Irohabook
連載 学生に伝えたい、冷たい真実

音楽家や小説家になりたい学生はたぶん失敗する:夢を追いかける人は、実は不幸を求めている

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歌手や作曲家、俳優や女優、画家や小説家になりたい人はこの記事を読まないでほしい。たぶん腹が立って、一日ずっと嫌な気分ですごすと思う。

ただ、夢と幸せのバランスをとりたい健全な学生はこの記事から重要なヒントを得るはず。結論は次の二つ。

日本を脱出しないと、たぶん不幸になる

グローバルな意識をもっている俳優とアニメーターはおそらく私よりも日本の危機を理解しているだろうけど、日本の文化経済は相当疲弊している。小説家になりたい人は茨の道が待っているし、俳優や音楽家を目指す人は不毛な努力を何年も強いられることになる。

私は恐ろしい不幸をたくさん知っている。貧乏の傷を慰めあいながら、互いの足をひっぱっている無名の劇団員。雑誌社の不当な契約に縛られて、プラットフォームでの活動を制限されている漫画家。自称芸能事務所の養成所に金をしぼりとられている音楽家の卵。

あなたの好きな漫画や音楽は、実は途方もない不幸の上にある。文化産業での成功確率はおそらく 1/10,000 で、しかも才能が成功に結びつくわけでなく、成功しても陰湿な日本人たちの監視される恐怖を味わう。

日本の文化産業と国際競争力は、数学についで私の専門分野だった。だから確信をもって、「音楽家になるための努力はほぼ絶対に報われない」と断言できる。ただ、絶望を回避する手段がたった一つある。それは国外に脱出すること。日本語で歌うより英語で歌うほうが金になる。なぜなら人口が人口で、文化の中心はアメリカだから。

結局、音楽のスキルを高めるより英会話教室に行くほうがずっといい。


一部の英語圏は寄付文化がきちんとあるため、アーティストは比較的活動しやすい。日本は寄付しない国で有名だから、日本のアーティストは最初から苦痛と忍耐を強いられる。

文化の競争は極限状態

かなり昔、ロサンゼルスにいる一部の住人がなにかのコメントでこんなことを言っていた。「夢を追ってくる人が家賃を上げて、数ヶ月してみんないなくなる。で、また別の人がやってくる」。

文化の競争は今、極限に達している。だから無料で作品を公開する小説家がいるし、動画サイトに自作の曲をアップロードする人が数えきれないほどいる。

その結果、多様性の二極化が生まれた。一つはマニアックな文化を作ろうとする多様性の増大。もう一つは日本特有の集団主義に支えられた、みんながやっていることをコピーするという多様性の減少。前者は高潔で、後者は金の匂いがぷんぷんしている。でも、どっちも不幸で、どっちも破滅の道をたどっている。

アメリカのメディア産業も崩壊しつつあって、低予算のドキュメンタリーが大量生産されている。一方、日本の漫画は消費者の求める緻密さが極限に達して、クリエイターの生産性も極限まで落ちている。

これらの不幸は文化の大量生産が元凶だから、文化を作らないことが文化への貢献になる。今の文化人は、文化を貢献することによって文化を破壊している。曲を作らないことが、音楽への貢献になる。物語を書かないことが、文学への貢献になる。

ここまで読んでも「いや、僕は(私は)才能があって、夢を絶対に叶えるんだ!」と思う人はきっとたくさんいる。そう思ったら、すでに罠にはまっている。怒りと夢追いがくっつくと、たいてい自己欺瞞の不幸が生まれる。

最後にもう一つ。

文化に貢献したいという人は、朝から店に並ぶ連中を軽蔑しているはず。「あんなものに金を使うなんて、本当愚かなやつらだと」。でも、文化を目指す人も、開店前に並んでいる連中も、実はまったく同じ感覚麻痺にひたっている。まったく同じ心理だ。「いつか武道館で歌ってみせる!」という高潔な気持ちは、「いつか玉がいっぱい出る!」という愚鈍な感情とほとんど同じだ。どちらも実は、無意識で不幸になりたいと願っている。

結論

これまでと同じように作曲したり、絵を描いたりしたら、びっくりするくらいの苦労が待っているだろう。だから結局、企業内クリエイターになるしかない。


音楽家は作曲ソフトウェアを開発するチャンスがあって、おそらく歌を作るより 100 倍は儲かる。音楽は文化でなく、ビジネスから生まれるべきだ。アニメーターは普段の仕事を効率化するソフトウェアで億万長者になるチャンスがある。Adobe の製品にうんざりしている人は山のようにいるが、映像系ソフトウェアの開発は、開発者がアニメーターやイラストレーターのような文化的スキルをもっていないことにある。

小説家を目指す人こそ、私のように機械学習から言語解析の開発に進むべきだ。文章を生むプログラムを作ることは、あなたが美しい文学作品を作ることとそこまで差があるだろうか? おそらく最高のソフトウェアは、音楽家や小説家といったクリエイターが開発する。クリエイター手動で生まれたソフトウェアは、真の意味で私たちの文化に革命を起こすだろう。原稿用紙に文字を書いている暇はないのだ。

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