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四字熟語名言集 一つ一つをじっくり分析する

古くに生まれた四字熟語には、私たちに必要なさまざまな知恵が隠されています。例えば剛毅木訥は巧言令色の反対語として「上辺だけ愛想がいいよりぶっきらぼうな人のほうが内面がしっかりしている」と説きます。

よく使われる言葉でもある一刻千金は Time is money にあたる資本主義的な四字熟語として、私たちに時間を無駄にしないで生きろと言っています。

四字熟語はそれ自体が名言になるものがいくつかあります。ここで紹介する言葉はどれも私たちの生活を良くするきっかけになるものです。

因果応報

悪いことをしても、いいことをしても、結局それらの行動は自分に返ってくるということ。もともとは仏教用語です。これほど教訓的な四字熟語はないでしょう。

私たちは多かれ少なかれギリギリのところで毎日の生活を送っています。テストでいい点数をとって自慢したいばかりにカンニングしてしまう人は、いい点をとりたいという欲望をおさえられないあまりカンニングという罪を犯す。多くの人はどこかのタイミングで一回くらいカンニングしてもいいだろうと罪の気配がよぎった経験をもつでしょう。しかしすんでのところで理性がそれをおさえる。このギリギリ勝負の勝利が私たちの人間性を高めていきます。

私たちはなぜ欲望に打ち勝ったのでしょう? よく考えていくとその根底にこの因果応報という言葉があるのではないでしょうか。つまりカンニングすれば自分の評価が落ちるとわかったからカンニングをやめた。

因果応報という概念は多くの決断に影響しています。自分のした行動はどこかで返ってくるから悪いことができない。もし因果応報の理論がなかったら私たちは好き勝手に行動し、物を簡単に盗むようになってしまうでしょう。

そうして因果応報という「概念のない理性の命令」はあるのかという疑問が起きます。こうすればこうなってしまう、だからこうしない、という仮定に基づく結果から逆算した行動ではない、こうしなければいけない、という仮定のない行動は存在するのでしょうか?

実はこの問いに答えた哲学者がカントです。因果応報に基づく理性の行動をカントは仮言命法と呼び、そうではないものを定言命法と呼んでいます。

仮言命法 … こうなるから、こうしろ
定言命法 … こうしろ

定言命法は仮定がありません。正しい行動は正しく、理由はない。カントによれば、定言命法の行動がとれる人は道徳的です。道徳のある人は因果応報でなくカントの定言命法にもとづいて行動する人かもしれない。

一刻千金

一刻千金という言葉ほど私たちの生活を急かすものはありません。学生から社会人まで、すべての人はこの言葉を頭の片隅に入れています。なぜなら、私たちは競争に晒されているからです。金という言葉がついているように、一刻千金は金、つまり資本主義や競争を連想させます。

金

高校生は大学受験を突破するために絶え間ない競争の中にいます。少しでも勉強を疎かにするとライバルに置いてけぼりにされてしまう。そのために時間をムダにしないで、それこそ一分一秒ムダにしないで勉強するわけですね。社会人も、そして社会人が集まってできた会社もまた厳しい競争に晒されています。努力を怠れば会社の景気が悪くなり、従業員は路頭に迷い生活ができなくなってしまう。

どうして学生も社会人もここまで厳しい競争に晒されているか? それは全員が全員、一刻千金という言葉を胸に日々生きているからです。つまり時間はムダにできないとみんながみんな思うから、どんどん競争が厳しくなってしまうのです。

このスパイラルは一度入るとなかなか止められず、それが資本主義の歴史となっていまだに続いているわけですね。もちろんその中にいる私たちは当然、時間をムダにしないで生きることが求められます。

温故知新

古い事実や知識を復習し、新しい知見を開くことを温故知新といいます。これは現代の科学の歴史そのものをさしていますね。科学研究は他人の研究の延長に自分の研究をつなぐことで発展してきました。しかし温故知新はもう一つの重要な可能性も言及しているかもしれません。つまり過去の中に未来への手がかりがあるということです。

歴史は繰り返すという言葉があるように、私たちの歴史は同じところをぐるぐる回っています。戦争が起きて平和になってという戦争と平和の歴史を見れば明らかですね。

これは歴史に限らず、私たちの人生にも言えるでしょう。未来がどうなるか、どうすればいい未来になるかといった判断は自分のそれまでの経験から明らかになるかもしれないわけです。

(随時追記)

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