最高のネーミングと末期的な4文字カタカナ症候群

一部の人が知っていて、ほとんどの人が意識しない真実のうち、最も経済的に影響力のある概念はネーミングだ。日本の末期的創造力はネーミングにあらわれている。

企業のイメージを傷つけるつもりはないので例をあげないが、カタカナ4文字のブランドがそこかしこにあふれている。4文字というリズムは日本人の感性に合うかもしれない。海外で生まれたサービスも独自に略されて4文字になることがある。

ネーミングのコモディティ化

懸命に仕事をしている人に嫌われてしまう覚悟で言うと、日本はコピーと改良のくりかえしで自ら過激な競争に入っている。競争は参加者の利益をむしりとるため、日本の生産性はいつまでも上がらない。

製品をコピーして、少し改良して発表する、というループを続けることは、ヨーロッパの技術を輸入してのし上がった日本の十八番かもしれない。この戦略は、競争がほとんどないとき、そして人口が増えているときに限って有効だ。しかし競争が生まれるとゲームはゼロサムになり、参加者は互いの利益を奪うことで生きるようになる。これがコピー戦略の最終形になる。

このコピー戦略は現在進行形でネーミングに及んでいる。4文字のカタカナが普及しやすいことに気づいた人が、その戦略を共有して競争に入っていくのだ。名前を決める人は最高のネーミングを考えているが、そのネーミング哲学そのものがコモディティ化して価値を失う。

メディアに携わる人はアイデアを考案するときに大衆を侮蔑する。あらゆる設計は侮蔑に始まり、軽蔑に終わっている。冷めている消費者はその思想に気づいてしまうので、その商品と広告を地球から消えるべきだと考えるようになる。

カタカナ4文字という戦略がコモディティ化するとき、購入者はネーミングという商品の命までも不遜な支配に置かれていることに気づく。購入予定者は「あれもカタカナ4文字」「これもカタカナ4文字」「結局、自分たちにこれを購入させたいんだろう?」と意識するので、実際はそれを避けるようになる。

ネーミングは一瞬で終わりをつくる

名前はすべてを決める。重大な犯罪をおかした者が永遠に成功しないように、重大な欠落を備えた名前は製品を成功に導かない。

あらゆるものは改良して発展するけども、最初に重大な欠落があって持続的な発展を遂げたものはあまりない。ピッチャーはキャッチャーのほうに向いていないといけない。ピッチャーが反対方向に投げて野球が成立することはない。ピッチャーの投げる方向は決まっているが、その角度は微妙に変わっていく。それが野球というゲームの進化なのだ。

最初にだいたいの方向を決めない限り、それはすぐに終わってしまう。製品とサービスの場合、それは名前となる。マリッサ・メイヤー氏がヤフーを救うことができなかったのは、グーグルという名前がヤフーという名前よりも圧倒的に偉大だったからだ。「グーグルの技術力がヤフーをはるかに超えていたから、ヤフーは負けた」というアイデアはとても危うい。競争の未来が技術力だけで決まることはない。

アップル、アマゾン、グーグル、フェイスブックはどれも名前に強力な哲学が入っている。普遍的な価値を匂わせて、子どもだましでなく、言語的美しさを維持している。現在、ヤフーとAOLはOathの傘下になっている。oathは「誓い」という意味の普遍的な名詞だ。

最高のネーミング

最高のネーミングは次の条件をクリアしなければいけない:

  • 英語である
  • 普遍的である
  • シンプルである

名前の長短があまり関係ないことは、フェイスブック、インスタグラム、ネットフリックスなどが明らかにしている。アマゾン、グーグル、オラクルは6文字、アップルは5文字だが、マイクロソフトは9文字だ。

フォーブスなどが公表している世界のブランドランキングを見てわかるように、ブランド名は基本的に英語でなければいけない。英語でないサービスは、トヨタやフランスの高級ブランドなどに限られる。これらは最初から市場の競争を脱している(当事者だけがそうは思っていないし、思いたくもない)ので、これから市場を創造する人はそれらを参考にできない。

アマゾンは世界一の流域面積をもつ川である。アップルは聖書とビートルズという歴史的なイメージと結びついている。最高のものは普遍的な名前をだいたい持っている。普遍的な概念とは、私たちのほとんどが時代を超えて伝えられる概念である。そして普遍的な概念とは、ありふれた一般名詞、誰でも知っている地名、または偉大な人の名前である。

シンプルであることは、あらゆる設計で基本になる。人間は複雑だが、最初は受精卵というシンプルな細胞である。数学は複雑だが、根本的な命題はとてもシンプルに表現される。経済は複雑だが、重要なアイデアは一文で書かれる。例えば「完全競争は参加者の利益を奪う」といったように。

これから何かを作りたい学生へ

何かを作るときは、ネーミングでなく、あなたが作りたいものの価値を探るべきだ。その価値はきっと普遍的でシンプルな言葉と結びついている。

カタカナ4文字症候群にはまったら、自分からコモディティ化に突進していることになる。つまり無意味な競争を強いられ、手にするはずの利益を最初から捨てることになる。

ネーミング戦略はとても逆説的だ。ネーミングという分野を勉強しないとすばらしい名前は生まれない。しかしそれにとらわれるとコモディティ化の競争に陥る。結局のところ、優れたネーミングは優れた思想家のもとにしか訪れない。それは普段の習慣で決まるものだから、一年のマーケティング経験で生まれることはない。ある意味、教養はネーミングに最高の力を与える。

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