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リンの同素体(黄リンと赤リン)と化合物(リン酸、十酸化四リン)

リン(P)は原子番号15、15族3周期に属し、周期表では窒素の下にある。黄リンと赤リンという同素体がある。

人間を構成する6大元素(酸素、炭素、水素、窒素、カルシウム、リン)の1つ。

項目 P
原子番号 15
15
周期 3
電子殻 285
原子量 31
分類 典型非金属

黄リンと赤リン(リン同素体)

黄リンと赤リンは混乱しやすいため、まずは赤リン=マッチ=比較的安全なリンと覚えよう。一方、黄リンは非常に不安定で危険である。

赤リン … (比較的)安全
黄リン … 危険

黄リンも赤リンも常温常圧で固体で、それぞれの色は黄、赤。

黄リンは常温常圧において自然に酸素と反応し、自然発火する。そのため酸素のない水中で保存する。この反応性は黄リンの不安定な構造(4つのリンが正四面体の各頂点をなすように結合、上の画像)にある。

マッチを考えればわかるように、赤リンは自然発火しない。下の動画はリンの発火を撮影したもの。

P4O10

P4O10(十酸化四リン)は黄リンまたは赤リンが酸化された物質で、常温常圧で白い固体。

十酸化四リンは水酸化ナトリウムや水酸化カリウムと同じく潮解性をもつ。すなわち空気中に放置すると、自然に空気中の水分をとりこんで液状化する。

十酸化四リンの潮解性は吸湿性による。この吸湿性を利用して、十酸化四リンは気体の乾燥剤に使われる。

H3PO4

H3PO4(リン酸)は3価の酸で、酸の強さとしては、酢酸より強く塩酸・硫酸より弱い。

(水に溶けていない純粋な)リン酸は無色の固体であり、十酸化四リンと同じく潮解性をもつ。

リン酸化合物として有名な物質にATP(アデノシン三リン酸)がある。ATPはエネルギーの通貨ともいわれる。また生体の細胞膜はリン酸と炭化水素が結合したリン脂質によって構成される。

またリン酸は肥料の成分で、開花に影響する。

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