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6月16日FOMCの感想:テクノロジー株とドル円相場の見通し

6月16日FOMC

この記事は個人的な感想をまとめたものです。くわしい情報はFederal Reserveを見てください。

FOMCの発表で、パウエル議長は利上げ(FF金利を上げること)を予定よりも早くやる可能性があると発表しました。これまでは2024年以降としてきた利上げを2023年末までに2回するという見通しになりました。FOMCはそれ以外に大きな情報を発信していない。

2024年以降→2023年末まで2回

会見とその後の質疑応答をずっと生放送で見ましたが、パウエルはインフレは一時的という姿勢を強調しました。多くのメディアとファンドは「インフレは一時的か?」というあいまいなテーマをめぐって議論してきました。私の見るかぎり、大半のファンド・マネージャーとパウエルは一時的だと考えています。

私も一時的と考えています。例えばFederal Reserveが重視するConsumer Price Index(CPI)は直近で5%ですが、これをインフレとみなすかどうかは意見がわかれます。

Bureau of Labor Statisticsより

5%という値は2020年5月と比較した物価指数で、2020年5月は突発的な経済危機で消費が著しく落ちこんだ時期です。アメリカはいつも2%のインフレ率(CPI)をだいたい達成しているため、昨年の一時的なインフレ低下が今年の強いインフレを短期的に生んでいるにすぎない。2020年5月に2%前後のインフレを達成していれば、2021年5月のインフレ率は2〜3%になります。

今のインフレはさまざまなことが重なって起きている。

  • アメリカ経済の回復
  • 半導体の供給不足
  • コモディティの高騰

今日の朝に発表されたInitial jobless claimsは412000人で予想外に悪い結果になりました。つまりアメリカ経済の回復はまだ微妙な感じです。

重要なのは半導体とコモディティで、これらがインフレの主要因とすれば(※)、現在のインフレはCost-Push型といえます。需要の過剰でなく供給の不足から起きるインフレは(きつい言い方をすれば)経済成長を意味しない。

コモディティ、例えば銅に関してもこれ以上の高騰は難しいかもしれない。中国が銅の供給を増やそうとしていること、中国国内の製造業が想定より成長しない可能性があることをふまえて、銅価格は今日も暴落しています。

これらを考えると、微妙な感じでことを進めているパウエルの気持ちがわかると思います。ジム・クレイマーはパウエルは「心をもっている」とかなんとか表現しました。

テクノロジー株とドル円相場について

これは投資の斡旋や推奨ではありません。FOMCを見た私の感想にすぎないので注意してください。

  • 10年国債利回りは1.5前後で低めに推移する
  • ARK系の成長株は今年下半期に復活する
  • 銀行株はしばらく低迷する
  • ドル円は111円前後で数ヶ月推移する

Bloombergなどのメディアでテーパリングの時期に関するアナリストの意見がたくさん出ていますが、大手メディアはすでにテーパリングの時期を議論し始めているため、今はテーパリングありきで相場が動いているとみています。

ドル円もアメリカの金利がふわっと上がることを意識して動くため、経済の回復が見えず金融緩和に頼るしかない日本の円は最弱通貨であり続けるでしょう。なので108円まで戻るとはあまり想像できない。

メディアがテーパリングを加熱気味に報道するかにかかっている。テーパリングを今のうちに意識すれば、パウエルが次のFOMCで「テーパリングについて…」と話したときも暴落は一時的ですむ。パウエルはおそらくそういうふうにしたいし、そういうふうにもっていきたいアナリストも一定数いるでしょう。結局のところメディアが株価をつくると私は考えています。

※海上輸送のコスト高やアメリカ住宅価格の高騰など、インフレをつくる要因は他にもあります。距離をあけて行動するという生活様式の変化や、人が都市から地方に流れたことなども影響しているはずです。

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