炭酸水素ナトリウムと酸化銀の熱分解と水の電気分解(中2理科)
化学反応とは、物質が異なる物質に変わることをいう。例えば水素と酸素が結合すると水になるが、これは化学反応の一つである。
例えば炭素(炭の成分)と水素が結合するとメタン(おならの主成分)になる。これも化学反応。人の体内でも化学反応は常に起きている。
化学反応は化学変化ともいう。
中 2 で最初に習う化学反応は分解である。分解とは、1 種類の物質が 2 種類以上の物質に分かれる化学反応のこと。例えば水が水素と酸素に分かれる化学反応は分解である。
分解には熱分解と電気分解がある。
- 熱分解
- 電気分解
熱分解は加熱して物質を分解すること。電気分解は電気を通して物質を分解すること。
酸化銀の熱分解
酸化銀(固体)
↓
銀(固体)+酸素(気体)
銀は高価なスプーンなどに使われる貴重な金属で、純銀は白っぽい銀色で光沢がある(ピカピカ光る)。一方、酸化銀は黒っぽい色で光沢もない。
試験管に酸化銀を入れて加熱すると、酸化銀から酸素が奪われて銀だけになる。このことから酸化銀はもともと銀と酸素が結合した物質であるとわかる。
銀+酸素→酸化銀(結合)
酸化銀→銀+酸素(分解)
酸化銀を加熱した後、酸化銀はほとんど銀になる。これを取り出して本当に銀になったかどうか確かめるにはどうすればいいだろうか。
★色の変化を見る。
★電流が流れるかチェックする。
まず色が黒っぽいか白っぽいか見る。白っぽかったら銀である。また電流が流れるかチェックする。電流が流れたら銀である。
炭酸水素ナトリウムの熱分解
炭酸水素ナトリウム(固体)
↓
炭酸ナトリウム(固体)
+
二酸化炭素(気体)
+
水(液体)
炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムは名前が似ているが、性質はかなり異なる。
炭酸水素ナトリウムを水に溶かすとかなり弱いアルカリ性だが、炭酸ナトリウムを水に溶かすと弱~中程度のアルカリ性になる。フェノールフタレインによる変色反応では、炭酸水素ナトリウム水溶液はうすい赤色、炭酸ナトリウム水溶液は赤色である。
また炭酸水素ナトリウムは水に溶けにくいが、炭酸ナトリウムは水によく溶ける。
区分 | 炭酸水素ナトリウム | 炭酸ナトリウム |
---|---|---|
水溶液の性質 | 弱アルカリ性 | 中アルカリ性 |
フェノールフタレイン | うすい赤色 | 赤色 |
水への溶けやすさ | 溶けにくい | 溶けやすい |
炭酸水素ナトリウムの熱分解の実験はよく出る。特に「試験管を下げて実験する理由を答えなさい」という問題。
炭酸水素ナトリウムを加熱すると水が発生するが、もし試験管を下げないと発生した水が加熱している部分に垂れて、試験管が割れてしまう。
試験管を下げて加熱すると、水が試験管のふちにたまる。
また炭酸水素ナトリウムを入れている試験管の先にチューブをつけて、そのチューブを石灰水にひたすことが多い。この状態で炭酸水素ナトリウムを加熱すると、チューブの先からコポコポと気泡が出るとともに、石灰水が少しずつ白く濁ってくる。これは二酸化炭素が発生したからである。
★石灰水に二酸化炭素を入れると、石灰水が白く濁る。
電気分解
分解で最も重要な化学反応は電気分解である。電気分解とは、電気を通すことで物質を分解すること。例えば水を電気分解すると水素と酸素が発生する。
水(液体)
↓
水素(気体)
+
酸素(気体)
水を入れた二つの試験管の片方にプラス、もう片方にマイナスの電極を入れる。そして電気を通すと水が分解して水素と酸素に分かれる。
ポイント
- 陰極で発生する気体は水素。
- 陽極で発生する気体は酸素。
- 水を電気分解するときは水酸化ナトリウムを少し溶かす。
特に三番目に注意。水はよく電気を通すと言われるが、実はそれほど通らない。しかし水酸化ナトリウムを溶かすと簡単に電気が通る。
また上の図のポイントにあるように、左右の試験管の水の高さが異なっている。これは電気分解によって発生した酸素と水素の体積が異なるからである。
★実は水素は酸素のちょうど2倍発生する。
メモ(水素、酸素、水、二酸化炭素の性質)
水素
水素は水を電気分解すると陰極で発生する気体。自然界で最も軽く、宇宙全体で最も豊富に存在し、太陽の主成分でもある。
水素があるところに火を近づけると音を立てて燃える。
酸素
酸素は水を電気分解すると陽極で発生する気体。人を含むほぼすべての動物にとって不可欠な気体で、大気中のみならず地中にも豊富に存在する。
酸素を充満させた容器に火のついた線香を入れると、炎がぼっと上がる。酸素は火を強める性質がある。
水
炭酸水素ナトリウムを熱分解すると炭酸ナトリウムのみならず水も発生する。本当に水が発生したかどうか確かめるには、塩化コバルト紙という紙を使う。
塩化コバルト紙は青色の紙だが、これに水をつけると赤色に変わる。
問題
- 炭酸水素ナトリウムを加熱すると( )と( )と二酸化炭素が発生する。
- 水を電気分解すると( )と( )が発生する。
- 酸化銀が銀と酸素に分解する反応は( )分解である。
- 水の電気分解において陽極で発生する気体は( )である。
- 炭酸ナトリウムを水に溶かすと( )性になる。
解答
- 炭酸ナトリウム、水
- 水素、酸素
- 熱(分解)
- 酸素
- アルカリ(性)
問題
- 水の電気分解において水酸化ナトリウムを水に溶かす理由を答えなさい。
- 炭酸水素ナトリウムの熱分解実験において試験管を下げる理由を答えなさい。
- 酸化銀を分解した後、残った物質に電気は通るか、通らないか?
- 石灰水に二酸化炭素を通すと石灰水にどんな変化が起きるか?
解答
- 電気を通しやすくするため。
- 水が加熱部分に垂れて試験管が割れるのを防ぐため。
- 通る(銀だから)。
- 白く濁る。
中2理科
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