未来を考えたり、人の予言(妄言)を聞いたりすることは役立つ。例えば「不動産神話は存在しない。日本は移民政策をとらず、人口は減りつづけるだろう。不動産価格は長期的に下落しつづける」と早くから予言していた人は、八十年代後半に土地を買うという致命的な失敗を回避できたかもしれない。
2020年以降の日本はどうなっているでしょうか?
社会
2024年頃から沖縄県の存在感が増し、2029年に沖縄県から沖縄特別区に名称が変わる。第二のシンガポールを掲げ、アジアのハブを目指して金融機関の誘致を始める。
経済
なんくるないさーブームが数年続き、中国・台湾から旅行者が年間1,000万人を超える。2030年、沖縄県の土地価格は2020年の2倍に。アメリカでサイバーセキュリティー専門の保険会社が生まれ、2030年に世界最大の保険会社になる。あおりを受けて国内のある保険会社は倒産。
文化
あるイスラエル人が第二のウェブ空間「アバター」のプロトコルを発明し、アバター空間の開拓が始まる。
技術
イーロン・マスクがついに火星旅行事業を始め、数人の日本人が火星で日本の国旗を立てる。
経済
世界経済は順調に成長し、日本はマイナス成長を続ける。円安が続き、国内はインフレ気味になる。財政赤字の問題で短命政権が続く。
世論が電気自動車をヨイショし、旧来の自動車会社が競争激化で破綻。クリーンエネルギー化の勢いが加速する。
大学の奨学金問題が深刻になり、学資ローンが不良債権になって金融危機が起きる。
社会
資本家と労働者の差が絶対に埋まらない時代になっている。資本家は今以上に建前を作り、メディア会社を所有する。しかし労働者はサラリーマンになることが当たり前だと考えている。年金制度と源泉徴収制度は崩壊していない。定職につかない者とそうでない労働者の間で5倍以上の年収格差が生まれている。
2040年まで日本が戦争に巻きこまれることはないが、国際的に冷遇されて日米同盟が破棄されている。右翼が台頭し、テロ行為が少し起きている。市民のほとんどは平和に生きていると感じている。
高校の数学から微分積分が消え、成人のほとんどは小数の計算ができない状態に。知的労働者は当然のように海外に逃げる。
文化
2030年まで文化は多様化するが、それ以降は極度に画一的になっていく。ほとんどのドラマは推理ドラマになっている。芸能人という枠が消えて、一般人がテレビに頻繁に登場する。
技術
2030年の中頃、眼球にコンピューターを埋めこむサービスが登場し、スマートフォンはすぐに絶滅する。体にコンピューターを入れる技術自体は2023年から活発に行われるようになる。
コンピューター化した人間が、従来の人間にとって脅威になる。しかしマトリックスや攻殻機動隊のような世界は永遠に訪れない。2030年後半から、人間の姿形が非合理的であるという議論が活発になる。
砂漠を緑化するベンチャー企業が出てくる。
経済
2040年中頃、沖縄の県別GDPが愛知と大阪を抜いて、東京に続く大都市になる。この頃、米軍はすでに完全に撤退している。
大阪と愛知(名古屋)は衰退し、土地価格は現在の三割程度になっている。東京の土地価格は現在と同程度の水準に維持されている。
社会
日本は国際戦争に巻きこまれるが、労働者は戦争が起きていることを知らない。インフラの老朽化と地方公共団体の破綻でスラム街が増える。
日本にとって沖縄が最も特殊な土地になり、現在のシンガポールのような位置づけになっている。
文化
「腐敗はいいことである」という考えが当たり前になっている。あらゆる腐敗が正当化されて、経済的なサービスにつながっている。すべての労働者は文化に生きて、文化から金を得る。この現象は日本だけで起きている。国内総生産の半分がサービス業になる。
資本家は体のパーツをコンピューターにする。アバター世界が成熟し、第二の人生をアバターでやり直す人が続出。2045年、日本のアバター人口は6,000万人に。
技術
この頃、火星が壮大な実験場になっているが、貧富の格差が広がった世界で市民が火星を憧れることはない。ロケットで旅行するというサービスは破綻する。
2040年以降は火星の開発と人体のコンピューター化が技術革新の中心になる。脳と人体の働きをデータ化し、個人の人格そのものをデータにする実験が始まる。
2055年に財政が破綻しハイパーインフレ状態に。現在の円は消えて新しい円になる。末法思想が流行し、宗教の勧誘がさかんになる。
2050年は人材と若者の流出が決定的になり、先進国から完全に脱落する。経済規模は世界で30位を下回る。
※この記事はかなり多くの人に読まれるようになったので、動画でも改めて解説しました。
日本の未来に影響するポイントは次のとおり。
2040年くらいから体のパーツをコンピューターにする技術が普及し、人間という種そのもののあり方が問われる、かもしれない。
火星に旅行するというサービスは結局破綻します。それは技術的な制約でなく、地球のほうが住み心地がいいというありきたりな動機からです。
しかしそれでも火星の開発は進むでしょう。人口が増えすぎてエネルギーと食料が極端に不足し、ある時点で火星に巨大な発電所と農場を作ることを余儀なくされるためです。これが情報革命以来の産業革命になり、世界経済をけん引することになります。
火星の開発が進む前に、各国は団結して砂漠化を止めるでしょう。これはアフリカの発展を促進し、日本の経済的な地位を下げます。世界的には砂漠をめぐって大きな対立が起きますが、結局は食料不足から協力することになります。
エネルギーと食料を中心に考えると、時代はおおむね次のように発展します。
一方、サービスを中心に考えるとこうなります。
