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わかりやすい・美しい文章の書き方:ブログの記事やエッセイを書くコツをざっくり解説します

わかりやすい文章とは読者がくりかえし読まなくても内容を理解できる文章です。美しい文章とは知的で洗練された文章。わかりやすさと美しさは違う概念で、両方を満たす文を書くには相当の実力がいります。

今回はウェブページに掲載する記事やエッセイに絞って、わかりやすい・美しい文章の書き方をざっくり解説します。文を書く人は下にあげるルールを再編集してオリジナルの規則を作ってください。

★の数は重要度を意味する

読み手を意識する ★★★

読み手を想像しないで書かれた文はわかりやすい文章にならない。文の構成と書き方を考える前に、書き手は読み手の顔、姿勢、場所、時間といった情報を想像しないといけない。

高齢者向けの文章に😖といった絵文字を使うべきでしょうか? この記事に😖がたくさんあったらどうなるでしょう?

文章はつまるところ書き手から読み手への一方的なコミュニケーションです。この記事は「文章の書き方」を伝える真面目なコンテンツで、ほとんどの読み手もうまい文章に興味がある人でしょう。それなのに絵文字がたくさんあったら(特に高齢者の)読み手は「ちょっとこいつは信用できないな」と思うかもしれない。

結論から書く ★★★

私は何度もしつこく言っていますが、結論を先のばしにした文章はとてもわかりにくい。前置きは物語の味わいを深めるかもしれないけど、長すぎる前置きは見栄えが悪く、ユーザーの離脱率を上げてしまう。

Business Insiderなどのメディアは最初に結論をリストで示します。結論とリストは親和性が高い。

しつこい表現を避ける ★★

しつこい表現は嫌われます。次の文は最悪です。

…みなさんはわかりやすい文章を書こうと思ったことはありますか? わかりやすい文章というのは書くのが難しいですよね。どうしたらわかりやすい文章を書けるようになるんだろう、うまい文章を書いている人はどんな練習を重ねてそういうスキルが身についているんだろう、と思ったことはありますか? 今回はそういう悩みをお持ちの方に向けて、わかりやすい文章の書き手をくわしく説明したいと思います。この記事を読めば、きっとわかりやすい文章の書き方が身につくと思います!

書きながら吐きそうになりました。ここまで露骨な文はあまりないですが、「早く本題に入れ」と言いたくなる文はウェブに散らばっている。冗長な表現は決してわかりやすい文章といえない。

物語風の導入はほとんどいらない ★

プログラミング関係の記事によく見られますが、物語風の導入はほとんどの場合いらない。物語は効果的ですが、導入を物語にすると主張がぼやける。

リストにできるものはリストにする ★★★

リストはたくさんの情報を整理するときに役立ちます。ユーザーがページにとどまる時間は(書き手が想像する以上に)短く、リストは離脱しやすいせっかちなユーザーへの訴求力があります。

リストの左端は●がいいでしょうか? それとも数字がいいでしょうか? どちらでもかまいませんが、順番を入れ替えたときに意味が変わるなら数字にするべきです。

階層を深くしない ★★★

階層は親ー子ー孫までにするといいでしょう。ウェブページは h3 まで。

この記事のこの段落は「子」です。この段落にさらに分けたら、そのセクションは「孫」になります。階層が深くなると、読み手は「あれ、もともとなにを読んでいたっけ…?」と混乱してしまう。

抽象と具体を分ける ★★

私たちは具体的に理解し、抽象的に整理します。この記事はわかりやすい文章の書き方を具体的に説明していますが、ところどころで要点を抽象的にまとめています。

抽象的な説明が続くと人は飽きる。具体的な説明が続いても飽きる。抽象と具体をリズミカルに往復する文はメリハリがあり、ユーザーの離脱率を下げるでしょう。

主語と述語の関係に気をつける ★★★

主語が私(第一人称)なのに、「だそうです」が述語だったらおかしい。次の例はよくない。

…私はとても苦労して文章を書いたそうです。文章をうまく書くコツはたくさん文章を書くことだと花子さんが言われたけど、花子さんの言うことだったら間違いないと思われるので、私もたくさん文章が書かれるようにしています。

吐き気がする文ですね。私が主語なのに、述語が「そうです」という伝聞になっている。述語は主語に合わせる必要があります。

受動態より能動態を使う ★★★

受動態は悪文の始まりです。「私はノートに文章を書く」をわざわざ「このノートは私に文章を書かれたが」と受動態にする意味はない。

複数の文をリストのようにつなげるときは、主語を一つにするために受動態を使ってもかまわない。主語を強調したいときも受動態は効果的です。

「或る」や「無い」といった漢字を使わない ★★

古い漢字や難しい読み方の単語は避けたほうがいいでしょう。「或る」などの古風な単語は風変わりな印象を与える。純文学が好きな人はこうした凝った表現を好むかもしれない。しかし凝った表現が美しいとはかぎらない。古めかしい読みの単語を多用した文はわかりにくく、人によっては嫌悪感を与えます。文にリスクは不要です。

