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78:22の法則(ユダヤの商法)とパレートの法則からロングテール・マーケティングを考える

ユダヤ人の教えの一つに「男はすべての金の78%を稼ぎ、女はすべての金の78%を使う」というものがあります。また「利益の78%は商品の22%で生む」という教えもあります。ビジネスではどちらの考えもよく知られていますが、これはパレートの法則とも呼ばれています。

マクドナルド

78:22の法則を実際に使った例として藤田田(日本マクドナルド)のサンキューセットがあります。彼はこのセット商品を文字どおり390円で売りました。サンキューセットに500円を払うと110円のおつりがきます。

マクドナルドの販売と藤田田の著作から78:22という法則が有名になりました。

女性向けの商売

男性は稼ぎ、女性が使う。これが意味するところは、男性向けよりも女性向けの商売のほうが有利だということです。

化粧品やブランドバッグを見ればわかるように、女性向けの商品は付加価値が高い。一方、男性はバッグのブランドといった目に見えない価値よりも、生活に必要なものを最低限そろえるという習慣があるため、女性ほどには出費しない(という傾向がある)。

家計で最も大きな出費になる家、車、教育、保険などは妻の発言が大きなカギになることが多い。

ユダヤの商法に「男はすべての金の78%を稼ぎ、女はすべての金の78%を使う」という考えがあることも、なんとなくわかってくると思います。

パレートの法則

パレートの法則とは「売上の8割は商品の2割で生む」という法則です。逆に言えば「商品の8割は売上の2割にしかならない」。

100個のパンを売ったとき、78個のパンはほとんど利益を出さないか、売れない。残りの22個で利益のほとんどを生む。これがパレートの法則の考えです。

ギズモードの夢はじける。YouTuberで一攫千金の時代は終わるの記事では、YouTuberの格差が始まっており、上位3%のYouTuberが全体の閲覧数(ページビュー数)の90%以上を獲得しているといいます。

YouTubeで生計を立てられるのは、わずか3%の人々。YouTubeというプラットフォームにある閲覧数の約90%は彼らがもっています。
「夢はじける。YouTuberで一攫千金の時代は終わる - GIZMODO」より引用

78個の売れないパンに共通したものを理解し、あらかじめそうしたパンを作らないという活動こそ、ビジネスやマーケティングでいいとされている「選択と集中」です。

パレートの法則は統計と確率の理論が混ざっており、一定数の商品は必要になる。1個しかパンを作っていない状況ではパレートの法則を適用できない。

ビジネスを広げて収益構造に乱雑さ(商品数やカテゴリー数が増えて全体が雑になっている状態)がともなっているとき、パレートの法則と「選択と集中」が有効になるといえます。

ロングテール

ロングテールとは、売れない78個のパンで収益を上げることをいいます。わずかなパンが圧倒的な利益を出しますが、残りのパンもたくさんあれば「ちりも積もって」収益の山になるかもしれない。

こうした小口商売を中心にした戦略をロングテール戦略といいます。AmazonなどのECサイトを見るとわかるように、現在のECはたくさんのカテゴリーで無数の商品を扱っています。

つまり1個1円の薄利であっても、それが大量にあれば大きな利益になるということです。

ロングテール戦略はパレートの法則による「選択と集中」と焦点がずれていることに注意しましょう。正反対の概念ということはできませんが、両方をうまく組み合わせることは難しいでしょう。

比率の変化

現代社会では女性向けの高額商品の販売が落ちこみ、アマゾンなどの巨大な小売業者が商品の品数を際限なく増やしています。

パレートの法則そのものはさまざまな状況であてはまりますが、78:22という神秘的な比は少しずつずれてきています。

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