小野妹子物語1-2|山田まや

以下、作品中に使用している画像はすべてウィキメディア・コモンズのパブリックドメインの画像です。物語の都合上、引用を明示せずに使用します。予めご了承ください。

 夕日が照らす道を一人で歩き、浜辺の近くのボロ家に戻る。

「ただいま…」

 玄関に入ると姉の小町がいた。

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 勉強と運動は中の上で、顔は色白で、和歌作りだけが趣味という姉である。

「おかえりなさい。あら、どうしたの? またいじめられたの?」 「まあ…」 「そう…じゃあ私と百人一首でも」 「もううんざりだよ!」

 妹子は叫んだ。

「なんでカルタしかねーんだよ、この家は!」

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「だって…」

 むくれた妹子は靴を脱いで汚い廊下を歩く。  キッチンに入り、鞄をイスにかけると、小町は正面に座って妹子の話を聞く姿勢になった。

「今日はどうしたの? 全部話してごらん」

 学校でいじめられ、家で慰められる。  これが妹子の日常だった。

「もっと自分に自信をもたないと。だからいじめられるんじゃない?」 「ないよ!」 「あるじゃない、カルタが」 「うるさい! カルタなんて流行ってねーんだよっ!」

 肩をつかまれる。

「自分を卑下しちゃダメ! 妹子ちゃんは本当はすごいんだから!」 「だからカルタは流行ってねーんだよ!」

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 そして姉特製のホットケーキを食べる。

「シロップをかけてっと」

 小町は鼻歌を交えてシロップをかける。  そのときであった。

© 2016 Yamada Maya

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