テクノロジー会社が眼球に目をつけて、眼球にモニターを埋めこもうとします。Flickrと同じような経緯で、アバター空間はゲームビジネスの副産物として生まれますが、チャットツールと「第二の人生ツール」としてアバター空間があたかも第二のウェブとして開拓されるでしょう。
世界各地で貧富の格差が進みますが、日本は少子化の影響で突出します。絶望が支配する雰囲気になり、宗教の勧誘と若者の海外流出が当たり前になります。二重国籍を認める法律もできるかも。
沖縄は地政学的に有利であり、土地の価格は(日本円が破滅するまで)持続的に上がりますが、一方で東京と沖縄以外は安くなります。
2050年頃に財政は破綻し、社会保障制度は完全に壊れるでしょう。しかし国民の私生活は平和で、治安は継続的に良くなります。なぜなら高齢者しかいない世界だからです。少子化による財政破綻は日本が世界初で、おそらくいくつかの国も10〜20年遅れで破綻します。
世界の経済評論家はだいたい次のような判断をしますが、それが日本にとって致命的になるでしょう。
「日本はあと10年で破綻する。少子高齢化の影響で60歳以上の人口は50%になるだろう。消費税を20%にしないと破綻は5年に縮まる」
出生率の問題よりも、20〜40代の海外流出のほうが厄介になる時期がきます。年齢分布の偏りは厄介な双子の兄弟をもつのです。それが知的労働者の人口減少。
世界はいつも鈍感気味に動くので、この警告を無視して日本の財政問題を解決しようとします。そして日本がいつまでも移民政策をとらない頑固さに疲れ、消費税の増税に依存したまま最悪のデフォルトをむかえます。
世界史はいつも人間の移動が中心にあります。21世紀は先進国の知的労働者が大移動を始める世紀ですが、ほとんどの人はそこに気づいていません。2100年の教科書には「少子高齢化による財政破綻を前にしたグローバルな大移動」と適当な見出しをつけられるでしょう。
なぜ人間が移動する未来を見ぬけないか? 未来を予測することは狂気じみているし、現時点でばかげているから。そして移動が世界史の本質だとそもそも知らないから。
途上国の経済発展と民主化、空輸技術の持続的発達、そして先進国の末期的空気がからみあって、知的労働者の大移動を起こします。日本では2030年頃から一気に進むでしょう。
知的人材の空洞化が進むと、次は政治の硬直と右翼の台頭です。世界史はつまるところ知的階級の進歩主義とそれ以外の対立ですが、日本はそのバランスが崩れることで政治的な危機が訪れ、社会保障がまず壊れ、続いて通貨が壊れます。この未来を回避する方法は存在せず、すべての解決は個人に委ねられます。
…
おしまい。当記事はすべて個人のたわごとであり、ただの妄想です。
しかし未来の予測は重要です。チェスもそうですが、終わりの予測はすべての意思決定を改善します。Appleに復帰したスティーブ・ジョブズを信じた人は億万長者になるきっぷを手にした。ただのパフォーマーだと皮肉った人はそれを手にしなかった。Appleの株価は20年で100倍以上になっている。
最高のパフォーマンスはいつも遠くを見る目にあり、そしてまた、そこにしか存在しない。世界史はそれを教えてくれるが、千年かけても人はその事実を知らないまま人生を終える。
この記事は2017年5月20日に公開され、2019年9月までに何万人という人に読まれました。日本の未来に不安を持っている人がこれだけ多くいることに驚いています。
今年になって「日本は後進国になった」「日本は2050年にこうなる」といった記事や本が出ましたが、そのきっかけの一つにこの記事があったかもしれない。
2017年と2019年は状況が異なり、現実はさらに悪いほうに向かっています。労働生産性、少子高齢化、社会保障という問題と同じくらいに、国際社会が悪化しているからです。このサイトは教育メディアで、政治の話はなるべく避けたいと思っていましたが、ここで2050年の国際社会を予測したいと思います。
2050年の国際社会はアメリカとある国の対立が中心になり、世界は二つのイデオロギーのどちらかを選ぶハメになります。今年はその対立が小さい地域で起こり、今も助けを必要としていますが、だいたいの人は無視しています。政治よりも次のiPhoneを調べたほうが面白いし、自分の身になにか起きたわけでもないから。
病気や怪我は、病気になって怪我をしない限り、永遠に理解されない。病気になって初めて痛みを理解する。同じように、あるイデオロギーが別のイデオロギーを侮辱すること、そしてそれを黙って見ていることは、大きなつけになって返ってくるでしょう。
2030年頃から貿易戦争はいよいよ破滅的になり、世界市場はある国を中心とした経済圏と西側の経済圏の真っ二つに分かれます。あるスマートフォン開発会社は独自のOSを作りましたが、そうしたプラットフォームの対立は今後激しくなるでしょう。
日本の財政破綻は避けられない運命で、問題はその破滅がくる年です。2035年かもしれないし、2055年かもしれない。ブロック経済で一番損する国は地政学的に日本です。つまり日本は内的にも外的にもかなり危険な未来が待っています。
大国が小さな地域を土足で荒らすという侮辱を無視していいでしょうか? それで一番損する国は日本だと思いますが、どうでしょうか?
2050年の世界は、イデオロギーが独自の経済圏を作る世界です。つまりイデオロギーが未来を決定します。イデオロギーが新しいプラットフォームを作り、この政治的なプラットフォームが良くも悪くも権力をふるうのです。そして国の経済的な水準はイデオロギーの理解、つまり国民の教育水準で決まるでしょう。