高校数学の三角関数はどうすれば理解できるか?三角関数の勉強法
三角比は三角形の辺の比という具体的な定義だが、三角関数は $\sin$ と $\cos$ を円の座標という遠回りなやり方で定義している。
三角関数の定義
円 $x^2+y^2=1$ の円周上の点 $P(x,\ y)$ について、動径 $OP$ と $x$ 軸のなす角を $\theta$ とする。このとき
\[ \left\{ \begin{array}{l} x = \cos\theta \\ y = \sin\theta \end{array} \right. \]
となるように $\sin$ と $\cos$ を定義する。また $\tan\theta$ を
\[ \tan\theta = \frac{ \sin\theta }{ \cos\theta } \]
と定義する。
この説明を見て「よくわかった」と思う人はあまりいないと思う。いろいろな例を見たり、加法定理などの問題を解いたりしてだんだんとわかってくるが、それでも三角関数はとてもわかりにくい。
さらに三角関数は公式が多い。加法定理、倍角、三倍角、半角の定理、和積・積和公式、三角関数の合成と公式だらけ。数学Ⅲで習う三角関数の微分積分も合わせればとんでもない量になる。
また三角関数の公式はどれも似ている。変数の名前が反対だったり、係数が少しだけ違ったりと、公式と公式に大きな違いがない。暗記が苦手という人はかなり苦しむと思う。
三角関数のここが難しい
- 角度に方向と正負がある
- 円の座標をサインとコサインにするという遠回りな定義
- 加法定理などの公式がどれも似たり寄ったりで、量が多い
三角関数の勉強法
三角関数はあわてて先に進んでも効率がどんどん悪くなる。効率的な勉強は一つ一つ丁寧にクリアしていくこと。一つ一つのポイントを丁寧に仕上げてからページを進める癖が大切になる。
一般角という概念、角度に方向と正負があるというポイントを最初に習うが、これを習ったらそのポイントに関する問題をきちんと解く。
間違えたら間違えた理由をきちんと考えて、自分がそのポイントをよく理解しているかどうか確かめる。「ちょっとよくわからないけど、まあいいや」という感じで先に進むと、すぐにつまって元に戻ることになる。
指数関数や対数関数はポイントがやや分断されている形で構成されているので、「ちょっとわからないな」と思って進んでもそれほど苦労しない。
しかし三角関数はすべてのポイントが密接に関係し合っているせいで、一つわからないものがあるとその先のすべてがわからなくなってしまう。
加法定理以降の勉強法
三角関数は加法定理以前と以降とで勉強法を変える。
加法定理までは教科書通りに淡々と進める。加法定理以降は、次から次へとわいて出てくる公式を加法定理にもとづいて自分で証明しよう。
\[ \sin (\alpha+\beta) = \sin \alpha \cos \beta+\cos \alpha \sin \beta \\ \sin (\alpha-\beta) = \sin \alpha \cos \beta-\cos \alpha \sin \beta \]
倍角の定理は加法定理から導かれる。
\[ \sin 2 \alpha = 2 \sin \alpha \cos \beta \]
その後の三倍角や半角といった公式もすべて加法定理から証明される。
公式を加法定理から証明するという手作業は、三角関数を理解できるかできないか、中間期末試験の成績がいいか悪いかのターニングポイントになる。
三角関数(数学Ⅱ)
-
二つの直線のなす角の公式(tanの加法定理の応用)01074
-
三角関数の合成(公式と最大値などを求める問題)01004
-
ラジアンと角度の変換:弧度法と度数法の変換06567
-
円周率 500 桁の暗記表プリント010382