ぞ・なむ・や・か・こそ(係助詞)の係り結びの法則
係助詞という助詞がある。以下の五語を係助詞という。
- ぞ
- なむ
- や
- か
- こそ
係助詞は「ぞ・なむ・や・か・こそ」と何度も復唱して覚えよう。
係り結びの法則ってなに?
普通、文末の用言(動詞、形容詞、形容動詞)は終止形で終わる。「『もうダメだ』と考ふ(かんがふ)」という文からわかるように、文末の動詞は基本的に終止形である。
しかし文中に係助詞が入ると、この法則が崩れる。
「もうダメだ」と考ふ
↓
「もうダメだ」とぞ考ふる
文中に係助詞が入ると、文末が終止形でなく連体形になる。これを係り結びの法則という。
「ぞ」以外の「なむ」「や」「か」も同様に連体形になる。
「明日から本気だす」と考ふ
↓
「明日から本気だす」となむ考ふる
「勉強は大嫌いである」と考ふ
↓
「勉強は大嫌いである」とや考ふる
「古文は大好きだ」と考ふ
↓
「古文は大好きだ」とか考ふる
しかし「こそ」は已然形になる。
「『こそ』だけ注意しないといけないんだな」と考ふ
↓
「『こそ』だけ注意しないといけないんだな」とこそ考ふれ
例文
いかでかことなしびに言ひ出でむ(枕草子「二月つごもりごろに」)
→どうしていいかげんに言うことができるだろうか
「いかでか」の「か」が係助詞。
いみじうをかしといひたることどもの、人の心にはつゆをかしからじと思ふこそまたをかしけれ。(枕草子「九月ばかり」)
→とてもおもしろいということなどが、他の人の心にはまったくおもしろくないだろうと思われるのもまた、おもしろい。
「をかし」という形容詞が已然形になっている。
係り結びの法則のまとめ
- 文中に係助詞が入ると、文末が連体形になる
- ただし「こそ」は已然形
係り結びの法則は古文で最も重要な文法である。古文を読むときは常に係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ」と係り結びの法則を意識しよう。
古文(古典)の文法
-
現在推量の助動詞「らむ」と過去推量の助動詞「けむ」の用法と活用018130
-
高校古文まとめ(単語、品詞と文法)02113
-
古文の絶対敬語(奏す、啓す)013267
-
「瀬をはやみ」と「苫をあらみ」の文法|古典文法04789
-
「見ゆ」の意味と例文|古文重要単語02741
-
古文の助動詞「めり」「らし」の意味と活用01664
-
反実仮想とためらいの意志の助動詞「まし」の活用と用法022884
-
助動詞「べし」「まじ」の用法と活用012768
-
打消の助動詞「ず」の活用と例文017873
-
使役・尊敬の助動詞「す」「さす」「しむ」の意味と活用032513
-
完了・存続の助動詞「たり」「り」の意味と接続と活用021570
-
古文 助動詞の接続まとめ03016
-
過去の助動詞「き」「けり」の意味と活用と例文015742
-
古典文法 形容動詞の活用(ナリ活用とタリ活用)06678
-
ぞ・なむ・や・か・こそ(係助詞)の係り結びの法則019195
-
古典文法 動詞の活用まとめ(正格活用と変格活用)028738
-
古典文法の品詞の分類043690