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アメリカの金利が上がると円安になる理由をざっくりわかりやすく解説

証券会社や経済の教科書はよく「高金利の国に金が流れるので円安になる」と説明しますが、これを最初から理解できる人はどれだけいるでしょう?この記事では外国の高金利と円安の関係をざっくりわかりやすく解説します。

日本のメディアが使う「金利」を正確に理解しよう

ここで出てくる金利は国債の利回りです。メディアも証券会社も曖昧に「金利」という言葉を使いますが、これほど私たちを混乱させる言葉はない。銀行預金の金利なのか、社債のクーポン利率のことか、この言葉だけじゃわからない。

★「アメリカの金利」の金利は、アメリカ国債の金利(特に10年国債の金利)をいいます。

アメリカの10年国債を U.S. 10 Year Treasury といいます。他に1年、3年などがあります。これらの国債の金利はいつも変動して、世界全体の金融市場に影響しています。Bloombergなどのページを見てチェックしてみよう。↓はCNBCより引用。

アメリカ国債の金利が上がると円安になる

ここから本題です。アメリカ国債の金利が上がると、いったいなにが起きるでしょう?債権を取引する日本の機関投資家になりきって考えてください。

まず昨年の夏にタイムスリップして市場を観察してください。アメリカの国債は金利がほぼゼロです。

超低金利のアメリカ国債を買いたいですか?利回りが0.3%の債権を買っても、まったくうれしくないですよね。そんな低金利の債権を買うより、価格変動は多少あっても配当金が出る株を買うほうがましです。

そして数ヶ月経ち、現在に戻って市場を見てください。アメリカ国債(10年)の金利は1.6%です。

ここまでくると「買ってもいいかな」と思いませんか?日本の高配当株を買っても、株価が暴落して元本が減るかもしれない。国債はずっと持っていればアメリカ政府が買いとってくれるので元本割れはない。

ここであなたはアメリカ国債を買うと決めました。アメリカ政府はもちろんドルを欲しています。今、アメリカ政府は国債という紙を用意して、「ドルをくれよ」とみんなに言っています。国債を買うということは、アメリカ政府にドルを渡すことを意味します。

あなたは日本人なのでドルをもっていません。そこであなたはまず日本円をドルにします。そのドルでアメリカ国債を買うのです。

  1. 日本円をドルにする
  2. そのドルでアメリカ国債を買う

つまりアメリカ国債を買うと、円売りドル買いが起きる。

あなたはなにも日本円を売りたいわけじゃないし、ドルのタンス預金がほしいわけでもない。アメリカ国債がほしいだけ。それでも円売りドル買いの取引が間に入るので、円安に貢献することになるのです。

★日本人がアメリカ国債を買う→円売りドル買いが間に入る

以上をまとめるとこうなります。

アメリカの金利が上がる
→日本人がアメリカ国債を買う
→円売りドル買いが起きる
→円安になる

日本とアメリカの国債の金利差が重要

日本の国債はあいかわらずひどい低金利だから、誰も買いたいと思わない。だけどアメリカ国債の利回りはそこそこいいから、買ってもいいかなと思う日本人がいる。そしていざ買うと円安ドル高の為替取引が入る。

ここで日本国債の利回りがなぜか上昇して、アメリカと同じくらい高くなったとします。ありえない話だけど。

そのとき債権取引の担当者であるあなたはどうしますか?わざわざ為替相場のリスクがあるアメリカ国債を買いますか?金利が同じだったら日本の国債でもいいですよね。

つまり

日本の国債利回りが上がる
→アメリカ国債を買いたい人が減る
→円売りドル買いの力がなくなる
→円高

となります。逆に

日本の国債利回りが下がる
→アメリカ国債を買いたい人が増える
→円売りドル買いの力が強くなる
→円安

となります。

これが「国の金利差が為替相場を動かす」という解説の中身です。

実際の相関関係

さっき

アメリカの金利が上がる
→日本人がアメリカ国債を買う
→円売りドル買いが起きる
→円安になる

と説明しました。これは現実に正しいかチェックしてみます。

2016〜2021年5月までのアメリカ10年利回りとドル円をCNBCのサイトから引用しました。

↓はアメリカ10年国債の利回り。

続いて↓はドル円。

最近の半年を見てください。アメリカの金利が上がるにつれて円安になっていますね。