硝酸の性質、オストワルト法、金属との反応

硝酸(HNO3)は窒素をふくむ強酸で酸化剤の一つ。酸化力が非常に強く、銀などの酸に強い金属も溶かしてしまう。濃度によって酸化力の性質に違いがあり、希硝酸では一酸化窒素、濃硝酸では二酸化窒素が副産物として生じる。

硝酸 Nitric acid

硝酸の性質

・強酸性、強酸火力(強酸化剤) ・揮発性 ・光で分解 ・濃硝酸+鉄で不動態

硝酸は光を当てると分解する。そのため硝酸は光を遮断する褐色ビンなどに保存する。

また希硝酸は鉄とアルミニウムをふくむほとんどの金属を溶かすが、濃硝酸は鉄とアルミニウムを溶かさない。濃硝酸に鉄またはアルミニウムを入れると、金属表面に細かい酸化物の膜ができる。これが金属の酸化を止めてしまう。この状態を不動態という。

硝酸の製法

硝酸はオストワルト法でつくる。

  • アンモニアを白金触媒のもと酸化させて一酸化窒素をつくる
  • 一酸化窒素を酸化して二酸化窒素をつくる
  • 二酸化窒素と水を反応させて硝酸をつくる

それぞれを反応式にすると下のようになる。

  • 4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O
  • 2NO + O2 → 2NO2
  • 3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO

また硝酸は揮発性の酸であるため、揮発性酸塩+不揮発性酸の反応を利用してとりだすこともできる。不揮発性の酸として濃硫酸がある。

NaNO3 + H2SO4 → NaHSO4 + HNO3

 揮発性酸塩+不揮発性酸 →不揮発性酸塩+揮発性酸

硝酸と金属の反応(酸化剤)

硝酸は希硝酸と濃硝酸で性質がかなり異なる。金属は希硝酸に溶かすと一酸化窒素、濃硝酸に溶かすと二酸化窒素が生じる。

希硝酸 HNO3 + 3H+ + 3e- → NO + 2H2O

濃硝酸 HNO3 + H+ + e- → NO2 + H2O

例えば銅と希硝酸、銅と濃硝酸の反応はよく出る。

銅と希硝酸 3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3)2 + 4H2O + 2NO

銅と濃硝酸 Cu + 4HNO3 → Cu(NO3)2 + 2H2O + 2NO2

銅と希硝酸の係数は3 8 3 4 2、銅と濃硝酸の係数は1 4 1 2 2。

硝酸とベンゼン

ベンゼンと濃硝酸と濃硫酸を混ぜて、加熱するとニトロベンゼンができる。ニトロベンゼンは特有の匂いがする。

ベンゼン環にNO2を付加することをニトロ化という。ニトロ化された有機化合物をニトロ化合物という。

トルエンをニトロ化すると爆薬の原料であるトリニトロトルエン(TNT)ができる。またフェノールをニトロ化するとピクリン酸ができる。

キサントプロテイン反応

キサントプロテイン反応とは、タンパク質(あるいはアミノ酸)にふくまれるベンゼン環を検出するもの。手順は次のとおり。

  • 検出対象のタンパク質の水溶液と濃硝酸を混ぜる
  • 加熱する
  • アンモニア水を入れる

アンモニア水を入れてオレンジ色になったら、検出対象にベンゼン環がふくまれている。オレンジ色にならなかったらベンゼン環はふくまれていない。

なおベンゼン環をふくむアミノ酸はフェニルアラニンとチロシン。

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