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科学と社会と人間の問題は入れ子構造になっている

太陽と地球の関係は原子核と電子のそれに似ている。大小のスケールで似た構造があるのは、構造の構造があるからだ。マトリョーシカのような入れ子は科学、社会、人間の構造と関係にあり、だいたいは抽象的な方向性をもっている。

入れ子の発明

「知は力なり」よりも「入れ子は金になる」という言葉がおそらく歴史と進化の本質をついている。第一に私たちの脳そのものが入れ子になっている。脳の最下層はは虫類レベルで、大脳皮質が人の理性を抽象的につかさどる。しかしどの層も細胞レベルで大きな違いはない。

コンピューターのファイルは入れ子である。株から配当が生まれ、配当が再投資に使われるという資本主義は金融の入れ子である。売った喧嘩が倍返しされて、あなたが再び喧嘩を売るという人間関係は入れ子である。

すべての構造は構造の構造という高次元のなにか(数学ではカテゴリーという)にコントロールされている。構造と構造に順序関係があるとき、私たちはそれを入れ子と呼ぶ。順序は変化であり、変化は進化と多様化を表す。だから入れ子は知性と金になる。

入れ子の遺伝子

入れ子はどのように継がれていくか? 生物の遺伝子に相当するものはどこにあるか? 入れ子の遺伝子は社会と経済のあり方を決める。

利子が換金不可能のものだったら資本主義はここまで発展しなかった。ほとんどの人は資本主義の本質を誤解しているが、本質は利子と配当金の換金性である。これが資本主義の遺伝子、すなわち世界の原動力である。つまり配当金にかかる税率こそが資本主義の修正につながる。

データ保存の遺伝子はどこか? ファイルとディレクトリの遺伝子は「子の親は一つしかない」である。二つのディレクトリに直属するファイルは存在しない。これがコンピューター・ファイルシステムの遺伝的特性になる。別のシステムをつくるには、この遺伝子と違う遺伝子をまず見つけないといけない。

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