明治から昭和前半までの小説に出てきそうな古い読み

「だ・である」「です・ます」を統一する ★★

この文は「です・ます」で統一しています。「だ・である」と「です・ます」は基本的に合わせる。これはわかりやすい・美しい文章を書くうえでの大原則でしょう。

しかしプロフェッショナルな書き手は「です・ます」以外の弱い断定を文末に入れます。次の例文を文末に注意して読んでください。

…わかりやすい文は結論を最初に述べます。結論を言わないかぎり、文脈は明確になりません。具体的で明確な文章は読み手に安心感を与える。書き手はいつもこれを意識しないといけません…

「安心感を与える」という語尾に注目。これは「です・ます」ではないが、違和感はない。こうした弱い断定は「です・ます」のマンネリを抜けるために必要です。

敬語を多用しない

ウェブの文章に尊敬語と謙譲語はほとんど不要です。二重敬語はもちろんいらない。パブリッシャーは接客業でなく、書き手と読み手は対等です。

敬語の多い文はわかりにくく、しばしば結論をぼかします。政治家が尊敬語、謙譲語、丁寧語をふんだんに使うのは、主張を濁したいからです。簡潔な文を書きたい人は政治家答弁をしてはいけない。

同じ表現のくりかえしを避ける ★

美しい文章の書き手は語尾を気をつけます。次の文はちょっと汚い。

…わかりやすい文章は書くのが難しいです。どうしてかというと、読み手によって文章の理解が微妙に変わってくるからです。万人受けする「わかりやすい文章」というのはあるでしょうか? ページビューのことを考えると、書き手が一番注意しないといけないのは、なるべくたくさんの人にウケる文章を書くということに尽きるわけです。

一つの段落に「です」「です」「です」と三つの「です」があります。「です」を使ったら「ます」を使うとか、「といえる」を使ったら「と考えられる」や「と思われる」を使うとか、語尾はなるべく変えましょう。

言葉を多様化した有名な小説家は三島由紀夫と谷崎潤一郎です。多様な日本語を散りばめた文を書きたい人は三島由紀夫を参考にするといいでしょう。

接続詞をなるべく使わない ★★

接続詞は文脈が乱れたとき、または書き手の論理が破綻したときにたくさん登場します。次の例は最悪です。

…地球環境が破壊されても人類が石炭石油に依存するのは、金のことしか頭にないグローバル資本主義者があまりに多いからだ。ところで、石炭というのは有限だ。有限しかないエネルギーをどうして無限にあると考えて経済を回そうとするのだろう。しかし資本主義というのは私たちの生活必需品を供給するから、エネルギーの枯渇を社会問題と捉える個人は極めて少ない…

その場で適当に作った文ですが、めちゃくちゃですね。「ところで」の使い方は合っていますが、前後で文脈がずれているため、全体的にちぐはぐな印象を受けます。

接続詞はここぞというときに使います。美しい文章は接続詞がなくても自然に流れます。接続詞はたいてい汚い文に登場します。

カタカナ語を多用しない ★★

英語をカタカナにした単語をたくさん使うと不自然になります。

…わかりやすい文章というのは、ユーザーが必要とするクリティカルな情報をダイレクトに伝えるものだ。ライティング・スキルを上げるには、ある程度ヒアリング調査したり、マーケティングしたりして、エンゲージメントの高いコンテンツをリリースする必要があるだろう。

クリティカルは重要、ダイレクトは直接、ヒアリングは聞き取り、リリースは公開(発信)に変えるといいでしょう。カタカナ語の乱用はナルシストで不誠実な印象を与えます。

数字はなるべく算用数字を使い、前後に半角スペースを入れる ★

数字はなるべく算用数字にします。三、四といった数字は印象が薄く、数字が本来もっている訴求力がない。

「このパソコンはな、な、なんと三万七千九百円です」と言われて「安い!」と感動する人はいない。安い商品を紹介するときは37,900円とアラビア数字にします。

数字はわかりやすい文章にとって生命線になる場合があります。私たちは普段から算用数字に慣れているので、わざわざ漢字にする必要はないのです。

丸と点を入れすぎない ★

丸と点が多い文はブサイクになります。文を川とするなら、点は流れを部分的に変える岩です。岩が多いと川は蛇行し、川を走るカヤックは苦労します。同じように、点が多い文は読み手の負担を増やします。

「こと」「もの」を多用しない ★

「こと」「もの」といった代名詞をたくさん使った文はわかりにくい。

代名詞をまったく使わない文はおそらくめちゃくちゃになります。冗長さをなくすために代名詞は生まれました。しかし使いすぎはちょっとまずい。

「ので」と「ため」はうまく使う ★

「…ので」「…ため」「…だから」「…から」はほとんど同じで、どちらもその前に原因を置きます。

「私は数学が得意なので」と「私は数学が得意なため」はどちらがいいでしょうか? ここは社説や出版社の編集者にたずねたいところですが、私の個人的な意見はこんな感じ。

つまり「私は数学が得意なので」のほうがいい。もし「ため」を使いなら、「私は数学が得意であるため」と言う。「であるため」は「である」が冗長なので多用しないほうがいいかも。今回は「得意」が名詞だから、「私は数学が得意だから」が一番いいでしょう。

次の例文はどうでしょうか。

今回は「辞める」が動詞なので「だから」でなく「から」です。どれもニュアンスは違いますが、その違いはよく理解する必要があるでしょう。