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中学受験小説・第5話「親友と絶交」その2(全国試験)

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連載小説ペンは剣よりも強しは実話にもとづいて書かれた受験物語です。ぜひTwitterやFacebookでシェアしてくださいね。この物語は絶望的状態からはいあがる出世物語です。受験生だけでなくビジネスマンにも読んでいただきたい作品となっています。

前回の話:第4話「競争と傲慢」その1(ビリからの再出発)

これまでのストーリー

「ペンは剣よりも強し」全話目次(第1話〜)
第4話「競争と傲慢」その1(ビリからの再出発)
第4話「競争と傲慢」その2(劣等生の仲間)
第5話「親友と絶交」その1(人間不信)

第5話「親友と絶交」その2(算数の目覚め)

精神年齢が低く、言語能力は小学一年生と大差なかった。国語の偏差値はおおむね二十から三十で、国語だけで考えると塾で最下位だった。真一郎の母は塾に呼ばれて国語の点数を上げるコツを教わった。

会話すること。少しずつ難しい言葉を教えること。社会や大人の実情を教えること。普段の日常と習慣を変えることで、国語の点数は少しずつ伸びていくはずだと言った。そこで母は毎日三十分ほどコミュニケーションスキルを伸ばすような会話訓練を始めた。しかしそうした時間は心だけ幼い少年に苦痛でしかなかった。

国語の小説に出てくる登場人物の心情はまるで理解できなかった。これはいくつか理由があった。第一に登場人物の言葉そのものを最初にとらえようとすること。第二にその言葉を理解できないこと。もし登場人物が「悲しい」と言っていたら、その人物はきっと悲しいだろうとわかる。しかし天気が暗く、雨がしとしと降っているという情景が心情を表すとは夢にも思わない。

「守くんが泣いている時、守くんが悲しいってわかるでしょ。涙を流していたら悲しいよね」

「そのくらいわかるよ」

「この文章に出てくる雨は涙を表してる。だからこの人は本当は悲しいわけ」

意味がわからなかった。雨を降らすかどうかは、地球が決めることだ。人間の悲しい気持ちが地球を動かすはずがない。それは理科の問題で、国語の問題でない。この少年は文学と科学の違いをまるで理解できず、大人が理解できない屁理屈をこねることが得意だった。

自分が理解されない人間ということはすでにわかっていた。二酸化炭素が増えて地球温暖化が進んでいるという話がある。中学受験の国語でよく扱う社会問題だ。どうすれば地球温暖化は止められるか、考えてみようと塾の先生はみんなに問う。そこで少年はこう答えた。

「二酸化炭素を掃除機で吸って、ロケットで宇宙に送る!」

自動車から排気ガスを除くとか、木を植えるとか、そうした意見が出てくる中、少年はこの授業が国語であることを忘れて、科学的に考えようとするのだ。

「二酸化炭素をすべてドライアイスにする!」

何も考えない。出題者の意図を考えない。考えることもしない。これが精神年齢の低い少年、つまり国語のできない劣等生の共通点だった。なぜなら小森もまた、同じような意見を言うからだ。小森は

「二酸化炭素は石灰水に入れると白く濁るから、石灰水をかき集めればいい」

と真面目に言った。国語の先生はこうしたアイデアを否定しなかったが、自動車を減らしたり、クリーンエネルギーに変えたりすることが重要だと言った。二酸化炭素を掃除機で吸うというバカバカしい意見と、クリーンエネルギーに変えることの何が違うだろう?

…算数の偏差値も下がっていた。小学校の環境が荒れていたせいで、算数の勉強時間が減っていたからだ。しかし二月の全国試験(週末テストと異なる、範囲が限られない実践的な試験)で状況が一変した。

この試験は範囲がなく、問題数が少なく、記述式である。普段の週末テストは小手先のテクニックである程度点を稼げるが、全国試験に悪あがきは通用しない。実力のある者と実力のない者がはっきりする。塾長はすべての生徒を最上階の大部屋に集めて、週末に行われる全国試験について説明した。

この塾長は二メートル近くある大男だったが、痩せていた。痩せているが、声は野太く、すべての少年少女たちから恐れられていた。

「この試験でクラス替えは行わない。ただ、結果が悪かったら志望校を変えてもらう」

教室がざわざわとした。

「特に東京中学校と桜光中学校の志望者は、全国試験の偏差値次第でもう諦めてもらう可能性もある。覚悟してほしい」

真一郎はつばを飲みこんだ。こんなところで東京中学校を諦めてたまるかと思った。東京中学校に入って、東京大学に入り、国際連合の事務長になってやるのだ。この地球で最も偉大な人間になるのだ。アメリカの大統領より偉い人間、アインシュタインよりも偉い人間になるのだ。

「この中の二十名は東京中学校を志望しているが、この校舎から入学できるのは一人、多くて二人。二科目の偏差値は八十以上必要で、六十以下の者はおそらく受からない。私もいろいろな生徒を見てきたからわかるけど、この時点で六十だと無理だ」

教室は静かになった。Sクラスの上位連中を見ると、大塚も含めてほとんどの生徒は青ざめていた。それはそうだ。一列目や二列目に座って「俺はひょっとしたら天才なんじゃね」と思っていた人間も、ほとんどは落ちる宿命にある。

「まあ、例外はある。この中にもその例外に当たりそうな者はいる」

その言葉を聞いた瞬間、真一郎はギクッとして塾長の顔を見た。塾長は真一郎の顔をはっきりと見ていた。

(俺、なんでにらまれているんだ?)

前に座っていた者たち、隣に座っていた者たちが全員、真一郎の顔を見た。不思議な時間が流れた。しかし塾長はすぐに顔をそむけて、黒板に寄りかかって話を続けた。

「あと三年もあるじゃん、と思うだろう。でもあと三年しか、だ。三年で偏差値を二十以上あげる人はほとんどいない。成績をここから一気に上げる人は、だいたい人の三倍は努力してる。君たちの人生がどうなるかは、君たちが人の三倍努力できるかどうかにかかっている。健闘を祈る」

塾長はそう言って部下の事務員に全国試験の過去問を配った。

「この問題を解いても、この問題は絶対に本番出ないから安心しろ」

真一郎はまだドキドキしていた。塾長はどうしてあの時、自分の顔をにらむように見たのか?

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