高校世界史・倫理 マルクスと社会主義(確認問題つき)

マルクスは、資本と労働の研究から共産主義という考えを打ちたてた思想家です。

マルクス

マルクスは当時の資本主義社会を見て、人々の労働がお金を稼ぐための苦役と化している現実を分析し、もともと自発的で創造的だったはずの労働でなくなっている、労働が疎外されていると考えました。労働疎外の原因を私有財産制に帰着させたところがポイントです。

私有財産制 → 労働疎外

またマルクスは唯物史観を唱えています。

社会の構造
上部構造 … 国、法律、文化(人間の精神の営み)
下部構造 … 経済体制(人間の経済の営み)

経済の営みである経済体制が精神の営みである国や文化を支えており、資本主義的な経済体制では資本主義的な文化が、そうでない経済体制ではそれ独自の文化が発達します。

そして生産力が増えると生産力と生産関係が矛盾し、その生産力に応じた生産関係が新たに作られると説きます。

マルクスの疎外論

マルクスは以下の四つの疎外をあげています

  1. 生産物からの疎外
  2. 労働からの疎外
  3. 類的存在からの疎外
  4. 人間からの疎外

例えば大規模な工場で無数の人が部品を部品に差しこんでいる場面を想像してください。

労働者は最終的な生産物を直接作っているわけではなく、生産物は資本家のものとして世界に売られていきます。一方、大工さんが一人で家を建てるような光景を想像してください。この大工さんは(他の何人かと協力するにせよ)自分の力で家という生産物を作るため、労働者と生産物は切り離されていないと考えられます。

労働の疎外

生産工程が大規模化すると労働者と生産物はどんどん離れていき、労働者が生み出す富の多くを資本家が持って行ってしまうという現象が起きます。

また私有財産制の発達により、人々はお金を手に入れるため労働するようになりました。本来はなにかを欲しいからなにかを作るといった自発的な理由で労働していたので、私たちは労働から解放されることを自由と考えるようになりました。労働を苦役と考え、本来の労働から遠ざかっている状態を労働からの疎外といいます。

また私たちはもともと共同体の中で暮らしていましたが、労働はもはや自分の生活を成り立たせる手段と化しており、共同体で生きていくという概念が希薄になってしまった。これを類的存在からの疎外という。

生産物、労働、類的存在といった人間らしいものから疎外された結果、人間は人間というものから疎外されることになります。

確認問題(一問一答)

  1. マルクス以前にも社会主義的な考え方は存在した。マルクスはそれらを(   )と呼んだ。
  2. マルクスの歴史観は(   )と言われている。世界史は、生産力の増大によって旧来の生産関係が崩れ、新しい生産関係が生まれることによって発展するという考え方である。
  3. (   )はマルクスの思想をロシア革命という形で政治的に実行した。
  4. オーウェンは理想社会の建設を目指して(   )という共同体を作ったが、ほとんど失敗に終わった。
  5. フーリエは(   )と言われる理想的な農業社会を作ろうとした。
  6. マルクスは経済的な仕組みを( ① )、法律や文化を( ② )として、①が②を規定するとした。
  7. マルクスは資本主義社会を分析し、人が本来の労働をできないでいる、すなわち(   )されていると主張した。
  8. (   )協会のウェッブ夫妻は産業の国有化によって漸次的に社会主義を目指すべきと主張した。

解答

  1. 空想的社会主義
  2. 唯物史観
  3. レーニン
  4. ニューハーモニー村
  5. ファランジュ
  6. 下部構造、上部構造
  7. 疎外
  8. フェビアン

確認問題(正誤問題)

次の各文が正しいか間違っているか判断しなさい。

  1. マルクスの唯物史観によると、技術の発展によって生産力が増大すると生産関係に矛盾が生じ、その生産力に適した生産関係に変わっていく。
  2. フーリエは農業中心の理想社会を作ろうとアメリカでニューハーモニー村を創設したが、失敗に終わった。
  3. 人間が人間疎外を脱して本来の労働生活を戻るためには資本主義的制度を解体しなければいけないが、私有財産制は社会秩序を維持する法として残すべきとした。
  4. 生産物や労働などから疎外された者はついに人間からも疎外されるとマルクスは述べている。
  5. マルクスの思想を引き継いでレーニンはロシア革命を指導し、世界史上初となる社会主義国家を作り上げた。
  6. 文化などの下部構造が経済という上部構造を規定するとして、下部構造が変化しない限り上部構造は変化せず、したがって社会主義革命は達成されないとした。
  7. マルクスはプロレタリアートによる革命を主張し、ブルジョアジーは革命の担い手にならないと一貫して主張し続けた。
  8. マルクスの後様々な社会主義思想が生まれたが、その一つにベルンシュタインの修正マルクス主義がある。

解答

  1. ×(ニューハーモニー村はオーウェンが創設した)
  2. ×(マルクスは私有財産制を批判しており、社会主義への移行は私有財産制の撤廃を中心とする)
  3. ×(文化は上部構造で、経済は下部構造)
  4. ×(マルクスはブルジョアジーを批判しているが、革命の担い手にならないとは言っていない。しばしばブルジョアジーにも協力を求めていた)

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