エッセイ 教育

少女に犬用首輪をつけた個別指導塾の事件について:学校や塾の授業は密室からオープンにするべき

学校と塾でたびたび事件が起きる。今日(2020/01/07)は奈良県奈良市の個別指導塾で「生徒に犬の首輪をつけて閉じこめる」という事件が報道された。学校の教師が同僚をいじめて社会問題になりましたが、近年は教育者による事件がやたらと多い。

学習塾の教え子の少女に犬用の首輪をつけて監禁したとして、奈良県警奈良西署は7日、奈良市藤ノ木台の学習塾の経営者(62)を逮捕監禁容疑で逮捕した。「全て私がしたこと」と容疑を認めているという。
少女に犬用首輪つけ個別指導3時間、62歳塾経営者を逮捕 - 読売新聞

読売新聞によると、この高齢経営者は生徒の首と両足首に首輪をつけて拘束したようだ。

塾生の10歳代の少女の首と両足首に犬用の首輪(幅2センチ)をつけ、拘束した疑い。…当時は1対1の個別指導中で、経営者は少女の首と両足首につけた首輪をひもでつないだ状態でいすに座らせ、授業を受けさせたという。
少女に犬用首輪つけ個別指導3時間、62歳塾経営者を逮捕 - 読売新聞

中学生と高校生は日本人の大学生講師から英語を教わるな!英会話教室に行ってネイティブから学ぼうで個別指導塾の実態を書きました。それなりに閲覧されているので、個別指導塾への不信感は家庭や生徒の中でけっこうあるのでしょう。この記事のくりかえしになりますが、私は大学生のときにいくつかの個別指導塾で働きました。経営者は「この先生は東大だから!うちはすごい授業をするんです!」とたくみにアピールしますが、実際はまともな知識をもっていない別の講師が雑に授業をしています。

すべての個別指導塾が悪質だと言っているわけではありません。すばらしい塾があることはわかっています。

事件を起こした塾は論外ですが、個別指導塾は割と崩壊しています。理由はとても簡単。情報の非対称性がひどいから。

参考
家庭から「一対二は個別指導って言わない(怒)」と相談されました
いい塾と悪い塾の見分け方

個別指導塾の質が悪いのは「密室」にある

個別指導塾の金を払う親はもちろん塾にいません。子どもが塾にいて、教育というサービスを受けています。子どもはサービスの質を正当に評価できない。なぜなら成績が上がらないのは塾だけでなく、学校や自分の勉強不足にある可能性もあるからです。

ここから塾業界のタブーに踏みこみましょう。関係者は怒らないでください。怒ったら自分たちの構造的な過ちを認めることになります。

塾は本質的に占いやコンサルタントと同じく、曖昧さを商売にしているので「なにをやっても許される」環境にいます。教えるよ、でも成果は保証しないよ、だって結局あなたの努力にかかってるわけだから、というのが言い分です。

そこで悪質な経営者はこう考えます。「授業の質が悪くても相手は子どもだから、どうせわからないだろう。レベルの低い講師を低賃金で雇って、講座の価格を下げれば競争力で勝てる!」

私はこの腐った思想をそばで見てきました。思いだすと胸がムカムカしますね。実に悪徳とはこういうことだと大学生にしてわかりました。センター数学で半分も点がとれないだろう人間が微分積分を教えている。その経営者は私にいいました。「数列がわかるとか、そういうのよりも子どもを笑わせるコミュニケーションが大事なんだよ。わかるだろ?」

「こいつ雑談ばかりでろくに教えないなあ…」という講師も、ちょっとお笑いのセンスがあれば人気講師になる可能性があります。でもそれは本当にいいことでしょうか? 楽しい先生はすばらしい。でも授業の質が悪かったら楽しくても意味がない。

このメディアで「みんなどうして個別指導塾の質に疑問をもたないの?」とくりかえし記事にしているのは、こうした経験があるからです。

子どもは質を決定できない、でも金を払うのは親。塾は「今月はこんなことを教えました!」と親にアピールするけど、それは授業の質を意味しない。授業は親がいない密室で行われているので、経営者はいくらでもごまかせるわけです。

事件を起こさせないためには密室を開放するべき

密室こそがサービス崩壊や今回の事件の元凶です。まず私たちは「教育はオープンにされなければいけない」とみんなで意識する必要があります。

私の主張
教育をオープンにして講師と授業の質を上げる

オープン、つまり公の場で生徒に首輪をつける講師は出てこないでしょう。そして無駄な雑談でごまかす講師もいなくなるでしょう。

これから塾に通わせるパパとママは密室に注意してください。塾はアピールがとても上手で、先生たちの報告を聞いて不信感をもつことはあまりないでしょう。しかし教育は密室だということを忘れないでください。

そうすれば塾のオープン化は義務づけられるべきだとわかるはずです。

どうやってオープンにするか?

オープン化の方法はいくつかあります。

現実的な授業は録画授業です。個別指導塾は指導場面を録画して父兄に渡すべきです。そうすればハッタリをかましただけの授業はなくなるでしょう。

授業料を払う家庭は「こいつ三角比を教えたって言ってたけど、今日はぜんぜん進まなかったじゃないか」とサービスの良し悪しを判断できるようになります。

オープンにすれば今回のような悲劇は起きないはずです。

塾の授業はただでさえ質の基準が曖昧なので、せめて家庭がチェックできる仕組みは導入するべきです。この記事がきっかけに全国の個別指導塾が授業をオープンにして、サービスの質を上げることを願います。