大学受験生に読んでほしい東大に合格する方法

東大に合格するためには、様々な角度から自分を成長させる必要があります。『成長』のエンジンは学力と精神の二つであり、その上に『戦略』があります。自動車で言えば、学力と精神がタイヤ、戦略がドライバー、そして受験生本人が自動車本体です。

勉強時間を増やせば合格率が上がるほど受験は甘くありません。長い勉強時間でも落ちる人は落ちる残酷な世界です。しかし一方、短い勉強時間でも受かる人は受かります。なぜなら、成績は『努力』と『性格』と『効率』の積だからです。がむしゃらに勉強しても、長時間机に対峙しても、効率が悪ければ時間をドブに捨てているのと同じ。

成績 = 努力 × 性格 × 効率

学力が努力、精神が性格、戦略が効率を基礎にしていると考えてください。

努力 → 学力 性格 → 精神 効率 → 戦略

日々の努力がやがて学力になります。性格を改善し続けることで受験に求められる強い精神力が身につきます。効率の追求がやがて受験戦略になります。多くの受験生は自分を長時間勉強に漬けることで、努力の項を闇雲に伸ばそうとしていますが、それは間違っている。他の性格と効率も同様に上げていかないといつまで経っても成績は伸びません。足し算的発想から掛け算的発想に切り替えるべきです。

学力的成長

学力を鍛えるためには次の三つのステップがいります。

1 基本を身につける 2 東大の過去問とそれに似た問題を解く 3 東大模試を受けて方針を改善し続ける(ここから戦略的成長に切り替わる)

基本を身につける

なにはともあれ基本を身につけることが大切。基本がぐらぐらしているのに赤本に手をつけても効率が悪い。中学生レベルの英文法がしっかりわかっていないのに、センター試験の英語が解けるはずはありません。ここで無理に背伸びしてしまうと、勉強が問題をただ眺めるだけで終わり、全然解けない自分に嫌気がさして勉強嫌いに走ってしまいます。わからない問題が出てくるたびに復習すればいいと思うかもしれませんが、いちいち参考書を行ったり来たりする手間はかなりストレスになり、なにより時間的効率が悪いです。

各教科によって、また受けたい大学によって基本の水準は変わりますが、センターレベルで言えば教科書の演習問題が半分以上解けて初めて「基本が身についた」と言えます。よく学校の教科書を疎かにして市販の教材に手を伸ばす人がいますが、あまりいい方法ではありません。教科書は単に教材として良質であるだけでなく、自分の知識レベルをはかる上で欠かせないものです。

過去問やそれに似た問題を解く

基本が完成したら東大の過去問とそれに似た問題を解きます。大学受験は大学によって内容や形式が変わるため、東大を受けようと思ったら速やかに東大の過去問を解いて、その癖に慣れましょう。これは早ければ早いほどいいので、なるべく高校二年生までに何年か解きます。

東大は他の大学より過去問と解答のストックが予備校などにたくさんあります。ネットオークションを利用すれば過去四十年分くらいは簡単に入手できます。ちなみに過去問や予備校の模試をオークションでゲットするという方法は、大学受験に限らず、その後の資格試験(弁護士・公認会計士等)などでよく使われます。

最新の過去問はなるべく後にとっておくとして、三十年くらい前の過去問を二年生のうちに解くといいですね。

過去問はただ使えばいいわけでなく、使い方次第で本人の実力はいかようにも変わります。教材選びや使い方の改善は『戦略的成長』に属します。

模試を通した方針の改善

三年生になったら予備校の模試を受けて方針を改善し続けます。ここでいう方針は試験の臨み方です。例えば時間配分をどうするか、どのように解答用紙を埋めるか、といった具体的な方針です。これは模試を数多くこなすことで自然に身につきます。もちろん受けっぱなしは最悪です。わからなかった問題は後日必ずチェックし、解き直し、自分の解答が偏差値付きで返却されたらきちんと反省しましょう。

模試を通して試験の臨み方を改善し続けるというサイクルは、実は学力的成長から戦略的成長への分岐点です。学問的なレベルアップから受験的なレベルアップへのシフトがここから始まります。

精神的成長

受験には性格の改善が必要です。その第一歩として、嫉妬を殺して優秀な人と積極的に付き合いましょう。

優秀な人と友だちになる

予備校の模試が終わった後、友だちと一緒に帰宅する中央線の中で「あの問題はこうやって解くといいよね」という高レベルな会話に参加できず悶々したことはありますか?

