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アニリンの性質と製法、塩化ベンゼンジアゾニウムとpヒドロキシアゾベンゼン

アニリンはベンゼンに NH2 基がついた芳香族化合物で、アミンの一つ。アミンとはアンモニアの水素が炭化水素に置換されたもの。

性質

  • 無色
  • 特異臭
  • 有毒
  • 可燃性
  • 弱塩基性
  • 水にほとんど溶けない
  • 酸化されやすい

アニリンは非常に酸化されやすく、空気中に放置するだけで酸化されて褐色になる。

アニリンを二クロム酸カリウム水溶液で酸化すると黒色になる。これをアニリンブラックという。

二クロム酸カリウム硫酸酸性にすることが多い。

製法

芳香族アミン8

アニリンはアニリン塩酸塩を経て製造される。ニトロベンゼンと濃塩酸とスズを混ぜてゆっくり加熱すると、ニトロベンゼンが還元されてアニリン塩酸塩になる。

アニリン塩酸塩に水酸化ナトリウム水溶液を入れると、弱塩基が遊離する反応が起きて、アニリンが遊離する。

塩化ベンゼンジアゾニウム

アニリンと塩酸と亜硝酸ナトリウムを混ぜて冷やすと、ジアゾ化という反応が起きて塩化ベンゼンジアゾニウムができる。塩化ベンゼンジアゾニウムの水溶液はやや黄色。

芳香族アミン9

この反応は氷冷下で行う。塩化ベンゼンジアゾニウムは不安定で、少し加熱するとフェノールになってしまう。

芳香族アミン10

塩化ベンゼンジアゾニウムがフェノールになるとき、窒素分子が気体となって出ていく。塩化ベンゼンジアゾニウムはアゾ染料という染料の原料になる。例えば1-ナフトールと反応(カップリング反応)すると4-フェニルアゾ-1-ナフトールになり、赤っぽい染料になる。

p-ヒドロキシアゾベンゼン

塩化ベンゼンジアゾニウムとナトリウムフェノキシドを混ぜると、カップリングという反応が起きてp-ヒドロキシアゾベンゼンができる。

芳香族アミン11

分子内にある N=N という構造をアゾ基という。アゾ基のある物質をアゾ化合物という。

アセトアニリド

アニリンは無水酢酸と反応(アセチル化)してアセトアニリドになる。

芳香族アミン12

アセトアニリドは NHCO という構造をアミド結合という。

芳香族アミン13

さらし粉反応

アニリンの検出にはさらし粉を使う。アニリンにさらし粉水溶液を加えると、紫色に呈色する。

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