東洋経済の「頭の良さより好感度で人生が決まる」という記事はたぶん間違っている
「頭が悪いけど愛される人」は「頭がいいけど愛されない人」より成功する。ソーシャルメディアの時代では強権的な人より、人に愛され他者に共感できる人のほうが成功する…という東洋経済オンラインの記事を読みました。この作者によると私は成功しないようですが、私は成功しました。
書き手はティム・クックとスティーブ・ジョブズを比較して、昔はスティーブ・ジョブズのようなワンマンな人が会社を成功に導いたが、今はティム・クックのような共感力のある人が有利だと言っています。
この人はティム・クックのなにを知っているのか? ティム・クックのスピーチを聞いたら「この人はなんて優しいんだ」と思うでしょう。誰が見たってそう思う。ティム・クックは共感力をもつ人だけど、それは社外へのアピールにすぎない。スティーブ・ジョブズもメディアとユーザーには強権的な態度をあまり見せてない。
東洋経済オンラインはよくハーバード・ビジネス・レビューのようなアメリカの文献を引用して、「アメリカ様が言っているのだ、アメリカの優秀な研究者の言うことは信じるだろう?」という文脈をつくるけど、私に言わせるとハーバード・ビジネス・レビューのほとんどは無意味な屁理屈の集合体で水戸黄門のようなものじゃない。
今回はこの不遜高慢の書き手に「好感度より頭のよさで人生が決まる」という真実を教えたいと思います。
そもそも好感度と共感力は関係ない
この書き手はソーシャルメディアを意識して好感度と共感力を混同していますが、この2つはそもそも関係ない。好感度がなくても共感力のある人はいる。好感度がよくても共感力のない人はいる。
そして「好感度がなく共感力もない人」は成功者にたくさんいます。この代表がジェフ・ベゾスとサンダー・ピチャイ、そしてマーク・ザッカーバーグ。書き手はサンダー・ピチャイを共感型のリーダーと言っていますが、
はあ?
あのさあ…あんたはサンダー・ピチャイのなにを知ってそんなことを言っているんだ?
😡😡😡
と虫酸が走りました。私が東洋経済オンラインの編集長だったら、この時点で書き手に不信感をもちます。彼の経営手法や態度を見て「共感型」とよくも言ったものです。ふざけるのは寝言だけにしたほうがいいよ。それはともかく、好感度も共感力もまったくない人はしばしば会社の代表になります。
好感度より頭のよさのほうが重要
書き手のように名前を売るだけの職業だったら、共感力という名の好感度が必要になるかも。でもほとんどの人にとって重要な要素は好感度ではない。頭のよさです。
例えば女性ばかりで悪口の絶えない職場にあなたがいたとします。好感度を上げるには、あなたは性格の悪いお局と一緒に弱い者いじめをするしかないかも。そしてお局の機嫌をとってほんの少し出世するかも。でもそれは成功とは言わないし、そういう人生は私の鼻くそよりも価値がない。
無能な同僚と上司に囲まれたとします。好感度を上げるには、あなたはバカになるしか道がない。このサイトに好感をもっているサラリーマンの半分は言いたいことがわかるでしょう。実際、無能になることが円滑な社会生活に不可欠です。しかしこれは有意義な人生をつくらない。
しかし頭のよさは違う角度からあなたの人生に光をあてます。頭がよければ、「ああこの業界はもう終わりだ。早めに転職しないと大変なことになる」と冷静に考えて、もっと出世できる会社に転職できるかもしれない。同じ会社でつまらない出世争いをする前に、会社のいる市場が潰れたら終わりですよね。
ほとんどの場合、好感度は具体的で短期的、近視眼的な解決を生みます。使い捨てにされるお笑い芸人になりたい人は好感度だけを上げればオッケーというわけ。頭のよさは抽象的で長期的な解決を生みます。豊かな人生に必要なものはどっちでしょう?
好感度は必要だけど、それ以上に結局は頭のよさが必要になる。好感度、あるいはこの書き手のように共感力を優先すると、人はほぼ確実に他者と大衆の悪意、嫉妬、虚栄に汚染される。ドブ川で人の糞尿をドブさらいするようなむなしい人生を送りたい人は、どうぞ共感力をもって生活すればいい。
いい人生、豊かな人生、そして成功する人生には人に嫌われる賢明さが必要になります。頭のよさは自己完結的な行動をつくりやすいため、賢明さは他者にとって横柄に映る。
書き手が言ったように横柄の代表がスティーブ・ジョブズかもしれない。この点では書き手と意見が一致します。
………
イーロン・マスクはどうでしょう。彼がどれだけのアンチと批判を抱えていると思いますか? 私はテスラを応援しているので、イーロン・マスクやテスラへの悪意には毎日うんざりしています。イーロン・マスクは株主を侮辱するようなツイートをしたことがあって、私もイラッとしましたよ。彼に十分な共感力、そして好感度があるとは思えない。
だいたい、共感力があったらビットコインを煽るツイートをしない。そして彼は従業員や他の役員に非常に厳しい態度をとる。これは元従業員の証言からよくわかっていますが、テスラ・コミュニティーにいる人はそんなことを気にしない。むしろ歓迎しています。
イーロン・マスクのおちゃめなダンスを見て「好感度がある!」と思ったら大間違いで、テスラ・コミュニティーにいる人はイーロン・マスクのダンスじゃなく彼の優秀な知見と直観に酔いしれている。イーロン・マスクは結局のところ非常に頭がいい。ドットコムバブルとその数年後のクリーンテクノロジーバブルの崩壊をうまく乗りきる時点でとんでもない頭脳と決断力をもっている。
でもテスラやイーロン・マスクをほとんど知らない日本人は「わあ、イーロン・マスクが踊ってるよ!仮想通貨が好きなんだって!おちゃめ!」と妹のようにほざきやがるかも。イーロン・マスクの毒を知らない妹にとって彼の好感度はティム・クックなみ。しかしイーロン・マスクのおちゃめさはすべて計算されています。
そう、好感度はしばしば頭のよさからくるのです。粗末な記事を書いた書き手は
成功者の好感度はずる賢い演技にすぎない
ことを知ってから記事を書くべきでした。
これは芸能人や有名人に通じることかもしれないけど、好感度を上げるには頭が必要になります。なので「頭のよさより好感度のほうが重要」という考えは知ったか脳の幼稚な意見にすぎない。
ビジネス
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