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中学受験物語:第4話「競争と傲慢」その1(ビリからの再出発)

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連載小説ペンは剣よりも強しは実話にもとづいて書かれた受験物語です。合格は不可能と言われていた劣等生が、いくつもの奇跡を乗り越えて志望校に合格するまでの道のりです。受験生やそのご家族だけでなく、仕事で成功したいビジネスマン、人間関係でうまくいかないと悩んでいる方もぜひお読みください。究極の競争を生きていくためのエッセンスがぎっしりつまっています。

こんな方におすすめ!

  • 中学受験生、高校受験生、大学受験生
  • 受験生のご家族
  • 仕事で成功したい方
  • 人間関係で悩んでいる方
  • 運をつけたい方

これまでのストーリー

「ペンは剣よりも強し」全話目次(第1話〜)

第3話「新しい順位」その1(井の中の蛙)
第3話「新しい順位」その2(裏切りの予感)
第3話「新しい順位」その3(秋のクラス替え)

第4話「競争と傲慢」その1(ビリからの再出発)

Sクラスに入った当日、国語の授業の休み時間中、真一郎は隣にいた一人の男子に声をかけた。

「新しく入ってきた坂本っていうんだ。よろしく」

少年は無言でうなずいた。彼は小島という名前で、こちらの顔を見ないで話す癖があった。内野より内気で、なにを言っているかわからない時があった。しばらく話していると、声がどんどん小さくなっていくのだ。数分が過ぎて、あと少しで授業が始まるという頃、教室がそこそこにぎやかになったせいか、知らない生徒が真一郎たちのもとにやってきた。

「君、坂本っていうんでしょ?もともと下のクラスの」

その言い方が気にさわった。この話し方は小学校にいた誰かに似ていた。目の前に背の高い男子が立っていた。真一郎を見下したように笑って、腕を組んでいた。

「下のクラスから上がった人がいるって聞いたけど、それって君のことだよね」

「まあ」

「算数で一位をとったんでしょ?下のクラスで」

彼はなにを言いたいのだろう。下のクラスという言葉を三回もくりかえしたということは、少なくとも自分を尊敬していないようだ。

「そうだけど。君、誰?」

「僕?僕は大塚だよ。一列目に座ってるから見えなかった?」

亜紀に言われた「最近怒りっぽいね」という言葉が頭をよぎった。確かに最近怒りっぽいところがあった。大塚という少年の刺々しい言葉に反抗したくなった。

「下のクラスは一位をとるのも簡単だっただろうね。ほとんどバカだから」

「俺はバカじゃない」

と返すと、大塚は鼻で笑った。

「バカだったから下のクラスにいたんじゃないの?」

「さあ」

「算数だけすごいみたいだね。算数だけ」

「その算数で俺は君より上だよ。たぶん」

感情がだんだんコントロールできなくなってきた。塾は小学校と違う場所だと思っていた。塾は一人ひとりが自分のことしか考えていないから、他人の悪口を言っている余裕などないし、下のクラスはすこぶるまったりしていた。しかしなんだって大塚はわざわざ自分を侮辱しているのか。

「あー。受験は算数だけじゃないんだよね。残念でした」

大塚はそう言って鼻で笑い、自分の席に帰っていった。すぐに国語の先生が教室に入り、授業は再開した。

…授業が始まっても怒りは収まらなかった。初めて会った他人に「下のクラス出身者」と侮辱されたことにひどく憤っていた。しかし同時にわずかな恐怖も抱いていた。大塚は安行や福沢たちと性格が違う。大塚は一列目の三番目に座っているから、東京中学校に入学できる位置にいる。自分と数十点も点差があるから、自分より数段階も高い位置にいる。なにより話し方から立ちふるまいまで大人びている。

そこでようやく自分のプライドに気づいた。慎吾のテストをカンニングしたやつ、守に雑巾を食べさせようとした福沢に反逆できたのは、自分はもともと福沢たちより上だという意識があったからだ。自分は知能で相手より上をいっているはずだという確信と余裕が、加藤から影響された正義感と結びついて反逆的行動を生みだした。