周囲が自分より優秀でいつも苦渋を舐めている方は悲観せず、与えられた環境に感謝してみようと考えてください。なぜなら優秀な人たちに囲まれている状況が最も恵まれた受験環境だからです。もし勉強ができない人たち、遊ぶことしか考えていない人たちに囲まれたら自分はどうなるだろうと想像してみるとわかるかもしれません。「特に勉強しなくてもこいつらに勝てるし」という気持ちでいつまでもいたらどうなるか。おそらくバカにしていた周りの人たちと同じくらいのレベルになってしまうでしょう。

ここで「親の目線」を持ってみるといいですね。自分の子どもが今の自分の第一志望校を第一志望にしていると仮定して、あなたはその子をどのように教育し、どのようなアドバイスを与えますか? 教育者の目線に立つと「悪いお友だちとの付き合い」がなによりも大きなリスクであるとわかるはずです。そこで再び今の自分に戻り、改めて自分の置かれた環境を考えれば、そばにいる優秀な人たちの存在意義が実感できるはずです。

最悪の受験生活とは、自分より優秀な人たちを避けるように行動し、自分より成績の悪い人たちとつるむことです。井の中の蛙大海を知らずという環境にいる限り、本当に行きたい大学には合格できない。なぜなら井の中に慣れた蛙は最終的に井の中から大学を選ぶハメになるから。大海の大学を考えないようにするから。

遊んでばかりいる人たちと遊ぶようになって第一志望校へのこだわりがなくなってきたら要注意。東大をずっと目指していたのに「東大に入ってもしょうがない」と考えるようになったら、もう終わりです。「東大に入ってもしょうがない」「医学部でなくてもいい」「大学に入ってからがんばればいい」という発想はストレスとプレッシャーに追いこまれた受験生の陥りやすい甘い罠ですが、これを早々に乗り越えないと合格は不可能です。

優秀な人の行動を真似る

優秀な人たちは常に自分より優秀な人を求めます。見つけたらその人を分析し、吸収できそうなものを吸収し、行動をコピーしましょう。

なにかを知りたい時、多くの人はそれを自力で解明する前にインターネットで検索して調べる。情報を検索エンジンで検索するように、「優秀さ」を「優秀な人」で「調査」し、コピーできるものはコピーして自分の心と頭に叩き入れる。

  1. 自分より優秀な人を見つける。
  2. その人の行動を分析する。
  3. その行動が自分にとって現実可能であれば吸収する。

「なにをやっても成績が上がらない、勉強時間を伸ばしてもだめ」と嘆く前に、素晴らしい参考書を買う前に、あるいは素晴らしい予備校に通う前にするべきことは、教室の片隅に座っている素晴らしい人に声をかけて友だちになること。そしてその人を精密に分析して、その人のようになること。役者になったつもりでその人を演じてください。その人と同じように授業を聞いて、その人と同じようにノートをとる。これをずっとくりかえすだけで、不思議なことに成績はみるみる上がります。

人の意見を柔軟に聞き、自分の意見をきちんと持つ

ある人がもっともらしい意見を述べている時、それに耳を傾けないで「どうでもいい」とすぐに切り捨てる習慣を持っている人は受験に失敗しやすい。すべての意見を受け入れろと言っているのではありません。意見を聞いたら一度は丁寧に評価してほしいということです。

これは絶対に正しい、間違っていると最初から決めつける人。どこどこの塾のなになにという先生が言うことを神のお告げのように信じ、それ以外の人が言ったことは絶対に信じないという人。大学受験においてこのタイプの人はいい結果を残しにくい傾向にありますが、それは歪んだ態度をとり続けていると大きな見落としが生まれ、その点において他の人に大きく差をつけられるから。

しかしまったく頑固でない、人の意見に流されやすいという人もまた、いい結果を残さない傾向にあります。これは自分にとって価値あるものだからいつまでも守らなければいけない、といったある種の信条が受験には必要です。文理の選択、大学の選択、学部の選択においてこうした自分のポリシーは発揮されます。入学後は進学振り分け制度でも発揮されるでしょう。

信条は覚悟になります。信条があって初めて人は覚悟を持ち、成長できる可能性は生まれます。

次に人に意見を求める状況を考えてみます。ここで「人」とは誰か。第一に聞くべき相手は誰か。ぱっと思いつく限り、同級生、友人、学校や予備校の先生、家族が候補に上がりますが、違います。

第一に聞くべき相手は他人ではなく、自分です。なぜなら自分を隅々まで知っている人間は世界でただ1人、自分しかいないからです。自分は自分にとって最適な分析者であり、命令を下せる存在です。中学生、高校生になって行動の決定権を家族に委ねてはいけません。自分の行動の責任は自分で持たないといけない。そのためにも意見を求める最初の相手は自分であるべきです。

ではなにを聞くべきでしょうか。

  1. 自分の勉強は東大に合格するための勉強であるか?
  2. 英語を疎かにしていないか?
  3. 数学の点はどうやったら安定するか?

