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「させていただきます」と「ニッポン」を連呼するテレビ局は、日本の言語不経済にせっせと貢献している

テレビ局にいる連中はろくでなしで、ニッポンという言葉をどうにかして定着させたいようです。にほんでいいのに、すべてのキャスターはニッポンという。昨年の夏頃からその傾向が強化されているような気がします。

させていただきますというクソ敬語を私は何度も何度も、死ぬほどしつこくボロクソゴミカス呼ばわりしていますが、こっちはキャスターじゃなくて、政治家答弁でごまかす人間によって広まっています。いただきますって言ってればオッケーだろ、文句言わせねーよクソが…という気持ちが「させていただきます」という不経済をつくっている。

どちらも日本の言語不経済にせっせと貢献しています。言語不経済というのは私がこの数分の間につくった造語で、前は敬語不経済と呼んでいました。ニッポンは敬語じゃないから言語不経済です。

犬のクソにもおっさんの鼻くそにも劣るゴミカス敬語

そうしましたら、こちらの書類に住所を記入していただいて、その後、わたくしどもがチェックさせていただきますので、なにとぞ、よろしくお願いもうしあげまするッ!

みたいな言葉は、ベンチの下にたまったおっさんのゲボよりも日本経済を傷つけている。こういう言葉を一人でも使うと、他の人間も不安になって「このくらいに敬語を使わないといけないかな」と思い、なんとなく使ってしまい、新しいトレンドになってしまう。

「サッカーやってたんで、走りには自信あります。うっす」とほざく男が「させていただきます」という言葉を使っているのはびっくりです。サッカーでも野球でもなんでもいいが、私は体育会系がホコリにしているスポーツ経験なんて興味ない。それよりも筋肉もりもりマンなのに「させていただきます。うっす」みたいな言葉を使うところに興味があります。

ドラックストアの店員も、芸人も、証券会社の事務員もみんな「させていただきます」と言うけど、そういう言葉はその人の負担になるし、ストレスになるし、時間の浪費になるし、コミュニケーションをとるすべての人を卑屈にさせて、暗黙の了解がすべてを決めてしまう世界にしちゃう。

携帯料金のプランを聞いているだけなのに、弊社もお客様の要望にお応えさせていただいて、今回通話料無料の格安プランを用意させていただきました、と言われるなんて。中身スカスカすっかすかの言葉をいつまで聞かなきゃいけないのか? この国はどこまでイッちゃっているのか?

「新しく通話料無料のプランが出たので、どうですか?」だけでいいのに、一文に三回も「させていただきます」をぶちこむ。日本人はそんなに田中角栄になりたいのか?

にほんからニッポンになって、キャスターの能力はたぶん3%落ちた

ニッポンはにほんよりも歯切れが悪いので、ニッポンが入る文章は聞き手の耳にうまく入らない。ニッポンだけが入ってきて、それ以外が入らない。日本はすごい国なんだぞ〜とほざくテレビ局の意図が強調されるだけで、他はなにも伝わらない。この記事を読んでいるテレビ局のプロデューサーと電通の社員は「ニッポンの伝統文化を紹介します」を100回言ってみてください。「にほんの伝統文化を紹介します」のほうがストレスフリーだとわかるはずです。

日本という言葉は「日本の」という言葉で使われる。日本の伝統文化、日本の財政問題といったように。もし日本がにほんなら、

にほんのでんとうぶんか

と一気通貫で発音できるけど、ニッポンだったら

ニッポンの・でんとうぶんか

と間に休止が入る。入らないキャスターもいるけど、半分以上は入っている。実際は

ニッポンのーでんとうぶんか

というふうに伸ばすパターンも多い。どちらにしてもその分だけキャスターはイライラするだろうし、聞き手も違和感があるし、伝達時間も1秒だけ伸びる。脳みそ花畑の無思考人間は「は?たかが一秒だろ。頭イカれてるのか?」とほざくかもしれないけど、日本という言葉はニュースで最もよく使われる言葉だから、休止の時間がいちいち入ると報道時間はそれだけで数パーセント増える。

私たちの人生はささいな習慣で劇的に変わるけど、国もまたこういうささいな慣習によって変わります。ニッポン連呼はハンコ文化大好き、非効率な作業が大好き日本国家の不経済に貢献しています。惨めな人生を送りたくない人は、無意味な言葉よりも意味のある非言語的コミュニケーションを採用するべきです。