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ルネサンスに関する人物一覧(ダンテ、ミケランジェロ、エラスムスなど)|高校倫理

人物 作品
ダンテ 神曲
ボッティチェリ ヴィーナスの誕生
ミケランジェロ ダビデ像/ピエタ
ラファエロ アテナイの学堂/システィーナの聖母
ダ・ヴィンチ 最後の晩餐/モナ・リザ
カンパネラ 太陽の都
ピコ・デラ・ミランドラ 人間の尊厳について
エラスムス 愚神礼賛
トマス・モア ユートピア
マキャベリ 君主論
ボッカチオ デカメロン

以下、ウィキメディア・コモンズの著作権切れの作品を掲載します。

ダンテ

ダンテの「神曲」はルネサンスの先駆的存在として有名で、キリスト教的な愛を描いています。

「神曲」は「地獄編」「煉獄編」「天国編」に分かれています。主人公がウェルギリウスという紀元前のローマの詩人とともに地獄と煉獄を歩いた後、ベアトリーチェという女性と天国を目指すという話。

ボッティチェリ

レストランなどの壁画によく使われる「ヴィーナスの誕生」はボッティチェリによって描かれました。ダンテの「神曲」の挿絵もボッティチェリが描いています。またシスティーナ礼拝堂にフレスコ壁画「反逆者たちの懲罰」も残しています。

ダンテ

(ウィキメディア・コモンズ「地獄の図」より。ダンテ「神曲」の挿絵)

ミケランジェロ

レオナルド・ダ・ヴィンチと並んでさまざまな分野に功績を残したルネサンス期を代表する人物。ミケランジェロは彫刻、絵画、建築で特に有名で、以下の作品を残しています。

  • ダビデ像
  • ピエタ
  • システィーナ礼拝堂天井画
  • アダムの創造
  • 最後の審判
  • サン・ピエトロ大聖堂ドーム
ミケランジェロ

(ウィキメディア・コモンズ「ピエタ」より)

システィーナ

(ウィキメディア・コモンズ「システィーナ礼拝堂天井画」より)

ラファエロ

ラファエロもミケランジェロと同様、さまざまな分野に多大な功績を残しています。特に絵画と建築が有名です。

  • アテナイの学堂
  • 牧場の聖母

アテナイの学堂はどこかで見たことがあるでしょう。

アテナイの学堂

(ウィキメディア・コモンズ「アテナイの学堂」より)

レオナルド・ダ・ヴィンチ

ルネサンス期を代表する人物で、いわゆる「万能人」と言われています。レオナルド・ダ・ヴィンチは遠近法を用いて「最後の晩餐」を描いており、彼の人間知性への強い関心がよく伝わってきます。

ピコ・デラ・ミランドラ

ピコ・デラ・ミランドラは、人間は自分のあり方を自由に決定できると考えて、「人間の尊厳について」を著しました。ピコ・デラ・ミランドラの人間の意志は「自由意志」と言われます。

エラスムス

エラスムスは「愚神礼賛」を著した活動家であり、宗教改革のルターとしばしば「自由意志論」において比較されます。ルターは自由意志を否定的に考え、人間は結局神のつくる予定を免れないと考えましたが、エラスムスはそのように考えていません。

  • ルター … 自由意志を否定
  • エラスムス … 自由意志を肯定

宗教改革とルネサンスは根本的に異なる運動ですが、ルターとエラスムスの違いが両者の違いを表していると考えてもいいでしょう。しかしエラスムスもルターと同じようにキリスト教を批判しています。ここがわかりにくいところで「エラスムスが卵を産み、ルターがかえした」という言葉もあるほど、エラスムスは宗教改革に大きな影響を与えています。

宗教改革とルネサンスは時期が重なっているため、また宗教改革についている改革という言葉から、宗教改革が人間の自由の開花というイデオロギーにつながっているように思われるかもしれませんが、ルターはキリスト教の糾弾において人間の自由意志を利用していません。

センター倫理の過去問

センター倫理の過去問(問題のみ)を引用します。カッコ内の年度は試験の実施年度になります。解説の著作権は当ページにあります。掲載の都合上、問題文を一部変えています。あらかじめご了承ください。

2015年(第4問の問1)

ルネサンス期の説明として適当でないものを選べ。

① ルネサンス期には、古代ギリシア・ローマの文芸を再生し、古典を学び直そうという運動が広く展開した。古典を模範とすることで、人間性を解放し、新たな人間像を探求する人間中心の文化が花開いた。

