電磁誘導とローレンツ力と磁界の基本(中2理科・高校物理基礎)

マグネットは黒板にくっつく。これはマグネットと黒板の間に「磁力」という力が働くからです。磁力は「引きあう力」と「反発する力」があります。マグネットと黒板は「引きあうほうの磁力」です。

磁界

磁石はN極とS極がありますが、ここからはN極を基準に考えます。S極はとりあえずどうでもいいものとみなします。

あるところにN極のマグネット(本当はそのようなものはない…)を置いて、そのN極がどこか遠いところにある別の磁石のせいで勝手に動いたとします。このとき、N極のマグネットが動いたルートを書いてみます。

この曲がった線を磁力線といいます。N極のマグネットであれば、どのようなマグネットであっても、この磁力線にそって動きます。

磁界

ドラえもんの四次元ポケットやタイムマシンを思いだしてください。アニメでもマンガでも四次元空間はぐにゃぐにゃとした空間で描かれますね。

実は、磁力線のある空間は、目に見えないだけで空間がドラえもんの四次元ポケットの中のように歪んでいるのです。この見えない歪みを見えるようにしたのが磁力線です。

この「歪んだ空間」あるいは「磁力線のある空間」を磁界といいます。磁界があるところでは、マグネットは勝手に動きます。つまり磁力が働きます。

ローレンツ力(電流が磁界から受ける力)

磁界があるところ(つまり磁力線があるところ、磁石を置いているとその磁石が勝手に動きだすようなところ)に、銅線を置きます。そして銅線に電流を流します。すると銅線が勝手に動きます。

整理 1 磁界があるところに 2 電流を流すと 3 銅線が勝手に動く

ここで銅線が動くのは、銅線が重力でひっぱられたからでも、磁力が働いたからでもありません。銅線にローレンツ力という力が働いたからです。中2理科ではローレンツ力は扱いません。

ちなみに、電流が流れていない銅線は文字どおりただの銅線であって、ローレンツ力は働かない。

これまでの整理

1 磁石は磁力によって動く 2 電流の流れている銅線を磁界に置くと、銅線にローレンツ力が働く

磁力とローレンツ力はまったく別物です。ここはよく理解する必要があります。

磁石と磁界の関係

地球上のほとんどの場所は磁界です。磁界がないところはほとんどありません。よって、弱い磁力にも反応する高性能のマグネット(?)は、地球上のどこでも勝手に動いてしまいます。

そんな中、長野県伊那市のあるところは磁界がありません。分杭峠という峠です。つまり分杭峠では高性能のマグネットもまったく反応しません。方位磁石もうんともすんとも言わないので、付近の山道を歩くときは注意したほうがいいでしょう(山道を歩くときは方位磁石の示す方向が頼りになるため)。

しかし、長野県伊那市のその不思議な場所でも、そこにでっかい磁石を持っていくと磁界が生まれてしまいます。

結論から言うと、磁石は磁界を生みだします。分杭峠に1トンくらいの鉄を持っていけば、空間が歪んで大きな磁界が生まれるでしょう。すると「磁界がないというありがたみ」がなくなってしまいますね。

磁石を動かす

磁石は磁界という歪みを生みます。では磁石を動かすと、磁界はどうなるでしょうか? 磁石に合わせて何か変化が起きるのでしょうか?

私たちの予想どおり、磁石を動かすと、磁界は変化します。しかしそれだけでなく電気が通るようになります。

教室に電池もなにつながれていないただの銅線を置きます。その近くで大きな磁石を適当に動かします。すると銅線に電気が走ります。

磁石を動かす  ↓ 磁界が変化する  ↓ 電気が通る

これを電磁誘導といいます。電磁誘導という言葉は「磁界が電気を誘導する」という意味です。