高校生物 免疫まとめ(自然免疫、体液性免疫、細胞性免疫)

免疫とは、体内に入ってきた異物を排除しようとする反応です。免疫は大きく自然免疫と獲得免疫に分けられます。

自然免疫はマクロファージや樹状細胞といった白血球などが異物を排除する反応で、あらゆる異物が対象になります。

一方、獲得免疫は特定の生体内物質が特定の異物を排除する反応です。

異物に対して非特異的に働くか、特異的に働くかで自然免疫と獲得免疫は異なります。

自然免疫

自然免疫はマクロファージなどが異物を除去しようとする免疫で、他に好中球、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)があります。このうちナチュラルキラー細胞はリンパ球です。

4つの免疫物質

マクロファージ
好中球
樹状細胞
ナチュラルキラー細胞

マクロファージと好中球と樹状細胞は表面に特異な受容体を持ち、異物を異物と認識します。これらは異物を認識すると異物を食べるように内部にとりこみ、中で分解してしまいます。この「食べる」作用を食作用といいます。

好中球は異物を食べた後、細胞として機能しなくなります(細胞死)。しかしマクロファージと樹状細胞は異物を食べた後、異物の一部を表面に突き出すように提示します。これを抗原提示といいます。抗原提示はいわば「大変だ! 異物が入ってきたぞ!」というかけ声です。

ナチュラルキラー細胞は自己の正常な細胞と異常な細胞を区別し、がん細胞などを攻撃する能力を持っています。

獲得免疫

獲得免疫は体液性免疫と細胞性免疫の二つがあります。

体液性免疫は、リンパ球の一つであるB細胞によって作られた抗体が異物を除去する反応。

細胞性免疫はリンパ球の一つであるキラーT細胞が異物に感染した細胞を直接攻撃する反応。

体液性免疫と細胞性免疫

マクロファージは異物を食べた後、抗原を提示します。

「異物がやってきた!」ととりあえず叫ぶわけです。このかけ声によってヘルパーT細胞が免疫の指揮をとります。

ヘルパーT細胞は抗原提示を受けるとB細胞とキラーT細胞に「異物を排除しなさい」と命令し、B細胞は抗体産生細胞という細胞に変形して抗体を作り、キラーT細胞は感染した細胞を攻撃します。

B細胞が関わる免疫を体液性免疫、キラーT細胞が関わる免疫を細胞性免疫といいます。

マクロファージの抗原提示「異物が入ってきたぞ」

ヘルパーT細胞「異物を除去しろ」

・B細胞「抗体を作ります(体液性免疫)」
・キラーT細胞「感染細胞を攻撃します(細胞性免疫)」

キラーT細胞は感染細胞を直接攻撃するというわかりやすい役目を持っていますが、B細胞の抗体はやや複雑です。以降、異物を抗原といいます。

ヘルパーT細胞から異物除去命令を受けたB細胞は抗体産生細胞に分化し、抗原に特異な抗体を作ります。

抗体は抗原と結合し、抗原抗体複合体を形成します。

抗体という警官が抗原という犯人を捕まえるようなイメージです。これにより抗原は悪さができなくなり、抗原抗体複合体はマクロファージに食べられてしまいます。

重要なポイントはB細胞が直接抗原を捕まえて除去するわけではないということです。

B細胞は抗原除去の命令を受けて初めて、抗体産生細胞という特殊な細胞に変形します。その抗体産生細胞が抗体を作り、抗体が抗原を捕まえるのです。

B細胞

抗体産生細胞

抗体産生細胞が抗体を作る

抗体が抗原を捕まえる

抗原抗体複合体ができる

マクロファージが抗原抗体複合体を食べる

獲得免疫の中心はあくまでもB細胞とキラーT細胞を指揮するヘルパーT細胞。

ヘルパーT細胞はB細胞とキラーT細胞に命令するためにインターロイキンという伝達物質を作り、B細胞とキラーT細胞はインターロイキンを受容することでそれぞれの機能を発揮し、それぞれ体液性免疫と細胞性免疫が働くわけです。

抗体の仕組み

抗体はYの字の構造で、Yの字を作るようにつながった2本のH鎖に2本のL鎖がつながっています。この4本の鎖を免疫グロブリンといいます。

それぞれのH鎖に1本ずつL鎖がつながっています。H鎖は互いにジスルフィド結合によってつながっており、H鎖とL鎖もまたジスルフィド結合によってつながっています。

また抗体のYの字の先端部分は可変部で、抗体によってアミノ酸配列が変わります。それ以外は定常部といいます。

可変部を持つため抗体は実質無限通り存在できます。これが免疫の大きな強みとなっています。

HIVとエイズ

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染するとエイズ(AIDS)という病気になります。HIVは体液性免疫と細胞性免疫の中枢であるヘルパーT細胞を破壊するため、HIVに感染すると免疫力が著しく低下し、健康状態であれば問題にならない病原体にも感染し、最悪は死に至ってしまう場合もあります。