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ウィトゲンシュタイン(「論理哲学論考」と言語ゲーム)|高校倫理

ウィトゲンシュタインは「論理哲学論考」などを著した分析哲学の思想家。ウィトゲンシュタインは人生の前半と後半でテーマを変えている。

前期(論理哲学論考)

前期に著した「論理哲学論考」で、ウィトゲンシュタインは「語り得ないことについて沈黙しなければいけない」と述べた。

例えば「なぜ神は人を創ったのか?」という問いは、神という言葉があいまいであり、そもそも正確な言葉として表すことが難しい。ウィトゲンシュタインは、そのようなものは知識の対象にならず、検証できないという。

後期(言語ゲーム)

言語はただの音ではない。コミュニケーションをとる話者にとって言語は意味があり、私たちは言語が与えるルールにおいてコミュニケーションをとっている。ウィトゲンシュタインはこの言語ルールを言語ゲームと呼ぶ。

「ありがとうございました」という言葉から「どういたしまして」という言葉につながるのも、言語ゲームの一つである。スポーツやゲームと同様、言語ゲームもみんなが共通して認識するルールを要する。

ウィトゲンシュタインは後期代表作の「哲学探究」で言語ゲームについて論じている。

ポイント

高校倫理では、ウィトゲンシュタインは次の点をおさえよう。

  1. 前期で「論理哲学論考」を著した
  2. 後期で「哲学探究」を著した
  3. 厳密な論理を哲学に持ちこんだ
  4. 「語り得ないことについて沈黙しなければいけない」
  5. 言語ゲーム

センター試験(2018年・第4問・問6)

下線部に関して、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」についての説明として最も適当なものを,次の~のうちから一つ選べ。

  1. 言語は、日常生活の具体的な場面や状況に応じて使用されるが、我々は、他者との会話に参加しながら、適切な使用のルールを次第に身に付ける。その様子は、ゲームになぞらえられる。
  2. 言語は、語彙や文法といったルールのうえに成り立っている点で、ゲームになぞらえられる。そのなかでは、日常的な発話(パロール)が、構造としての言語(ラング)から区別される。
  3. 言語は、人間の無意識の形成に深く関わっており、我々は成長の過程で、言語活動を通して、他者の欲望を自分自身の欲望としてつくりかえる。その様子は、ゲームになぞらえられる。
  4. 言語は、語彙や文法といったルールを常につくりかえる点で、ゲームになぞらえられる。そのために、我々の日常的な会話では、語や概念の連関を解体する脱構築が常に行われる。

引用:センター試験「高校倫理」/平成30年・第4問・問6

引用の都合上、記号を独自に変えています(特殊文字など)。

解説

正解は1。

ウィトゲンシュタインの思想はそもそもわかりにくいので、この問題もかなりややこしい。「ゲーム」という言葉がどの選択肢にもあるのでなおさらややこしい。

2はパロールという言葉がソシュールを暗示している。

3は「他人の欲望を…」というくだりがウィトゲンシュタインに合わない。

4は脱構築という言葉がジャック・デリダを想像させる。

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