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連載小説「ペンは剣よりも強し」第1話:通知(その2)はじめての模擬試験

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登場人物

坂本真一郎 … 塾に入ろうとしている
加藤亜紀 … 身長の低い女の子
池内玲香 … 身長の高い女の子
塾のおばさん … 校門の前でティッシュとパンフレットを配っていたおばさん

第1話:通知(その1)
第1話:通知(その2)はじめての模擬試験
第1話:通知(その3)入塾テスト不合格

本編

三人は竹馬を片づけて一緒に帰ることにした。二人が話しながら歩いている後ろを歩き、そっと手のひらと手の甲を見た。一日中ボールや竹馬を触って、しかも手を洗っていないから、指や爪が真っ黒になっていた。

「あれ、あの人またいるよ」

と亜紀が指さしたところに二人の女性がいた。一人は若い女性、もう一人は四十代くらいの女性。ペンのマークが入った紙袋をそばに置いて、たまにすれ違う生徒たちにティッシュやパンフレットを配っていた。

「あの人の周りをグルグル回ってティッシュだけ全部もらおうか」

玲香はそう言って二人のもとに走っていき、おばさんのほうからティッシュをもらった。そして臆面もなく隣の若い人の前に立ち、ティッシュをくれと言わんばかりに手をさしだした。亜紀は慌てて玲香のもとにかけより、「何やってんの!」と叱った。

「いや、ティッシュをもらいたいと思って」

「意味わかんない!バカじゃないの?」

二人がそう言っている間に、真一郎はおばさんの前に立り、手を前に出して言った。

「おばさん、僕にもティッシュください。家が貧乏なんです」

「はい、どうぞ」

ティッシュと一緒にパンフレットが添えられていた。

「よかったら今度テストを受けてちょうだい」

おばさんは身長を合わせるように前かがみになった。

「もうすぐ夏休みでしょう。七月の終わりに全国模試があるから受けてみて」

「全国模試?」

「国語と算数のテストだよ。お父さんかお母さんに伝えてちょうだいね」

その夜、真一郎の家は怒鳴り声で響いていた。父が用意していた問題集の問題を時間内に解けなかったことで、父が文字どおり鬼のように怒ったのだ。わからない問題が一個でもあったら頬を叩かれる。問題を解くことに意味はなく、怒鳴り声を聞かないための手段でしかなかった。

「何回言ったらわかるんだ、このバカ野郎!ちゃんと図を描かねえからダメなんだよ!」

しつこく怒鳴ったことに疲れたせいか、席を立って母のいるキッチンに行った。誰もいなくなったリビングで、真一郎はテーブルに置いてある問題集を手にとり、適当にページをめくって少し破いた。

そうしてしばらく時間が過ぎた。なにも考えないで過ごす無意味な時間だった。

「おい」

その声が聞こえた時、向かいの席に父と母が座っていた。問題集の上には日数研と書かれたパンフレットがあった。夕方ティッシュと一緒にもらったものだ。

「七月二十九日にテストがあるから受けてみろ」

「…」

「返事はどうした!」

「…はい」

「国語と算数だから、算数はいい点をとるんだぞ」

「…」

「だからなんでお前は返事しないんだ!わかったのかわからなかいのかはっきりしろ!どうなんだ!」

「はい」

「はいって言うのは、わかったって意味か。はいだけじゃわからないだろ」

(しつこいな)

「受けます」

竹馬に乗っていた放課後を思いだしていた。一日の休息はそのくらいしかなく、そのわずかな時間をふりかえることでしか救われていなかった。父は問題集を手にして、真一郎の胸につきだした。

「言われたことはやっとけよ。わかったな」

「はい」

(いつかぶん殴ってやる。大人になったらぶん殴ってやる)

真一郎は母をじっと見た。母は味方なのか敵なのかわからなかった。母はなにも言わずにキッチンに戻り、再び一人の時間になった。残された問題集をじっと見る。ブサイクな鉛筆のキャラクターが表紙に描かれた、腹立たしい問題集。アインシュタインはこんなものを小学生のときに勉強していたのか?

不思議だった。頭のいい慎吾に聞いたら、慎吾の父も母も厳しくないし、ボードゲームやゲームソフトをたくさん買ってもらえるらしい。勉強しろとは言うが、何時間も勉強しろとは言わない。外で遊ぶことも、友だちと遊ぶことも大事だという。

しかし真一郎の家は真逆だ。一週間のうち放課後に遊んでいいのは二日だけで、それ以外は算数の問題集をずっとやらないといけない。

加藤亜紀の家もだいたい慎吾と同じだ。母はとても優しくて、勉強しろと言わないらしい。あまり勉強しているわけでなさそうだが、亜紀はなぜか頭がいい。勉強しないで頭がいい。これ以上素晴らしいことがあるだろうか?

