線形代数(ベクトルと行列)のざっくりとした説明

この記事は線形代数の教科書を少し読んでいる人を対象にしています。線形代数を実際に細かく説明しているわけではありません。とても大雑把な解説です。数学を勉強しているとき、意外にもこのようなコンセプトを解説した本が見つかりません。

線形代数を線型代数と書いている本もありますが、違いはありません。線形代数は直線と平らな面について考える分野です。

ベクトル

ベクトルとは何でしょう? ベクトルとは方向と距離です。それ以上でもそれ以下でもない、ただの組みあわせです。

神奈川から東京に向かって歩いているとき、足は北を向いていると思います。鎌倉から江戸城まで行けば、その足は結局「北に50km」くらい移動したことになります。

この二つをもつものをベクトルといいます。今は二次元の平面で考えましたが、宇宙は三次元です。方向は少し複雑になりますが、距離という概念は変わりませんね。50kmは50kmです。

ここで、二次元ベクトルと三次元ベクトルは「距離」という点ではなんとなく同じで、「方向」という点ではかなり違うということを意識する必要があります。

Q: 方向がないベクトルはあるのか?
A: ゼロ以外にない

Q: 距離がないベクトルはあるのか?
A: ゼロ以外にない

ゼロベクトルはなにもないので、方向も距離もへったくれもない。逆にいえば、ゼロベクトル以外のすべてのベクトルは方向と距離をもっています。

行列

線形代数は行列の学問であると主張する数学者はあまりいないと思います。線形代数とはベクトルの学問です。行列はベクトルの変換を表すツールであり、それ自体を研究することは線形代数の本質からずれていきます。

行列とは何でしょう? 行列とは、ベクトルとベクトルの関係を表すものです。

二次の行列(縦に2つ、横に2つ)に二次元ベクトルをかけ算すると、別の二次元ベクトルが出てきます。つまり行列とは y = f(x) でいう f なのです。関数であり、ベクトルの工場です。

行列とベクトルはかけ算する方向にルールがあり、かけ算した値は内積になっていますが、

そんなことはどうでもいい人工的ルール

でしかありません。プログラミングと同じであり、なぜ

for ( int i = 0; i < 10; i++ )

がプログラムのループなのかを一時間も考えるのは人生の無駄です。なぜ行列が内積を採用しているかを考えることは、パイソンがパイソンという名前になった理由を考えるよりも無駄であります。

行列はルールを覚えると計算ができるようになり、大学の試験では平均的な点数をとることができます。複雑に考えること、なにか深淵な理屈を模索することは、これを読んでいるすばらしい頭脳の人は得意だと思いますが、残酷なことに、点数アップにつながらないのです。

座標変換1

数学についてある程度知っている人は、ここで記事が終わったらこの記事に怒りを覚えると思います。もう少しましな説明を加えたいと思います。

座標変換とは何でしょうか? これは宇宙を飛んでいる状況を考えるとわかりやすいと思います。

東京にいるときは Google map がすべてであります。Google map にある方位磁石が方向であり、それに逆らって、例えば西を向いて

俺はこっちを北として新しい座標を設定したいと思うね

といっても経済的に損するだけであります。あらゆる地図は北を北として採用し、私たちはそれにしたがってビルを探すわけです。

しかしロケットに乗っているときはどうでしょうか? あるロケットが火星にむかってまっすぐ飛んでいるとします。まっすぐ進んでいるので、とりあえずその方向を新しい「北」として採用し、隕石がぶつかってきてロケットの方向が変わったときに、「このロケットは東に2kmずれた」と表現するのも、悪くないはずです。

東京の地図をそのままロケットに持ちこむ必要はありません。

接空間1

その地点における地図を接空間といいます。これは線形代数であつかわない概念ですが、とてもわかりやすい概念です。接空間を厳密に定義すると難しいことになりますが、その地点を中心とした地図とざっくり考えてもここでは問題ありません。

接空間は地図であり、当然「東西南北」があります。しかし地図は一枚しかありません。ここに線形代数を理解するミソがあります。

地図は一つしかありません。回転すれば、皇居の上に新宿がくることもあるでしょう。しかし皇居の上に新宿があるとき、東京駅は皇居の下にあるはずです。それぞれの場所は変わらないので、地図そのものは変わらないのです。

※三つの場所が決まれば二次元の地図の方向が完全に決まるという事実はとても重要である。二つの場所だけでは地図の表と裏の区別がつかない。なぜ三つの場所が必要なのだろうか?

地図は一つしかないが、東西南北の向きは勝手に設定することができる。経済的に損するとしても。これまでをまとめると

となります。

座標変換2

皇居にいるAの接空間(地図)を考えます。東京駅の座標を (1, 0) とすると、新宿駅の座標は (-1, 0) になります。東京駅と新宿駅はちょうど正反対に位置するからです。

東京駅 (1, 0)
新宿駅 (-1, 0)

しかし新宿が皇居の上にくるような地図をもっているBはどうでしょう?

東京駅 (0, -1)
新宿駅 (0, 1)

まったく違う座標になりました。AとBはそのままではまともに意思疎通できません。飛行機の管制塔にいる人は同じ向きの地図をもっている必要があります。

AがBに「新宿から (2, 0) 進めば東京に着けるよ」と言ったとします。もしBが新宿にいたら (0, 1) から (2, 1) に移動することになりますが、Bにとって東京は (0, -1) であり、Aの言うとおりに動いても東京駅に着けないわけですね。

そこで行列が出てきます。

Aが (2, 0) 動けといったら、その (2, 0) を (0, -2) に変換する必要があります。この関数が座標変換の行列です。行列とは、異なる地図をもつ二人が意思疎通できるようになるためのツールなのです。

接空間2

今までのわかりにくい説明では、なぜ接空間という言葉を使ったかよくわかりませんでした。

接空間はその地点における地図です。この地図はもちろん平らであります。曲がっている地図を好んで使う人はいません。同じように接空間は平らです。

東京駅にいるAの地図と新宿駅のいるBの地図を比べてみましょう。今までの説明から、地図は回転できるが本質的に一つしかないと理解できていると思います。AとBがあべこべに北を定義したとしても、本質的に彼らのマップはそれぞれ一つしかない。

AとBが地面にそれぞれの地図を置きました。Aの地図を地面に平行に移動させると、Bの地図に一致することは想像できると思います。つまり東京にいるすべての人は、地面に平行して移動させると重なる地図をもっていることになります。

A → B (平行移動)

ところが東京の地図を地面に並行にどんどん移動していって、ニューヨークの地図とぴったり重なるでしょうか? 答えはノーですね。なぜなら地球は丸く、地面はゆるやかに曲がっているからです。

これはとても重要な概念です。

地図を並行に移動してぴったり重なるということは、そもそもその二つの地点は平らな地面にあるのです。

地面を並行に移動して重ならないということは、そもそもその二つの地点を結んでいる地面が曲がっているのです。

つまり、地面が歪んでいるかどうかは、接空間を平行移動するだけでわかるのです。これは宇宙が曲がっているかどうかを分析するにあたって、星の接空間を考えることが重要になることを表しています。

接空間は地図という概念として定義されましたが、やがて空間の曲がり具合を考えるツールになっていくのです。だからこそ、数学において線形代数は基本的な学問としてあつかわれています。

(以下追記中)

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