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連載 ディストピア:格差と監視

東大を懲戒解雇された大澤昇平氏に思うこと:AIの過学習は差別発言の言い訳にならない

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差別発言をくりかえした大澤昇平氏が東大に懲戒解雇されました。私が彼とその言動に感じることは一つしかありません。生理的嫌悪です。

私はいつも人工知能や AI でなく、機械学習という言葉を使っています。人工知能の時代は永遠にこないソフトバンクと末期的な経済でくりかえし説明していますが、「人工知能」は大衆の経済活動を促進するための言葉にすぎない。彼も AI を手段にしている一人で、侮辱的な発言を AI の過学習のせいにしました。

不適切とされた一連のツイートについて大澤氏は、「特定国籍の人々の能力に関する当社の判断は、限られたデータにAIが適合し過ぎた結果である『過学習』によるものです」と投稿。
東大特任准教授が「行き過ぎた言動」を謝罪 原因は「AIの過学習によるもの」 - ITmedia

彼は二重の致命的なミスをおかしたので国際的な名声は永遠に得られない。一つは特定の国籍を著しく執拗に侮辱したこと。もう一つは機械学習を「人工知能」と呼び、下劣なミスをなすりつけたこと。

私は Python プログラマーでソフトウェアの開発に命を捧げています。そして彼は機械学習を醜悪な言い訳の道具にして、科学とコンピューターを踏み台にした。ここまで不愉快な気分になるニュースはありません。

大澤昇平氏はたぶん世界の恥になった

アファーマティブ・アクションという問題はあるけど、先進国は一様に差別と戦い、成熟した市民は国籍や宗教の対立を克服しようと努力します。大澤昇平氏は世界の共通課題を放棄して、狂気を感じるほどの発言を続けました。ここではいちいち引用しませんが、引用する必要もない。

ツイッターなどを見ると一定数の日本人が彼を容認・擁護しています。不思議なことに、彼を懲戒解雇した東大を「国益を損ねる左翼主義者」と主張する人もいました。大澤昇平氏が侮辱した国は日本よりはるかに巨大な経済規模をもっています。差別発言をするほうがよほど国益を損ねるのに、どうして東大が責められるのでしょうか。

日本は機械学習はもちろん、ソフトウェアとハードウェアの両方でアメリカと中国に遅れています。誰がスマートフォンを発明しましたか? 誰が Python を発明したか。誰がオペレーティング・システムを作ったか。ソフトウェアがあらゆる産業を食べて成長している中、他国を侮辱する余裕が日本にあるでしょうか。

むしろ余裕がないから侮辱するのです。機械学習でなく「人工知能」を使うくらいに、プログラミングとソフトウェアの競争力が日本と彼自身にないから、誰かを侮辱したのです。私はソフトウェアをダイナミックに革新するアメリカと中国を尊敬しています。

こうした記事を書くと、私を日本人でないと憶測する人もいるかもしれない。日本が後進国になった理由のくりかえしになるけど、私は、江戸時代までさかのぼっても日本人の家系、元防衛庁長官の政治家がいる家系の人間です。

学歴ロンダリングについて

大澤昇平氏を擁護する気はまったくないけど、彼を学歴ロンダリングで責める人はちょっと間違っている。無関係の問題から人を責めても意味がない。ただ、せっかくなので大学院の話をここでしようと思います。

私は東大の理学部を出て、東大のある研究科に入りました。しかし学費未納で除籍処分になったので、大学院に入学したことを履歴書に書くことはできない。

大学院に入ると、東大出身者は私だけでとても肩身の狭い思いがしました。実際それはかなりのストレスになり、かつて嫌いだった駒場キャンパスが恋しくなりました。研究室によってまちまちですが、外部出身者がほとんどで学歴ロンダリングという言葉はタブーになっています。

東大はいじめと無縁の環境で、ほとんどの人は人間関係で苦労しないでしょう。ところが大学院のある研究室はいじめがありました。大学院に入って三ヶ月後、夏休みになる前にいじめの現場を目撃して不快になりました。いじめているのは私も知っている数人の外部出身者でした。同じ研究室にならなかったことに感謝しました。

別の日、授業の始まる直前に、彼らにいじめられていた学生が泣いて教室を出ていきました。かなり深刻な状況だったので、今でも鮮明に覚えています。そしていじめている側がゲラゲラ笑っていたのも。やっていることが中学生レベルで、東大生のすることではありません。

論文の発表会や事前練習は吐き気とめまいがするほど悲惨で、私の違和感はピークに達しました。かなりオブラートな表現になりますが、入学して半年もすぎると、基本的な計算力や読解力をもう少し身につけてほしいと願うことに飽き飽きしていました。数学科で経験したことのないストレスで、年明け頃は辞めることしか頭にありませんでした。

…学歴ロンダリングについて言いたいことはありません。ただ、修士一年生のときに味わった尋常でないストレスと今後の大学院教育を思うと、試験をもっと難しくして、入学者は基本的な数学、一定の英語読解力、論理的に議論する力を身につけてほしいと思います。そして集団で人を囲っていじめるような人は学内に入れるべきではない。

東京大学に言いたいこと

東大に言いたいことは山のようにあります。大澤昇平東京大学特任准教授が「中国人は採用しません」とヘイトスピーチを拡散しているのは東大の責任ですのように、大澤昇平氏の差別発言は東大に責任があります。私はある東大大学院に通っていたアメリカ人から英語を教わっていたので、別の研究科の実情も知っています。

少女に犬用首輪をつけた個別指導塾の事件についてで言ったように、すべての教育はオープンにするべきです。ここで明らかにしませんが、東大の研究室は改善するべき点がたくさんあります。先進国の一流大学といえない非合理的、閉鎖的、保守的な慣習が残っています。

大澤昇平氏は侮辱的な発言をくりかえしましたが、私は大学・大学院からたびたび侮辱を受けました。なんとならば大学院受験の面接でも屈辱的な扱いを受けましたが、希望する研究室と無関係の人間だったので忘れるように努力しました。教養学部のとき、私の好きな授業で教授(担当教授)と教授(前の授業の教授)が泥沼のケンカを始めたこともありました。

密室の研究室はみなさんが考えている以上に冷酷な現実です。私のアメリカ人の先生も、英会話の休憩中によく東大の話をしましたが、私と同じようなストレスを抱えていました。具体的なことはいえませんが、厄介な分野・研究室に入るとうつ病になるくらいの理不尽な数年間が待っています。

第一に改善してほしい点は、横柄で高圧的な態度をとる教授を減らすこと。子どものように舌打ちする人もいれば、急に怒鳴る人もいます。誠実な人もたくさんいますが、理不尽な人もたくさんいます。大澤昇平氏は極端で、彼のような人はおそらく皆無でしょう。しかし「差別発言はしなくても、人を侮辱する人がいても不思議ではない」と思ってしまう。

大澤昇平氏の問題で、大学と大学院の闇にメスが入って、そこで絶望する学生が減ることを願っています。

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