しかし自分は一体なにをやっているのだろう。おそらく学校で一番勉強しているが、それがなんだというのか? 学校で一番偉そうにして、誰もなにも言えないのは安行だ。安行が勉強家という話は聞いたことがない。勉強家でなくても人を従えて、人をこき使うことは可能ということだ。

「なんなんだよ…」

自分だけどこかに残されている気がした。学校に行けば、いついじめられるかわからないし、強くふるまっていないと友だちに裏切られるかもしれない。家に帰ればしつこい怒鳴り声とビンタが待っている。おかしいと思っていることがあっても反抗は許されない。どこに行ってもなにもできない。

涙がぼとぼととこぼれた。

「はじめ!」

試験は日数研の会場で行われた。自分以外に五十人以上の生徒がいる。その中に同じ学校の同級生はいなかった。全員が知らない人間で、青白い顔をしていて、自分より確実に頭がよさそうだった。

最初の教科は国語。プリントは何枚もあり、大量の文章が並んでいて、見ているだけで気持ち悪くなりそうだ。普段使っている教科書のちょうど二倍の大きさの紙に、つまらない物語が書かれている。

(なんだよこれ!漢字が読めないし、意味がわからない!)

隣の生徒はすでに鉛筆を走らせている。すでに文章を一回は読んで、解答に移っているということだ。しかし自分は問題どころか文章も読めない。

わけがわからない文字がたくさん並んでいる。そもそも漢字も言葉もわからないので、なにが書いてあるかまったくわからない。

(どうしようか…本当にわけがわからない)

思いきって飛ばすことにした。次の問題は説明文だ。物語文と説明文の区別はついていた。主人公の気持ちがつづられたものが物語文、そうでないものが説明文という理解だった。しかし実は、この一見説明文に見えた文章は随筆というもので、一種の物語文だったのだ。

真一郎は説明文に少し自信があった。しかし肝心の内容があまりにつまらなかった。水力発電とダムという、まったく面白くないテーマだったのだ。ダムはなんとなく知っていたが、ダムは東京にないし見たこともない。ダムのことをあれこれ言われたって、写真がないからわけがわからない。

国語は本当に嫌いだった。テレビがあるのに文章だけで伝える必要はない。そもそも文章だけで内容を理解することはできないはずだ。

文章だけでなく、写真やテレビのようなものが教科書にないのはおかしいと担任の先生に言ったことがある。その時は「それは国語って言わない」と言われたが、まったく納得できなかった。

真一郎は国語という科目と、担任や父母が説明する回りくどい説明に不信感を持っていた。そうした記憶が蘇ってくるにつれて、テストの文章をきちんと読む気がなくなって、どうでもよくなってきた。

「終わりです。鉛筆を置いてください」

気がついたら解答用紙にほとんどなにも書かずに終わっていた。

(結局ほとんど解けなかった…やばい…)

「解答用紙を後ろから前に送ってください」

解答用紙を後ろから前に送るというやり方は塾も同じらしい。しばらくすると背中に解答用紙の端っこらしいものがツンツンと当たり、ふりかえって何枚も重なった解答用紙を受けとった。

(嘘だろ!?)

後ろにいる生徒は解答用紙にびっしり解答を埋めていた。その上に自分の解答用紙を置いた。ほとんど真っ白の、コピー機で印刷された時とほとんど変わらない状態の紙を。

頭が真っ白になった。解答用紙を前に送ってから、自分の解答用紙を前の人に見られたことに気づいた。自分がなにもできなかったバカだと知られたかもしれない。

(しまった…一番下にしておけば)

「十五分の休憩後、算数の試験を始めます」

試験監督がそう言っても、誰もなにも話を始めない。この独特な緊張感はいったいなんだろう?

目次

第1話:通知(その1)
第1話:通知(その2)はじめての模擬試験
第1話:通知(その3)入塾テスト不合格

あとがき

登場人物はすべて架空の人物です。今回は塾の試験をはじめて受けた時のストーリー。国語の解答用紙はほとんど埋めないで出してしまい、最悪の結果をむかえてしまいました。

漢字が読めない、単語が理解できないという根本的な問題があったせいで、国語は受験直前まで苦労することになります。

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