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連載 ミニ自己啓発

敬語不経済は会議を通して労働生産性を下げる:過剰な敬語と「させていただきます症候群」は今すぐやめよう

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日本の労働生産性はとても悪く、日本生産性本部の労働生産性の国際比較2018のデータによるとOECD加盟国36ヵ国中20位、主要先進国7ヵ国中ビリです。これをふまえたエッセイ日本が後進国になった理由がたくさんの人に読まれるようになりましたが、その中に「過剰敬語」があります。

敬語不経済という言葉は私の造語ですが、敬語は大きな不経済になっています。敬語不経済は通常の外部不経済よりも外部性が強く働くような気がします。なにしろ「言語」なので、それ自体がネットワーク外部性を持っている。

実際、「させていただきます」という言葉がなんとなく広まっていますね。たぶんテレビの影響もあるでしょう。上下関係の厳しい世界でやっている芸人は特に顕著です。

過剰な敬語ははっきり言ってろくなものじゃなくて、人によっては卑屈に聞こえる。「させていただきます」を使う側もたぶん敬語を負担に思っている。イライラしていないのは敬語を使ってほしい先輩だけ。今回は「させていただきます」といった過剰な敬語と労働生産性について考えます。

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過剰な敬語は労働生産性を著しく下げる

ドラッカーはよく会議の生産性について語っているけど、仕事の中心は会議で、労働生産性は会議生産性と強く相関している。会議の生産性を上げれば、労働生産性20位という惨めな状況から脱出できるかも。

過剰な敬語としてこんなものがあります。

後半は吐き気がするような敬語ですが、私たちはあらゆる場面でこうした言葉を聞いています。目上の人や年上の人と会話するとき、たいてい一文に一個か二個は敬語が出てきますね。

1 つ文にどのくらいの敬語があるでしょうか? 労働生産性と敬語の関係を考える出発点はここです。

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まず文を単語に分解します。助詞や助動詞、動詞の活用語尾は独立した単語に含めないとします。最後の例文では次のように区切ってみます。

メールで/こちらに/ご送信/なされ/ました/件に/つきまして

この文では「ご送信」「なされ」「つきまして」に敬語が入っています。つまり 7 単語中 3 単語が敬語です。この例文はちょっとおおげさですが、次のように仮定してみます。

1 文には平均 15 個の単語があり、そのうち 3 個に敬語がある

つまり会話の 20% に敬語があるとします。敬語はコミュニケーションを円滑にしますが、過剰な敬語は少なくとも片方にとってストレスです。そこで敬語の付加価値を 0 とします。すると会議の付加価値は本来の 80% になります。100 時間会議をしたら、実際は 80 時間しかやっていないということ。とてもざっくりしたフェルミ推定だけど、日本の全労働時間の 20% は付加価値のない敬語に食われているかもしれない。

「させていただきます」を使っても付加価値は生まれない。付加価値は言葉でなく行動にしかなくて、有益な行動は不毛な敬語でなく、会社の利益につながるコミュニケーションとパフォーマンスにしかない。

過剰な敬語を訂正する:譲歩を多用する人は会議に参加してはいけない

会議は日本語のやりとりです。ある部下が会議で上司に報告する場面を想像してください。

「お配りした資料をご覧になったかと存じますが、私のほうからいま一度、ご説明申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。A社のデジタルマーケティングではすでにB社のソフトを使用しておりまして、うんたらかんたら」

この例で抹消されないといけない単語は

です。

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まず、動詞に「お」をつける習慣は今すぐやめないといけない。「お」は敬語を示す接頭語ですが、つけやすい動詞は限られていて、多用すると違和感と雑な印象を与える。「お」を撤去しない限り労働生産性はいつまでも上がらない。

「ですが」「存じますが」「だと思いますが」といった譲歩はいらない。譲歩はたいてい無駄な敬語をたくさん含む。譲歩はそもそも付加価値がないのに、単語が敬語ばかりときているから実に価値がない。

譲歩が多い人は結論をなかなか言わず、回りくどい言い方が好きで、目的意識がなく、責任を他人になすりつける。譲歩は他人の時間をむさぼり食うだけで、建設的な影響はまったくない。譲歩は相手にストレスを与えるだけで、互いの発展にまったく寄与しない。譲歩は会議の生産性を猛烈に下げる。譲歩は会議と仕事の敵で、譲歩が多い人を会議に混ぜてはいけない。

「申し上げる」「いたします」はいらない。「する」で統一しないといけない。会議に謙譲語と卑屈さはまったくいらない。主張する場で卑屈になることは、時と場合によって失礼になる。

過剰な敬語は労働生産性の敵だと認識しよう

労働生産性は考え方次第で大きく変化するはずで、まっさきに改善するべきは今回とりあげた過剰な敬語です。しつこいけど、過剰な敬語はなにも生まない。双方がストレスを感じる愚かな習慣です。

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過剰な敬語は三つの感情を暗示します。

卑屈さと傲慢さは紙一重で、謙譲語を傲慢なニュアンスに受けとる人もいます。私が昔会った投資家もそういうタイプで、当時「いたします」を愚直に使っていた私は「卑屈な言葉を使うな」と怒られました。

今回の話は賛成する人もいれば、反対する人もいるでしょう。敬語はすばらしいと盲目的に信じている人もいるかもしれない。だけど、コミュニケーションは負担を減らす方向に変えていくべきです。それがコミュニケーションなのだから。

今は敬語が日本語全体の負担になっています。言語は経済の基盤であり、敬語は経済の負担です。

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