フランクフルト学派はファシズムなどの問題を分析した研究グループである。責任を逃れて権威に屈する現代人の性質は、フランクフルト学派の他にもリースマンやフロムなどが研究した。
フランクフルト学派はもともとマルクス主義の研究から始まり、やがてヘーゲルの弁証法から啓蒙主義を批判する哲学をつくりあげた。ドイツのフランクフルト社会研究所にいたホルクハイマーやアドルノなどから構成される。ホルクハイマーとアドルノの共著「啓蒙の弁証法」は有名である。
学者 | テーマ |
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ホルクハイマー | 道具的理性 |
アドルノ | 権威主義的パーソナリティ |
ホルクハイマーは、ナチスの残虐行為などを目のあたりにして、理性が道具のように使われていると分析した(道具的理性)。またアドルノは現代人の性質を、強者と権威に迎合する権威主義的パーソナリティと位置づけた。
リースマンは「孤独な群衆」で時代ごとの人間性を定義した。
時代 | 指向型 |
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近代前 | 伝統指向型 |
近代 | 内部指向型 |
現代 | 他人指向型 |
理性が重んじられる近代以前は、伝統や慣習を重んじる伝統指向型が中心だった。近代になって家庭と学校による道徳教育が進むと、行為そのものの意識(特に罪の意識)が発達して、人間は内部指向型となった。
しかし現代社会は他人の行動を意識したり、他人からの承認を求めたりする他人指向型がメインとなっている、とリースマンは主張した。
フロムは『自由からの逃走』で現代人は自由に耐えられず、権威に屈して責任から逃れる傾向があると考えた。