ウィトゲンシュタインは「論理哲学論考」などを著した分析哲学の思想家。ウィトゲンシュタインは人生の前半と後半でテーマを変えている。
前期に著した「論理哲学論考」で、ウィトゲンシュタインは「語り得ないことについて沈黙しなければいけない」と述べた。
例えば「なぜ神は人を創ったのか?」という問いは、神という言葉があいまいであり、そもそも正確な言葉として表すことが難しい。ウィトゲンシュタインは、そのようなものは知識の対象にならず、検証できないという。
言語はただの音ではない。コミュニケーションをとる話者にとって言語は意味があり、私たちは言語が与えるルールにおいてコミュニケーションをとっている。ウィトゲンシュタインはこの言語ルールを言語ゲームと呼ぶ。
「ありがとうございました」という言葉から「どういたしまして」という言葉につながるのも、言語ゲームの一つである。スポーツやゲームと同様、言語ゲームもみんなが共通して認識するルールを要する。
ウィトゲンシュタインは後期代表作の「哲学探究」で言語ゲームについて論じている。
高校倫理では、ウィトゲンシュタインは次の点をおさえよう。
下線部に関して、ウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」についての説明として最も適当なものを,次の~のうちから一つ選べ。
引用:センター試験「高校倫理」/平成30年・第4問・問6
引用の都合上、記号を独自に変えています(特殊文字など)。
正解は1。
ウィトゲンシュタインの思想はそもそもわかりにくいので、この問題もかなりややこしい。「ゲーム」という言葉がどの選択肢にもあるのでなおさらややこしい。
2はパロールという言葉がソシュールを暗示している。
3は「他人の欲望を…」というくだりがウィトゲンシュタインに合わない。
4は脱構築という言葉がジャック・デリダを想像させる。