反応熱の種類(燃焼熱、生成熱、溶解熱、中和熱)と熱化学方程式

反応熱とは、常温常圧下の物質1molの化学反応によって放出または吸収される熱量のこと。化学反応の種類によって燃焼熱、生成熱、溶解熱、中和熱と分類されます。

反応熱の単位は通常 kJ/mol で表します。kJ はキロジュールで、ジュールは熱の単位。

常温常圧とは25度、1.01×105Paのこと。

反応熱の種類

種類 意味
燃焼熱 物質1molが完全燃焼するときに放出される熱
生成熱 化合物1molが単体から生成されるときに放出される熱
溶解熱 物質1molが水に溶けるときに放出される熱
中和熱 酸と塩基の水溶液の中和反応によって1molの水が生じるときに放出される熱

「放出される熱」とありますが、もちろん化学反応によっては吸収される場合もあります。この時の反応熱はマイナスです。

化学反応によって放出されるときはプラス、吸収されるときはマイナスで表します。

燃焼熱

1molのエタノールを完全燃焼させると1368kJの熱が放出されますが、この1368kJをエタノールの燃焼熱といいます。一般に有機化合物は完全燃焼させると大量の熱が放出されます。

ベンゼンを完全燃焼させると3267.5kJの熱が放出されるので、ベンゼンの燃焼熱は3267.5kJ。

化学便覧を見ると各物質の燃焼熱が載っていますが、一般に物質の物質量が大きければ大きいほど燃焼熱も大きくなる傾向にあります。

燃焼熱の熱化学方程式

エタノールの完全燃焼を式にしてみます。

C2H5OH + 3O2 = 2CO2 + 3H2O + 1368kJ

この式を熱化学方程式といいます。後述する生成熱、溶解熱、中和熱でも同じように熱化学方程式が出てきます。熱化学方程式は普通の化学反応式

C2H5OH + 3O2 → 2CO2 + 3H2O

の矢印をイコールにして、1368kJという燃焼熱をつけたものです。ここで放出される場合はプラスにして、吸収される場合はマイナスにします。

メモ

燃焼熱は必ず放出される熱であり、必ずプラスになる。しかし次に出てくる生成熱などは必ずしも放出されるとは限らず、マイナスになることも多い。

生成熱

メタンは炭素と水素が反応してできる。

C + 2H2 → CH4

1molのメタンが発生するとき74.8kJの熱が放出されるので、メタンの熱化学方程式は次のようになります。

C(固) + 2H2 = CH4 + 74.8kJ

ここで注意したいのは、主語はあくまでメタンであるということ。炭素や水素を基準にしない。例えばグルコース(C6H12O6)の生成熱は1274kJで、グルコースの熱化学方程式は次のようになります。

6C(固) + 6H2 + 3O2 = C6H12O6 + 1274kJ

グルコースの係数を1として、化学反応前の各単体の係数を調節する。生成熱はその単体の化学反応によって放出される熱であることに注意。つまり上の熱化学方程式を

6C(固) + 12H + 6O = C6H12O6 + 1274kJ

のように書いてはいけません。

ちなみに生成熱はしばしば「吸収される熱」となり、マイナスの値をとります。例えばエチレンの生成熱は-52kJであるため

2C(固) + 2H2 = C2H4 - 52kJ

です。

溶解熱

1molの水酸化ナトリウムを水に溶かすと44.5kJの熱が放出される。

NaOH(固) + aq = NaOH aq + 44.5kJ

記号 aq は「大量の水」を表す。NaOH aq は水に溶けた状態の水酸化ナトリウム、つまり水酸化ナトリウム水溶液を表します。

最初の水酸化ナトリウムに(固)という記号がありますが、これは固体の水酸化ナトリウムという意味です。

中和熱

中和熱の定義は1molの水が生じる際の反応熱です。塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応では56.5kJの熱が放出されます。

HCl aq + NaOH aq = NaCl aq + H2O + 56.5kJ

塩酸と水酸化ナトリウムはそれぞれ水溶液であることに注意。水に溶けていることを示す aq を添えるのを忘れないようにしよう。