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イギリスの議院内閣制とアメリカの大統領制

政治は大きく議院内閣制と大統領制にわけられる。議院内閣制では、内閣は議会の信任に基き、議会に対して連帯して責任を負う。一方、大統領制では、間接選挙で選ばれた大統領は、議会から独立して行政権を行使する。

法律の分類

日本を含む多くの国では、法律は正式な文書として存在している。これを成文法というが、一方で文書化されていない法律もあり、これを不文法という。私たちのイメージと少しずれるが、不文法はさらに慣習法と判例に分けられる。慣習法は特にアメリカとイギリスにおいてコモン・ローと言われる。

成文法 … 文書化されている
不文法 … 文書化されていない

議院内閣制と大統領制の違い

議院内閣制は、内閣不信任の決議が可能であるが、大統領制では議会による大統領への不信任決議権はない。つまり大統領制のほうが立法権と行政権が明確に区分されている。

ここからはイギリスとアメリカの議院内閣制と大統領制についておおまかにみていく。

イギリスの議院内閣制

憲法 … 不文憲法、軟性憲法
国会 … 上院と下院
内閣 … 下院第一党の党首が首相に任命される
政党 … 保守党と労働党と自由民主党

イギリスの憲法は不文憲法であり、軟性憲法である。不文憲法とは、いろいろな文書が集まって憲法を構成していること。軟性憲法とは、憲法改正に厳密な手続きがいらないこと。

イギリスの国会(議会)はピューリタン革命をきっかけに生まれた。日本における衆議院と参議院のように上院と下院に分かれている。上院は世襲貴族などからなり、下院の議員は任期5年で、小選挙区選挙から選ばれる。下院が上院を優先する。イギリスの政党には保守党と労働党という二大政党と自由民主党がある。

イギリス国王

イギリスの国王は女王であり、現在はエリザベス二世女王である。イギリスの国歌は「女王陛下万歳」という曲で、ニュージーランドの国歌でもある。名誉革命によって議会の国王に対する優位性が定まり、女王は日本の天皇のように国を統治しないが、国を代表する者としてさまざまな国事行為を果たす。

イギリス女王の役割

  • 首相の任命
  • 議会の解散
  • イギリス陸海空軍最高指揮官

しかしこれら女王の役割は明確に定められているわけではない。イギリス憲法は不文憲法だからである。

イギリスにおける重要な政治的文書

1215年 マグナ・カルタ
1628年 権利の請願
1689年 権利章典
1911年 議会法

ジョン王が定めたマグナ・カルタは国王の権限について言及した文書で、イギリスの不文憲法を構成している。ジョン王が「定めた」というのは不正確で、フランスとの戦争に敗北した結果、当時の諸侯たちの反乱を抑えるためにやむなくサインした文書とされる。

議会法もまたイギリスの不文憲法を構成し、下院優越などを定めている。

(追記中)

イギリス議会

日本の衆議院と参議院のように、下院(庶民院)と上院(貴族院)があり、議会法によって下院優越が原則となっている。

下院 … 任期5年、小選挙区
上院 … 終身の貴族など

アメリカ

憲法 … 成文憲法、硬性憲法
連邦議会 … 上院と下院
大統領 … 任期4年、間接選挙から選ばれる、三選禁止
政党 … 民主党と共和党

アメリカの憲法は日本国憲法と同様に一つのまとまった憲法があり、改正には厳密な手続きを要する。

連邦議会は上院と下院に分かれる。上院は各州から2名選ばれる。任期6年(2年毎に3分の1が改選)。下院は各州から人口に応じて選ばれる。任期2年。

また連邦議会は行政権を持つ大統領への不信任決議権を持っておらず、大統領もまた議会解散権を持っていない。なお大統領の多くの写真はパブリックドメインに指定されているものが多い。

以下は参考として中国の政治をみていく。

中国の政治

中国は社会主義国として共産党の一党独裁体制が長く続いているが、経済政策においては資本主義的な側面をかなり持っている。

中国共産党 … 8000万人以上とも言われる党員を持つ
全国人民代表大会 … 憲法以上の権力を持つ
中央委員会総書記 … 中国の最高責任者

中国は共産党による一党独裁であり、党員は数千万人いる。

最高権力機関は全国人民代表大会であり、その本質は日本やイギリスの議会とまったく異なる。全国人民代表大会は立法権を持つものの、三権分立のように行政や裁判所と権力を分立させていない。

中央委員会総書記(いわゆる国家主席)、国務院(行政担当機関)、最高人民法院(司法機関)、最高人民検察院(検察機関)のメンバーは全国人民代表大会によって選ばれる。また全国人民代表大会に解散という概念はない。

メモ(アメリカ政治の歴史)

アメリカの政治は次のような経緯をたどって生まれた。

・ピューリタン革命(1642~49年)
・名誉革命(1688年)
・アメリカ独立革命(1775~83年)
・バージニア権利章典(1776年)

市民革命の理論的な支えはグロティウスやロックなどの近代自然法思想と社会契約説にある。グロティウスは歴史や国を超えて普遍的に適用できる国際的な法、すなわち自然法の重要性を主張した。またホッブズ、ロック、ルソーの三人が各々社会契約説を唱えた。

(以下加筆)

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