② ルネサンス期には、古典研究を通して、キリスト教世界の根源にある古代の異教的世界を再興しようという考えが現れた。自然を再発見することで、古代の神々を中心とする神話的世界観が復活した。

③ ルネサンス期には、美術の世界でも、遠近法が確立し、人体の写実的な描写が始まるなどの革新がみられた。『最後の審判』など、絵画や彫刻作品を数多く制作したミケランジェロは、建築の分野でも活躍した。

④ ルネサンス期には、人間の本性はあらかじめ定まってはいないという考えが現れた。ピコ・デラ・ミランドラは、人間は自由意志に基づいて自分の本性を形成する存在であるとし、そこに人間の尊厳の根拠をみた。

※すべての文について点(、)が比較的多いが、これは原文通り。

解答 ②

①は正しい。①の文はルネサンスの説明そのままである。ルネサンスは古典の復興によって人間性を解放する運動である。ここで問題文の「古代ローマの文芸」に注目しよう。ルネサンスの先駆的存在であるダンテは『神曲』において、地獄と煉獄の案内人にウェルギリウスを選んでいる。ウェルギリウスは古代ローマの代表的な詩人・文化人。

③は正しい。レオナルド・ダ・ヴィンチは遠近法を発明し、絵画を通して人間中心の世界観を示した。また『最後の審判』がミケランジェロという記述も正しい。『最後の審判』と『最後の晩餐』は混乱しやすいので注意。

  • 最後の審判 … ミケランジェロ
  • 最後の晩餐 … ダ・ヴィンチ

④は正しい。ピコ・デラ・ミランドラは『人間の尊厳について』において人間の自由意志を認めている。ピコ・デラ・ミランドラにとって人間は、神のような高貴な存在にも、獣のような存在にもなれる「自由な存在」である。自由意志はエラスムスとルターも言及し、エラスムスは自由意志を肯定し、ルターは否定した。

②は誤り。再興するのは「古代の異教的世界」ではなく「古代のギリシア・ローマ文化」である。

センター試験などでよく問われるポイントは、ルネサンスとキリスト教の関係である。ピコ・デラ・ミランドラやエラスムスの思想だけを取り出すと、ルネサンス=反キリスト教というイメージが強くなってしまうが、そうではない。ルネサンスの本質はあくまでも選択肢①にあるように、古代ギリシア・ローマの芸術の再生によって人間性を解法することである。その背景に伝統的なキリスト教世界があるにしても、ルネサンスをキリスト教から定義することはやや危険。

センター世界史Bの過去問

センター世界史Bの過去問(問題のみ)を引用します。解説の著作権は当ページにあります。掲載の都合上、問題文を一部変えていますが、あらかじめご了承ください。

2016年(第1問の問3)

次の文章の空欄に当てはまる言葉の正しい組み合わせを選べ。

ルネサンス最大の人文主義者とされるエラスムスは、( ア )を著して、堕落した教会の権威を風刺した。彼の肖像画「エラスムス像」(下図参照)を描いたドイツの画家( イ )は、彼の紹介でイギリスに渡り、後に宮廷画家となった。

エラスムス

(ウィキメディア・コモンズ「エラスムス」より※)

※画像は著作権が切れている。

① ア 『愚神礼賛』 イ ホルバイン
② ア 『愚神礼賛』 イ ベラスケス
③ ア 『天路歴程』 イ ホルバイン
④ ア 『天路歴程』 イ ベラスケス

解答 ①

エラスムスの『愚神礼賛』を著して伝統的なキリスト教会は腐敗していると批判した。上図はホルバインという画家のエラスムス像。

『天路歴程』はイギリスのジョン・バニヤンが17世紀後半に著した、ピューリタン文学の代表的作品。『天路歴程』はルイーザ・メイ・オルコットが19世紀に著した『若草物語』に強い影響を与えている。

なお『天路歴程』の原題は『The Pilgrim's Progress』で、この pilgrim はピューリタンを意味する。直訳すると『ピューリタンの発展(旅、夢)』。

ベラスケスは17世紀のスペイン画家で『ブレダの開城』などの有名な絵を残した。『ブレダの開城』は八十年戦争の間の1625年に、スペインが難攻不落と言われたオランダのブレダを降伏させた様子を描いたものである。

ブレダの開城

(ウィキメディア・コモンズ「ブレダの開城」)

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