助動詞「べし」「まじ」の用法と活用
「べし」は推量、意志、可能、適当、当然、命令、「まじ」は打消推量、打消意志、不可能、不適当、打消当然、禁止を表す助動詞。「べし」と「まじ」はちょうど反対の意味を持つ。
※当然、命令、適当という順番に書いてある教科書もあるが、適当、当然、命令の順番のほうがわかりやすい。適当は「should」、当然は「must」、命令は「Do…」である。
「べし」「まじ」の意味と用法
「べし」
- 推量 … ~だろう
- 意志 … ~しよう
- 可能 … ~できる
- 適当 … ~するほうがいい
- 当然 … ~するべきだ
- 命令 … ~しなさい
「む」と同様、主語の人称によって意味が定まる
- 主語が一人称 … 意志
- 主語が二人称 … 命令
- 主語が三人称 … (文脈判断)
主語が三人称の場合は文脈で判断する。また「べからず」の「べから(未然形)」は命令または可能を意味することが多い。
- 遊ぶべからず(遊んではいけない)
- 廊下は走るべからず(走ってはいけない)
- 勉強するべからず(勉強することができない)
「まじ」
- 打消推量 … ~ないだろう
- 打消意志 … ~するまい
- 不可能 … ~できない
- 不適当 … ~しないほうがいい
- 打消当然 … ~しないべきだ
- 禁止 … ~するな
前述のとおり「まじ」は「べし」の反対語である。
「べし」「まじ」の接続と活用
活用 | べし | まじ |
---|---|---|
接続 | 終止形 | 終止形 |
未然形 | べから | まじから |
連用形 | べく べかり |
まじく まじかり |
終止形 | べし | まじ |
連体形 | べき べかる |
まじき まじかる |
已然形 | べけれ | まじけれ |
命令形 | ◯ | ◯ |
ただし「べし」「まじ」両方ともラ変動詞は連体形に接続する。
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