問いかけてもたいていろくな答えはかえってこない。だからこそ他人に意見を求めるのですが、自分に意見を求めるというステップを踏んでいるからこそ、他人からもらう意見に価値がつく。自分でちょっと考えたり調べたりすればわかりそうなものを他人から聞いても、なにか腑に落ちない。自分の考え方は間違っているかもしれない、あるいは自分ではどうにもできないと判断して初めて人に意見を求めるというふうにすると、他人の意見を大切に守る傾向が強くなっていきます。

ポイント

  1. 自分に意見を求めてから他人に意見を求める。
  2. 他人の意見を広く聞いて、自分のものにするかどうかは後で決める。
  3. 信条を持って人の意見を自分のものにする。

放課後にだらだら残らない

放課後にだらだら残らず、遊ぶなら遊ぶ、遊ばないなら勉強する、というメリハリがついている人は比較的優れた成績を残します。

重要なポイントはメリハリ。放課後になったらすぐに家に帰って(あるいは塾に行って)勉強するという習慣をつけろと言っているわけではありません。遊んでもいいのです。むしろ遊んだほうがいいかもしれない。ただ、遊んでいるのかいないのかよくわからない漠然とした時間を作らないということです。

これは予備校でも同じ。予備校でも授業が終わった後、教室の外のちょっとした空間に集まってだらだら残って不毛な時間を過ごしている人たちがいます。だらだら残っているのを遊びと考えているならいいですが、自分でその時間を不毛と少しでも考えているなら、できるだけ抑えたほうがいいかもしれません。遊ぶなら遊ぶでもっとはっきりとした遊びを実行してストレスを解消したほうが、時間を有意義に使っていると言えます。

行動のメリハリがない習慣がついてしまうと、塾や自宅での学習効率が下がります。勉強は筋トレなどと違って自分本位の抽象的な作業で、やっているかやっていないかは自分にしかわからない、もっと的確に言えば勉強というものに向き合っていると自覚している自分にしかわからないもの。だらだらやっているとそもそも自分が勉強と向き合っているという自覚が得られない。

戦略的成長

学力的成長の三番目『東大模試を受けて方針を改善し続ける』から戦略的成長は始まります。これはただの勉強でなく、東大に合格するための総合的な方針を立てることに他なりません。

科目の集中投資と犠牲

例えばどの科目を犠牲にするべきか考えてみましょう。東大は全科目で一定の点数をとる必要がありますが、全科目でトップクラスの成績をとる必要はまったくありません。やってもできないという科目、他と比べて努力が成果につながっていない科目はある程度放棄するべきです。特に高校三年生になったらなおさらです。私は三年生になって国語がなかなか伸びず、また成績が不安定だったため、国語をほとんど勉強しませんでした。その代わり努力と点数が比例しやすい選択科目に注力し、総合点を着実に上げていきました。

三年生は基本的に、自分の得意な科目に時間を集中投資して総合点を効率よく上げるべきです。数学が得意な人は数学に、世界史が得意な人は世界史に時間を多めに割きましょう。

過去問の扱い方

過去問をいつから始めるか、どの教材を使うかという方針も戦略の一つです。東大に絶対に合格したいという人は二年生から、合格できればいいかなという人は三年生から。絶対に合格したい人は東大の癖に早いうちから慣れないといけないため、高校二年生から始める必要があります。もちろんそのためには文理と選択科目を一年生の間に決めて、さらに二年生中頃までに土台を完成させなければいけませんが。

なお理科三類志望者は必ず二年生までに過去問を最低三年分は解いてください。三年生になって初めて過去問を解くというのは、言い方は悪いですが論外です。

過去問の教材ですが、英語、数学、理科については赤本でまったく構いません。昔から赤本はよくないという意見はありますが、そこまで否定すべきものではありません。ただし記述問題などで赤本と予備校とで筋や解説がずれていることはよくあります。そのため各予備校が出版している東大の過去問解説を比較することはほぼ必須でしょう。

高校3年生は選択科目を中心に勉強する

高校3年生になったら選択科目を中心に勉強します。ラストスパートをかけるこの1年で英語と数学を劇的に伸ばすのは残念ながら厳しい。英語と数学は長い年月をかけて知識とテクニックを積み上げる科目。この時期に入るとそう簡単に上下はひっくり返りません。つまり上位と下位にいる人たちの顔ぶれはほとんど変わらず、絶妙なラインにいる人たちが狭い範囲で上がったり落ちたりをくりかえすようになってくる。そのためこの2教科に大量の時間を費やすのは自殺行為です。

ただし英語は毎日一定時間勉強しなければいけない。英語は少しでも空くとあっという間に転落します。学校の授業は集中し、自宅でも最低30分は確保するようにしましょう。そして数学はもう勉強しないでください。数学は学校の授業と模試くらいで結構です。「数学の偏差値を絶対に上げる!」とはゆめゆめ思わないでください。上がりません。残念ながら、もう手遅れなのです。数学に使う時間は大半がムダ。選択科目の時間を削って数学の時間を増やすという戦略はおそらく最も報われない戦略です。

また選択科目以外にセンター対策や滑り止めの私大対策なども必要になってきます。センター対策はバカにしないできちんと行ってください。センターは550点のうちの110点を占めます(二次は440点)。特にセンター国語は非常に厄介で、対策した人とそうでない人で大きな差が出てきます。

ポイント

  1. 英語と数学の時間を抑える。
  2. しかし英語はコンスタントに最低限勉強する。
  3. 数学はほぼ放置でも構わない。
  4. 選択科目に集中する。
  5. センター対策をバカにしない。

時間配分の目安 英語:数学:選択科目:その他(国語、センターなど)=2:1:5:2

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