Irohabook
0
18175

現在推量の助動詞「らむ」と過去推量の助動詞「けむ」の用法と活用

助動詞「らむ」「けむ」はセットで習うが、意味も接続も異なる。どちらも推量、原因推量、伝聞・婉曲を意味するが、「らむ」は現在のこと、「けむ」は過去のことを表す。

「らむ」の意味

  • 現在推量    … ~だろう
  • 現在の原因推量 … どうして~だろう(注)
  • 現在の伝聞婉曲 … ~いるとかいう

「けむ」の意味

  • 過去推量    … ~だっただろう
  • 過去の原因推量 … どうして~だったのだろう(注)
  • 過去の伝聞婉曲 … ~いたとかいう

「らむ」「けむ」を理解するポイントは原因推量という聞きなれない言葉である。これは主に「なぜ?」という疑問文で使われる。訳すときは「どうして~だろう」と訳す。現在推量と現在の原因推量は似ているが、疑問文でなければ原因推量、疑問文であれば現在の原因推量と考えるとわかりやすい。

また「む」と同様、「らむ」「けむ」は文末と文中で意味が決まる。

  • 文末 … 推量、原因推量
  • 文中 … 伝聞婉曲

「らむ」「けむ」は意味と用法がかなり細かい。後述するように接続も活用もかなり変則的であり、「らむ」「けむ」は古文で最も難しい助動詞と言えるかもしれない。

「らむ」「けむ」の接続と活用

活用 らむ けむ
接続 終止形 連用形
未然形
連用形
終止形 らむ けむ
連体形 らむ けむ
已然形 らめ けめ
命令形

「らむ」は終止形接続だが、「けむ」は連用形接続である。また「らむ」はラ変動詞のみ連体形接続になる。

  • 「らむ」は基本的に終止形に接続
  • ただしラ変は連体形に接続
  • 「けむ」は連用形に接続

活用自体は「む」とほぼ同じである。

次の記事

古文(古典)の文法