ヨウ素(I)は原子番号53、17族5周期に属するハロゲンの1つであり、常温常圧で黒紫の固体だが昇華する。代表的な無極性分子であり、水にほとんど溶けず、エタノールなどの有機溶媒に溶ける。
項目 | I |
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原子番号 | 53 |
族 | 17 |
周期 | 5 |
電子殻 | 2, 8, 18, 18, 7 |
原子量 | 126.9 |
分類 | ハロゲン |
常温 | 固体(黒紫) |
デンプンにヨウ素ヨウ化カリウム水溶液を加えると青紫色に呈色するが、これはデンプンの構成要素であるグルコースがらせん構造をとり、ヨウ素がらせんにとりこまれることで生じる。
ハロゲンの酸化力はフッ素が一番強く、ヨウ素が一番弱い。酸化力はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素の順、つまり周期表の上から順に弱くなる。
F2 > Cl2 > Br2 > I2
HI(ヨウ化水素)は常温常圧において無色の気体。水に非常に溶けやすい。水溶液は強酸。他のハロゲン化水素と違い、極性はほとんどない。
KI(ヨウ化カリウム)はヨウ化水素と水酸化カリウムの中和反応によって得られる塩。
HI + KOH → KI + H2O
ヨウ素液はヨウ素ヨウ化カリウム水溶液のことで、ヨウ化カリウム水溶液にヨウ素が溶けたもの。ヨウ素は
I- + I2 → I3-
の反応によってヨウ化カリウム水溶液に溶ける。この状態の水溶液をヨウ素ヨウ化カリウム水溶液という。ヨウ化カリウムは空気と光によって分解する。
ヨウ化カリウム水溶液とヨウ化水銀(Ⅱ)水溶液の混合液をネスラー試薬という。ネスラー試薬はアンモニア(アンモニウムイオン)を検出する。
化合物 | 水に溶けるか | 沈殿の色 |
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KI | 溶ける | - |
PbI2 | 難溶性 | 黄 |
AgI | 難溶性 | 黄 |
CHI3(ヨードホルム) | 難溶性 | 黄 |
ヨードホルムはアセトンなどの有機化合物を検出するヨードホルム反応の沈殿物。特有の匂いがする。