新数学演習は難易度が高すぎて東大受験には合わない〜本当の読者は数学の先生
誤解されるタイトルかもしれませんが、新数学演習も東大もけなしているわけでもありません。新数学演習は解説・使いやすさともにトップクラスで、東大の数学は明らかに最高レベルです。

しかし新数学演習は東大には合いません。東大は超難問を出題しないのです。東大は「大学への数学」で言うところのCくらいの問題を三分の二、Bくらいの問題を三分の一出します。超難問のような問題はほとんど出さないのが現実です。
実際に大学受験の真っ只中にいる方はわかっていただけると思いますが、受験は時間対効率で合否が決まり、東大は数学力だけでなく総合力で決まる学校です。数学の奇問を解けるようにする時間は、数学でなく他の科目に使うべきです。
新数学演習を手にした瞬間、50時間以上の時間をライバルに比べて失うことになる
例えば理系に絞って考えてみましょう。受験生に残された時間を1,000時間として、今日新数学演習を買ったとしましょう。新数学演習は100問以上ありますが、100問解くと仮定します。
超難問の数学は、解くだけで1問30分かかりますね。実際はわからない問題がたくさんあるでしょう。解説を理解する時間も含めれば1問あたり1時間かかります。新数学演習全体で100時間以上使うことになりますね。
ここでこの時間はどの程度成果に反映されるでしょうか? 新数学演習はイレギュラーな問題集で、パターン化されたスタンダードな問題はあまりありません。しかし東大はパターン化された問題を中心に出すため、この時点で100時間の効果は半減し、他の科目にあてるよりも50時間の機会損失が生まれます…。

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こうしたざっくりした仮定と計算をフェルミ推定といいますが、抽象的な考察ではあまり当てにできません。しかし大きな方針を固めるうえでは重要です。
東大の受験生は新数学演習よりも月刊「大学への数学」か青チャートを使う
新数学演習よりも普通の「大学への数学」を使うといいですね。青チャートもちょうどぴったりだと思います。しかし一番適した問題集は東大の過去問と、予備校の東大模試の過去問です。
東大の受験生には特に、予備校の東大模試の過去問を強くおすすめします。どの問題集を選ぶかで合否は決まります。難しすぎる問題集を選ぶことはリスクが高い選択であると考えてください。
新数学演習の本当の読者
新数学演習は決して悪い本ではありません。とても素晴らしい本です。新数学演習の本当の読者は大人であり、数学の先生であり、医学部などの特殊な学部を受験する学生です。
さり気なく医学部をあげましたが、いくつかの私大の医学部は新数学演習レベルの問題が出ます。膨大な計算やスタンダードとはいえない特殊な解法が必要になる学部では、新数学演習は最高の一冊になるでしょう。
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