しかし大塚はその知能で自分より上だった。だから「残念でした」と言われてなにも言い返すことができなかった。そして単純な怒りだけでなく、恐怖も抱いていた。もはや国語の授業に集中できる精神状態になかった。

…授業が終わると、真一郎はすぐに教室を出て、フロアの違うAクラスの教室に行った。たくさんの生徒が帰るところだった。その中に内野の姿があったので、名前を呼んで声をかけた。

「一緒に帰ろうよ!」

内野はニコッと笑った。二人で駅に向かう間、真一郎はさっそく大塚という男の話をした。

「あいつ完全に俺をなめてた。自分が上のクラスにいるからって下のクラスから出てきた俺をバカにしたんだ」

「嫌な人だね」

「ああ!あいつは絶対嫌なやつだ。間違いない。それに言い方がすげえムカつく!大人みたいにしゃべりやがって。年は俺たちと変わらないくせによ!」

内野にしゃべっていると怒りに火がついてきた。

「だいたいなんで、会ったこともないやつにそこまで言われなくちゃいけないんだ?あいつはそんなに偉いのかよ。一番前に座っていることがそんなに偉いのか」

「坂本くん、しょうがないよ。その人は実際頭いいわけだし…」

「なに言ってるんだよ!バカにされてるんだぞ、俺たち!」

「僕は実際バカだし…」

内野は暗い顔で続けた。

「なんか最近、僕もう塾を辞めたい気がしてるんだ」

真一郎は驚いた。

「僕、本当バカなんだ。勉強はしてるし、授業の復習もやってる。でもテストはダメなんだ。坂本くんよりも早く入ったから、それがわかるんだよ。どれだけ勉強しても前のほうに座れない」

内野の顔は真っ青だった。駅の改札を抜けて階段を上った。この階段はいつか終わる。階段を上れば、あとは動かなくてすむ。しかし受験は違う。席替えという競争は違う。競争が永遠に続くことはないが、少なくともあと三年、この地獄のような競争を続けないといけない。そして大塚のような勝利者は、自分のような敗北者をあざ笑う。

ホームで内野に「辞めるなよ」と言った。

「今ここで辞めたら、なにもならないって。まだ三年生じゃん。俺たち」

「そうだけど、あと三年もこんなの続けるの?耐えられるかな」

「席順なんて気にしてもしょうがないよ。それに四年生になったらクラスが三つに増えて、今上のクラスにいるやつも半分は下に落ちる。逆にAクラスにいる人も上に上がる」

「だったらなおさら嫌だよ。ずっと席替えとかクラス替えとか続くんだよね。あと三年も」

今の内野になにを言っても無駄だと思った。内野は完全に参っているようだった。しかしそれは真一郎も同じだった。塾に入って最初は面白いと思ったこともあった。塾の先生はみんなユニークで、学校の先生より信用できると思った。だがそれ以上に席替え競争は地獄だった。

自分たちしか乗っていない電車で内野は泣いていたが、降りる駅が違っていたので、途中で別れるしかなかった。

家路につくと、夜道を歩きながら大塚の顔をはっきりと思いだして、拳を握った。

「絶対あいつに勝ってやる。いや、算数じゃすでに勝ってるんだ。あとは国語の点数をちょっと上げるだけでいい。それだけであいつに勝てる!」

続き:第4話「競争と傲慢」その2(劣等生の仲間)

あとがき

今回のテーマは競争でした。これを読んでいる受験生もきっと競争に疲れていると思います。競争は本当に大変ですよね。競争が続くかと思うと嫌になるでしょう。

実際、中学受験は競争に疲れてリタイアする方が後を絶ちません。しかしだからこそ中学受験は粘った者が勝つしくみになっているのです。よく考えればなんでもそうですよね。スポーツもなにもかも、最後まで続けた人が勝っていく。世界一のプロゲーマー梅原大吾さんも「勝ち続ける」力こそ大事だと言っています。中学受験はとにかく競争し続けることが重要です。途中で脱落したらなにも残らないし、今まで勉強してきた何百時間という時間が無駄になってしまう。絶対に脱落してはいけません。

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