲ブックセンターで買ってきた電磁気学の理論本に戻って波動方程式を復習してください。

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